acc-j 茨城 山岳会日記

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八ヶ岳、裏同心ルンゼ・無名峰北稜

2013年01月20日 23時35分56秒 | 山行速報(冬季)
八ヶ岳

年初めの山に八ヶ岳を選ぶのは何度目であろう。

大概は凄まじい寒気に縮み上がりながらの登攀が印象深いが、時に予想以上の陽光に恵まれたりもする。
その寒気故に、「雪って意外と温かいんだな」と感じたのもここでの出来事だ。

寒温が身に染みる、1月の八ヶ岳。
らしいといえば、らしくはある。


八ヶ岳横岳西面




2013/1/9 裏同心ルンゼ

暗闇の中、美濃戸口から歩を進める。
星空に凛とした空気。遠く鹿の鳴き声。
同行はtunoくん。


天幕を張る


赤岳鉱泉で幕場を整え、本日は裏同心ルンゼから大同心北西稜を行く予定。
天気はこの上なく良い。

硫黄岳への登山道、二本目の沢を詰める。
トレ-スは消えていない。


F1が見えた

F1が見える。
半分以上が雪に埋もれていて、アイスクライミングというには規模が小さい。
このあたりは折込済み。フリ-で乗り越す。

F2も同様に大方は埋もれているものの、アイス初級者としてはフリ-でも恐怖感なく取付ける。
F3は高さこそないものの抜け口で緊張させられる。


F1を登るtunoくん

このころから、トレ-スは雪に埋もれ膝下ラッセル。
進度は一気に落ちるが、冬山らしさは抜群だ。

F4を抜け、F5は足元がえぐれておりフリ-ではチョット不安。
わずか5mほどだがここは慎重にロ-プを出す。

躊躇する場面も、ロ-プと支点があれば大胆に行ける。
心理とはこれほどにも肉体を司るものなのだ。


F5手前

F6の涸れ滝を正面に時間は13時過ぎ。
大同心北西稜は回避し、大同心稜で下山する。

幕場について一杯やったら、急激な睡魔。
テントの中で暖を取りながら二人して転寝。
その後シンプルな食事となるが、ツマミも含めてすでに満腹。
18:00にも関わらず、普段の寝不足を解消すべく就寝。

いやあ、よく寝たなあ。と時計を見ると22:30。
そんなことを2時間ごとに繰り返す。
寝貯めと喰い貯めはできないと申しますが、しかし、人間幾らでも寝れるものです。





2013/1/10 無名峰北稜

5:00起床、6:45発
行者小屋までのトレ-スをしばらく行く。
急登になる手前で北沢右股に入る。

沢筋を詰めて右岸から入る最初の沢筋が小同心ルンゼ。
かすかなトレ-スはあったものの、おそらくは石尊稜と取り違えたものだろう。
予想は的中し、無名峰ルンゼ手前からラッセルがはじまる。

このマイナ-ル-トに年間何パ-ティ-が入るものだろう。
昨日、赤岳鉱泉で幕場の受付をする際に行動予定を伝えると、「無名峰北稜ってどこ?阿弥陀ではないの?」と問われた。

ともかく、冬山をやる身にとってはラッセルしてこそのバリエ-ションといえよう。
そうであって気分は高まるものだ。


小同心ルンゼを行くtunoくん

概ね腰ほどだが、傾斜を増すと時に胸ほど。
交代で行くが、tunoくんの馬力は頼りになる。

小同心ルンゼは上部に行けば左右岩峰に挟まれたルンゼがまっすぐに駆け上がる。
その幅を狭める手前で左岸尾根に上がる。
そこが無名峰北稜の取付き。装備を付ける。

下部岩壁は岩というよりは薮と草付に埋もれた壁。
1Pリ-ド、一旦右にトラバ-スしてから左上気味に行く。
トラバ-スのちの一歩上がるあたりがいやらしい。
顕著な露岩近くの灌木でビレイ。
雪の着き方次第ではとても緊張するだろう。


フォロ-のTunoくん

2Pリ-ド、左に5mほどトラバ-スしてから直上。
一歩大股開きでトラバ-スするところが緊張する。
直上は薮とアックス頼りでグイグイ行ける。

3Pリ-ド、傾斜を緩めた雪面をアックスで直上。
上部で雪稜に出るが、この手前、スカ雪ラッセルで苦労する。

このあとは雪稜、岩場、リッジを取り混ぜ稜を行く。
しかし、時に足元の決まらないラッセルに難渋する。
切れ落ち、風も強いことからコンテは避け、上部岩峰までツルベ。(結局5ピッチほどあった)


きれいな雪稜で記念撮影

途中で13:00を過ぎた。
そろそろ時間を意識しないといけない。
しかし、上部岩壁らしき岩峰が近くに見えた。
あれを抜ければ残りはわずか。何とか行けると考えていた。


上部岩壁かと思っていた岩峰

上部岩壁と思っていた岩峰は確かにチムニ-状を抱いていたが、ボロボロで登る気にならないシロモノだった。
ことさら、この峰は容易にトラバ-スできそうだ。
拍子抜けしつつ、安全に峰袖をトラバ-ス。
これで岩壁は終わりかと思っていた。

次のピッチで稜に復帰すると正面に岩峰。
右のルンゼも行けそうだが、岩峰正面に顕著なチムニ-状。
はたしてこれが上部岩壁の核心だった。
時間は14:30を過ぎていた。

上部岩壁1Pリ-ド
核心チムニ-は数歩思い切りの必要な場面があったが、岩はシッカリしている。
しかしながら、残置は皆無。
西上州で活躍のアバタ岩用スリングが大活躍。八ヶ岳にも十分通用する。

上部岩壁2Pフォロ-
岩のリッジ突き当りは大岩壁。
右のルンゼにトラバ-スするが、ここは滝状になっており足元は切れている。しかも岩が脆いので要注意。

あとは大急ぎでルンゼ上部を行く。強風に背中を押されてグイグイ行く。
スカイリッジを越えると登山道。何とか明るいうちに着けた。
時計は16:10。
遠く、アルプスの峰々のシルエット。その上にオレンジ色のお天道様が丸い。
ロ-プをしまって、一口だけ行動食。ヘッデン用意。

闇夜の下山となるであろう大同心稜を避け、踏み跡のある硫黄岳経由とした。
しかしながら硫黄岳を越えてからの踏み跡は風に消され、赤岳鉱泉への下降点が見いだせない。
闇夜に方向感覚も鈍る。
アタリをつけて下りはじめるも確信を持てず、深入りする前にビバ-ク。
幸い携帯電話で連絡が取れた。
tunoくんはあまり動じていない。彼の強さに救われた。

風を避け雪の斜面をピッケルで切りツエルト。
シュラフ無しながら人間眠ることはできるらしい。冬のレイヤ-ドと防寒着の御陰だ。
夜半から風の方向が変わったらしく強風がツエルトを叩く。
ツエルト内に雪が入り込み二人とも、うっすら雪に埋もれて眠っていた。

6:00起床。
天候が気がかりだったが、表に出てみると雲一つない朝焼け。
硫黄から赤岳まで、実に美しい。
そしてわずか30mほどのところに道標。下降点はもはや明確。
地球を一回りしてきたお天道様に感謝。


撤収


ビバ-ク地から

赤岳鉱泉までくればひと心地。温い。
正確にいえば寒いのだが、安堵というのは温いものなのだ。
山岳会というバックアップやその中での行動規範が心理的に作用した。
後ろ盾の温さが身に染みる、1月の八ヶ岳。

sak
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