575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ヒガンバナ終る    鳥野

2014年09月30日 | Weblog

さながら正確なカレンダーを持っているかのよう。
ヒガンバナは、毎年秋の彼岸の入りに咲き始めて、
秋分の日が花の盛り。彼岸の果てる日に大方は色
あせて花の終わりです。

その律儀な花も、このところの不安定な気象には
お手上げ。
名所として知られる半田市の矢勝川一帯も、海津
市の津屋川堤防も、早々と見頃を終えてしまった
そうです。

ヒガンバナはまたの名が曼珠沙華。梵語では真紅
の花という意味とか。雄蕊、雌蕊を長く伸ばして
風に揺れる様子は妖艶。
ふと、スタンダールの小説「赤と黒」の主人公、
ジュリアン・ソレルを連想しました。野心に充ち
満ちた美青年と、燃えるような赤。まさぐる指に
掴んだものは、何だったのか。

 ・ 曼珠沙華お指反らせる手にも似てジュリア
   ン・ソレルの赤夕光を浴ぶ
                  鳥野
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わた抜かれ切られて秋刀魚売られをり    静荷                    

2014年09月29日 | Weblog
秋刀魚の美味しさを追求するなら、生きがよく、そのままがいい。
切ったところから酸化、鮮度が落ちやすい。

子供の頃は、夕食の主菜は魚が定番。牛肉などは、特別の日だけ。
そんな魚大国だった日本もいつの間にか肉中心の食卓に。
魚離れは深刻のようです。

お店では魚離れを少しでも減らそうと工夫。
わたは抜かれ、さらに半分に切られて・・・
便利にはなりました。

そういえば魚を焼く煙も嫌われる一因です。

  換気扇秋刀魚焼く煙早く吸へ   品川鈴子

写真は水面に浮いた蛾です。
きれいな金色でしたが、写真では色があせてみえます。
                          遅足


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御嶽山の噴火     遅足

2014年09月28日 | Weblog
岐阜県美術館に「熊谷守一・展」を見に出掛けました。
400点もの展示に目も足も疲れて昼食へ。
食べ終わって出ようといたら、なんと結宇さんとばったり。
帰宅して御嶽山の噴火のニュースに接してビックり。

山歩きが心地よいシーズン。御岳山に多くの方が登っていました。
突然の噴火。亡くなった方や行方不明の方も。けが人も多数。

御嶽には、何回も登ろうと思いました。念叶ったのは、随分、昔。
濁河温泉に泊まって頂上を目指しました。奥さんと犬のクックが一緒。
クックは最初は元気でしたが、空気が薄くなるとダウン。
奥さんが一番元気でした。
山頂でお弁当、昨日と同じ良い天気でした。
あの頂上で噴火に出合ったら、生きた心地はしないでしょうね。

御嶽山は時々、噴火。
また長野県南部地震では多数の犠牲者。地形も変わってしまいました。
自然の恐さを改めて感じさせられました。

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凍りたる秋刀魚のなみだ指に解く   遅足

2014年09月27日 | Weblog
秋刀魚のなみだが好き。泣きそうにない魚だから、と童子さん。
サンマの目にも涙、と麗子さん。
氷たっぷりの輸送、名残りの凍てを解く時の旅情、と鳥野さん。
冷凍の秋刀魚ですから、厳密にいえば無季の句となります。

朝のドラマ「花子とアン」も今日で終わり。
「曲がり角の先には一番良いものが待っている」というメッセージ。
安倍さんは日本をどこへ引っ張っていこうとしているのか?
曲がらない方が良さそうですが、曲がらない道はない、とか。

写真は大学構内で見つけました。
アンの忘れ物でしょうか。


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母の背や七輪あおぐ秋刀魚の香    立雄

2014年09月26日 | Weblog
秋刀魚と言えば、七輪で焼く母の背を思い出す作者。
なつかしい風景です。
何時頃からか、そんな姿は見られなくなりましたが。

  七輪も遠くなりけり秋刀魚焼く   松本泰志

七輪はなくなったと思っていました。
ネットなどでちゃんと売っているんですね。
キャンプなどのレジャー用に。
また災害時の煮炊き用に。
アフリカの難民キャンプでも、七輪をつくっているとも。
我が家も一つ用意しておいたほうが良いかな?

