(1965/ジャン=リュック・ゴダール監督・脚本/ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ/109分)
「勝手にしやがれ(1959)」を借りようと思って出かけたのにレンタル中で、同じ様な話だと思うコチラを借りてきた。
30年以上前になるが、その頃読んでいた映画雑誌「スクリーン」の記事で、世界中の批評家100人が選ぶ映画史上の歴代ベスト10というのがあった。ベスト1は「市民ケーン」。その他「野いちご」「81/2」「戦艦ポチョムキン」「ゲームの規則」「大いなる幻影」「天井桟敷の人々」「情事」「生きる(←黒澤です!)」、そしてこの「気狂いピエロ」も入っていた。
今同じことをやっても(歴史的価値から)半分くらいは同じものが選ばれるでしょうが、さてヌーヴェル・ヴァーグの旗手のこれはどうだろう?
そんなわけで興味はあったんですが、ゴダールですからねぇ。“難解”という文字が頭の斜め上あたりをヒョロヒョロと飛んでいる感じです。因みにゴダール映画は、モラヴィア原作の「軽蔑(1963)」をTVの吹き替え版で観て、テーマはありきたりだけど映画としては面白いと思いましたな。
さて「気狂いピエロ」は、妻子ある失業中の男性が妻に誘われて渋々行ったパーティーで偶然昔付き合ってた女性と再会、彼女と車を盗んだり、ギャングと撃ち合ったりと無軌道な逃避行の末、彼女を射殺、自らも爆死するという話。自爆は、ダイナマイトを自身の顔に巻き付けて火を付けるというモノで、火を付けた後に『こんな死に方イヤだ。』とあわてて火を消そうとするが、間に合わずにドカン!というラストだ。
即興演出という言葉も生み出したゴダールなので、上記のストーリーも大まかなもので通常の描き方ではない。観念的な台詞が多いし、人間関係も把握しにくい。「アメリ」のように、出演者がコチラに向かってセリフをしゃべるシーンもある。それも、直接ストーリーに絡まない人物がだ。
そういえば、その人物の中に“ラズロ・コヴァクス”と名乗るものがおりましたな。“ラズロ・コヴァクス”とは、「勝手にしやがれ」の主人公ミシェルの別名だったし、「イージー・ライダー(1969)」や「ペーパー・ムーン(1973)」なんかの名カメラマンがその名前だった。後者の話は偶然だと思うけどネ・・・。
アンナ・カリーナがミュージカル風に唄うシーンもあり、原色を多用した色使いといい、ある意味実験的な映画だったのかも知れませんな。
好き嫌いがハッキリ出てくる映画でしょう。
いわゆるゴダール信者には傑作といわれていますが、さて、一般的にはどうですかねぇ? 映画は見終わった後に感じるモノではなくって、観ている時に感じるモノだと思っている私にとっては、コレはあまりにも混沌としていたなぁという印象だけが強く、映像のスリルもいまいちでした。
あと、当時のベトナム戦争やフランスの抱えているアルジェリア問題などについての知識がないと把握しにくい作品かも知れませんな。私もよう分からんです。
アンナ・カリーナは当時のゴダールの奥さん(67年に離婚)。スタイルはいいけれど顔の印象が弱く、名前は知っていても顔が思い出せない女優の最右翼だった。デンマークのコペンハーゲン生まれで、今年65歳。「女は女である(1961)」「女と男のいる舗道(1962)」「アルファヴィル(1965)」「メイド・イン・USA(1967)」などのゴダール作品以外にも、ヴィスコンティの「異邦人(1968)」にも出ている。現在も女優を続けていているらしい。
これにめげずに「勝手にしやがれ」はいつか観ようと思っています。なにせ、原案がトリュフォー、監修がクロード・シャブロルだし、ジャン=ピエール・メルヴィルにゴダール本人も出演者に名を連ねているのだから。
忘れてました。カメラは“ヌーヴェル・ヴァーグ”作品でお馴染みのラウール・クタールでした。
最近は更新されてないですが、<ブラット親爺のつっこみ映画評>のこの映画評、以前読んだ気がして再訪しました。ランボーには疎いし、若い頃にゴダールを追いかけたこともないので興味深い記事でした。
「勝手にしやがれ(1959)」を借りようと思って出かけたのにレンタル中で、同じ様な話だと思うコチラを借りてきた。
30年以上前になるが、その頃読んでいた映画雑誌「スクリーン」の記事で、世界中の批評家100人が選ぶ映画史上の歴代ベスト10というのがあった。ベスト1は「市民ケーン」。その他「野いちご」「81/2」「戦艦ポチョムキン」「ゲームの規則」「大いなる幻影」「天井桟敷の人々」「情事」「生きる(←黒澤です!)」、そしてこの「気狂いピエロ」も入っていた。
今同じことをやっても(歴史的価値から)半分くらいは同じものが選ばれるでしょうが、さてヌーヴェル・ヴァーグの旗手のこれはどうだろう?
そんなわけで興味はあったんですが、ゴダールですからねぇ。“難解”という文字が頭の斜め上あたりをヒョロヒョロと飛んでいる感じです。因みにゴダール映画は、モラヴィア原作の「軽蔑(1963)」をTVの吹き替え版で観て、テーマはありきたりだけど映画としては面白いと思いましたな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/71/5348c08265c4cc92f9732d2cab5fad85.jpg)
即興演出という言葉も生み出したゴダールなので、上記のストーリーも大まかなもので通常の描き方ではない。観念的な台詞が多いし、人間関係も把握しにくい。「アメリ」のように、出演者がコチラに向かってセリフをしゃべるシーンもある。それも、直接ストーリーに絡まない人物がだ。
そういえば、その人物の中に“ラズロ・コヴァクス”と名乗るものがおりましたな。“ラズロ・コヴァクス”とは、「勝手にしやがれ」の主人公ミシェルの別名だったし、「イージー・ライダー(1969)」や「ペーパー・ムーン(1973)」なんかの名カメラマンがその名前だった。後者の話は偶然だと思うけどネ・・・。
アンナ・カリーナがミュージカル風に唄うシーンもあり、原色を多用した色使いといい、ある意味実験的な映画だったのかも知れませんな。
好き嫌いがハッキリ出てくる映画でしょう。
いわゆるゴダール信者には傑作といわれていますが、さて、一般的にはどうですかねぇ? 映画は見終わった後に感じるモノではなくって、観ている時に感じるモノだと思っている私にとっては、コレはあまりにも混沌としていたなぁという印象だけが強く、映像のスリルもいまいちでした。
あと、当時のベトナム戦争やフランスの抱えているアルジェリア問題などについての知識がないと把握しにくい作品かも知れませんな。私もよう分からんです。
アンナ・カリーナは当時のゴダールの奥さん(67年に離婚)。スタイルはいいけれど顔の印象が弱く、名前は知っていても顔が思い出せない女優の最右翼だった。デンマークのコペンハーゲン生まれで、今年65歳。「女は女である(1961)」「女と男のいる舗道(1962)」「アルファヴィル(1965)」「メイド・イン・USA(1967)」などのゴダール作品以外にも、ヴィスコンティの「異邦人(1968)」にも出ている。現在も女優を続けていているらしい。
これにめげずに「勝手にしやがれ」はいつか観ようと思っています。なにせ、原案がトリュフォー、監修がクロード・シャブロルだし、ジャン=ピエール・メルヴィルにゴダール本人も出演者に名を連ねているのだから。
忘れてました。カメラは“ヌーヴェル・ヴァーグ”作品でお馴染みのラウール・クタールでした。
・お薦め度【★=お薦めしません、ゴダールファン以外】 ![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
最近は更新されてないですが、<ブラット親爺のつっこみ映画評>のこの映画評、以前読んだ気がして再訪しました。ランボーには疎いし、若い頃にゴダールを追いかけたこともないので興味深い記事でした。
(10.30 Sun 追記)
ゴダールは不得意分野ですねえ・・・
この映画、80年代の終わりごろか90年代の初めごろにリバイバルで見ましたが、「ふ~ん、これが名画と言われてるんだ」みたいな感想しか持てなかったのを、覚えてます。
もしかするとゴダールの映画は、封切時に見ないとダメなのかもしれませんね。初公開時に見た「東風」とかは、それなりにショックを受けましたから。
やっぱ、よく分かりませんね。「勝手に・・・」だけは一般的にも受け入れられてるようなので、これは安心して観られるようですけど。
1カットの中で、フィルムのコマを数コマつまんで切り捨てちゃうので、動きが急にぎくしゃくしたりして・・
何か、生き急ぐ主人公たちの感じが伝わってくる感じがありましたね。
「気狂いピエロ」は未見なんだけど、どうなんじゃろかな~
ところで、今って「キチガイ」って入力しても変換しないのね・・
「気狂いピエロ」って、その読み方で良かったんですかね。実は、読み方が“きぐるい”かそちらかで悩みました。
その編集の件、ジャンプ・カットって云うんですよね。koukinobaabaさんのブログで知りました。イメージは出来ますね。コミカルな感じもするけど。
「き○○い」は、今や使えない言葉でしょうね。だから変換もされないのかな?
「きちがい」に「気狂い」って漢字をあてたのも、当時としては苦肉の策だったんでしょうけど。
まもなく公開されるゴダール監督の新作もアナーキーさは健在だといいますが、さて、映画館へ行く気になるかなぁ(^^;
とはいっても、ゴダールは未だ3作くらいしか観てないんですが。
>さて、映画館へ行く気になるかなぁ(^^;
私の中では、「ピエロ」以降のゴダール映画は終わっております。