七輪には三大産地があって(産地というほどでもないかも)
その一つが愛知県の三河地方だそうです。
                     遅足

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口の先黄色い秋刀魚新鮮よ    佐保子

2014年09月25日 | Weblog
美味しい秋刀魚の見分け方。
ポイントは、太っていて、口の先が黄色いもの。
生きている時は、口の先は黄色。
死ぬと黄色が抜けていく。
口先の黄色が残っているほど、新鮮、とのこと。

先日、お店で買った秋刀魚。口先が黄色でした。
たしかに冷凍のものとは違って美味しかったです。
冷凍ものを食べることが多い我が家。
旬の秋刀魚の味を忘れかけていたようです。

  赤札に秋刀魚の口の尖りけり   堀之内和子

                   (遅足)
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秋刀魚焼く匂ひや路地を曲がるとき   亜子

2014年09月24日 | Weblog
団地生活を思いだしての一句と、作者。
新婚生活を始めた団地の近くには下町がありました。
夕方、路地を曲がると風にのって秋刀魚の匂いが・・・

  秋刀魚焼く家を過ぎ先の家も焼く  直治

気兼ねすることもなく秋刀魚を焼くことが出来た時代。
夕日が綺麗でした。

  秋刀魚焼く隣に気兼ね立話  清水柳水

秋刀魚の煙に気兼ねする世の中。
向こう三軒両隣という言葉も死語になっていますね。

写真は池の面です。
                   (遅足)        

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火の色を映して   鳥野

2014年09月23日 | Weblog

「真夏日とはこれで、お別れでしょう」お天気
キャスターがそんな予報を伝えた日、「縄文の
ビーナス」に会いに出かけました。
縄文の人の心意気を見るような、赤い土器の色、
大胆な造形は灼熱の夏にこそ、相応しいものと
思われました。

長野県茅野市の「尖石縄文考古館」にその国宝
は、惜し気もなく公開されています。
高さ30センチ足らず、重さは2キロ弱。
あどけない表情、ちんまりと抓んだような胸、
堂々と張り出した腹部、ふくよかな下半身。総
身に妊娠の喜びが充ち満ちています。
この土偶が、5千年もの間、八ヶ岳山麓の土に
埋もれていたとは。

発掘調査は昭和5年開始。住居址や土器、土偶
などの出土も多く、一帯は特別史跡に指定され
ています。
 
 ・ 孕むとう恩寵総身に充ち満ちて縄文の
   ビーナス永久に安らぐ
               鳥野

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秋刀魚焼くひねもす事もなく暮らし   晴代

2014年09月22日 | Weblog
人生を振り返る年齢に達した方の句ですね。
晩年の父は、「平凡が良い」と言っていました。
苦労の多い前半生だったようです。
波乱万丈の半生を送った人ほど、こうした感慨を。

波瀾万丈の人生だったのよ(笑)、と作者も。

  しみじみと秋刀魚は無事の味すなり   水野吐紫

生あれば漣の立つ日々。でも、日々好日です。(遅足)



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火の中の青美しき秋刀魚かな   能登

2014年09月21日 | Weblog
残酷美、グリルで料理していては味合えない瞬間、と鳥野さん。

秋刀魚に火が回ると、自らの油で燃え上がる。
青さの残るほんのわずかな瞬間の美です。
俳句には形容詞を使わないほうが、という考えもあります。
この句は、火の赤と肌の青の対比の美を詠んでいます。
形容詞も、ちゃんと機能していると思いました。

美を花に喩えたこんな句も。

 火を花と火を滴りと秋刀魚焼く 上田五千石

                   (遅足)



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新秋刀魚にらみ合うたり空一点    結宇

2014年09月20日 | Weblog
「空」を「ソラ」と読むのか?「クウ」と読むのか?
ちょっとニュアンスが変ってきます。
麗子さんは、ソラを見つめるサンマの目。
鳥野さんも、生きのいいサンマの澄んだ視線、空を見ていたとは、とソラ派。

初秋刀魚、で切って読むと、秋刀魚を買おうとした人。
高値に、空を睨んで考えこむ、とも読めます。
また、中七の、にらみ合う、という表現が違った読みを引き寄せます。

作者の意図は、主語は秋刀魚、にらみ合うの目的語はソラ。
作者の意図を素直に表現すれば

  初秋刀魚にらみをりたり空一点

でしょうか。秋刀魚の無念が感じられます。          
ウナギは高値の花へ。
秋刀魚は大丈夫でしょうか?      遅足

  

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9月句会の最終結果です。      遅足

2014年09月19日 | Weblog
秋刀魚句会の結果です。

題詠「秋刀魚」

①新秋刀魚にらみ合うたり空一点(結宇)えみ・麗子・能登・鳥野・遅足・狗子
②火の中の青美しき秋刀魚かな(能登)えみ・鳥野・佐保子・静荷・晴代・亜子
③秋刀魚焼くひねもす事もなく暮らし(晴代)静荷・郁子
④秋刀魚焼く匂ひや路地を曲がるとき(亜子)すみ・立雄
⑤口の先黄色い秋刀魚新鮮よ(佐保子)亜子
⑥母の背や七輪あおぐ秋刀魚の香(立雄)すみ
⑦凍りたる秋刀魚のなみだ指に解く(遅足)童子・麗子・鳥野・狗子・晴代・結宇・立雄
⑧わた抜かれ切られて秋刀魚売られをり(静荷)麗子・能登・郁子
⑨秋刀魚はね100円切るまで買わないの(麗子)童子・佐保子・遅足                
⑩初サンマ値踏みする目に細き光(郁子)狗子・結宇
⑪さんま食う骨美しく残しけり(すみ)えみ・静荷・遅足・晴代
⑫火だるまの秋刀魚に猫のあとずさり(狗子)童子・能登・佐保子・亜子・すみ・郁子・結宇・立雄
       
自由題  

①へくそかずら垣根覆いて花は実に(静荷)鳥野
②無花果の大口おちょぼ口並び(晴代)遅足・亜子・すみ・結宇・立雄
③晩年の老母に似たり吾亦紅(能登)えみ・佐保子・郁子
④大島の背丸くなり秋彼岸(結宇)晴代・郁子・立雄
⑤名月や戦禍の消えぬこの地球(立雄)鳥野・佐保子・狗子・亜子・すみ
⑥渇きたる網膜に浮く秋の雲(遅足)童子・えみ・静荷・麗子・郁子・結宇
⑦朗報を受話器に聴きし良夜かな(亜子)麗子・能登・佐保子・晴代
⑧浴槽に体伸ばせば鉦叩(佐保子)静荷・結宇・立雄
⑨朝顔が迎えてくれた退院日(麗子)童子・能登・鳥野・狗子・亜子・すみ
⑩水底に青き鼓動か月しづか(郁子)えみ・遅足
⑪秋扇もて遊ぶ友うわの空(すみ)能登・狗子・晴代
⑫この道の行きつくところ曼珠沙華(狗子)童子・静荷・麗子・遅足

次回は
10月15日(水)午後1時 東鮓
題詠は「冷ややか」「秋冷」です。
また晩秋の季語「冷まじ」のOKです。



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秋刀魚句会の一言       遅足

2014年09月18日 | Weblog
ちょっと雲の多い日でした。7人の出席でした。
会の始まる前の話題はお墓をどうするのか?
亜子さんが「0葬」という本を読んでの感想から。
狗子さんも今あるお墓をなくそうとすると50万円必要とか。
終活も難問が・・・・
さて、句会の一言コメントです。

題詠「秋刀魚」
①新秋刀魚にらみ合うたり空一点(結宇)青空を睨む秋刀魚の眼。最後に見たものは?
②火の中の青美しき秋刀魚かな(能登)一瞬の残酷美を見逃さないカメラアイ。
③秋刀魚焼くひねもす事もなく暮らし(晴代)平凡こそ大切と分かる齢。
④秋刀魚焼く匂ひや路地を曲がるとき(亜子)なつかしい下町の思い出。時代も曲がり角?
⑤口の先黄色い秋刀魚新鮮よ(佐保子)口語俳句にのせた生活の知恵。
⑥母の背や七輪あおぐ秋刀魚の香(立雄)思いだす母の姿の一つです。
⑦凍りたる秋刀魚のなみだ指に解く(遅足)秋刀魚にも涙。
⑧わた抜かれ切られて秋刀魚売られをり(静荷)秋刀魚は新鮮さが勝負なのに。
⑨秋刀魚はね100円切るまで買わないの(麗子)お財布を預かるものの心意気。          
⑩初サンマ値踏みする目に細き光(郁子)主婦の眼が鋭く光ります。
⑪さんま食う骨美しく残しけり(すみ)しつけの良さが偲ばれます。
⑫火だるまの秋刀魚に猫のあとずさり(狗子)思わず笑って・・・しかしその直後に。
       
自由題  
①へくそかずら垣根覆いて花は実に(静荷)美しい花に可哀想な名前。
②無花果の大口おちょぼ口並び(晴代)イチジクの口も人の口も。
③晩年の老母に似たり吾亦紅(能登)老いても女の色気は忘れずに。
④大島の背丸くなり秋彼岸(結宇)大島は島ではありません(笑)。
⑤名月や戦禍の消えぬこの地球(立雄) 祈りが届きますように。
⑥渇きたる網膜に浮く秋の雲(遅足)白内障か?
⑦朗報を受話器に聴きし良夜かな(亜子)嬉しい夜。きっと・・・
⑧浴槽に体伸ばせば鉦叩(佐保子)身も心もナチュラルになって・・・
⑨朝顔が迎えてくれた退院日(麗子) 生命力の強い花・朝顔の美しさ。
⑩水底に青き鼓動か月しづか(郁子)月光写真家展をみて・・・
⑪秋扇もて遊ぶ友うわの空(すみ)私の話を上の空で聞く友・・・秋なのかしら。
⑫この道の行きつくところ曼珠沙華(狗子)みんなの行く道か?

次回の題詠は「冷え」です。「冷まじ」もOKです。




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秋刀魚句会の投句が集まりました。      遅足

2014年09月17日 | Weblog
9月句会の投句が集まりました。
題詠は秋刀魚。もう数回、夕食のテーブルに。
美味しいのは嬉しいのですが、後片付けで油っぽいのが難。
あまり使わない洗剤のお世話に。

さて、どの秋刀魚が票を集めるのでしょうか?

題詠「秋刀魚」
①新秋刀魚にらみ合うたり空一点
②火の中の青美しき秋刀魚かな
③秋刀魚焼くひねもす事もなく暮らし
④秋刀魚焼く匂ひや路地を曲がるとき
⑤口の先黄色い秋刀魚新鮮よ
⑥母の背や七輪あおぐ秋刀魚の香
⑦凍りたる秋刀魚のなみだ指に解く
⑧わた抜かれ切られて秋刀魚売られをり
⑨秋刀魚はね100円切るまで買わないの
⑩初サンマ値踏みする目に細き光
⑪さんま食う骨美しく残しけり
⑫火だるまの秋刀魚に猫のあとずさり
       
自由題  
①へくそかずら垣根覆いて花は実に
②無花果の大口おちょぼ口並び
③晩年の老母に似たり吾亦紅
④大島の背丸くなり秋彼岸
⑤名月や戦禍の消えぬこの地球
⑥渇きたる網膜に浮く秋の雲
⑦朗報を受話器に聴きし良夜かな
⑧浴槽に体伸ばせば鉦叩
⑨朝顔が迎えてくれた退院日
⑩水底に青き鼓動か月しづか
⑪秋扇もて遊ぶ友うわの空
⑫この道の行きつくところ曼珠沙華



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団子釣りの夜   鳥野

2014年09月16日 | Weblog

 9月9日は中秋の名月、折りから気圧不安定
で、あちこちゲリラ豪雨。とりわけ北海道の石
狩地方は被害甚大、避難勧告も次々に更新され
ていました。
この地方も、月見は無理と諦めていたところ、
月齢14,5の見事な月が。

丁度乗り合わせたタクシーは満月に真向かって
走っていました。
ドライバーさんが「美しいですね」をきっかけ
に月見の思い出話を。

彼の故郷には「月見泥棒」と言う風習があり、
名月の夜は無礼講。子供たちはお供え物の団子
や芋、菓子などを、釣って回るのだそうです。
長い竹竿の先に釘を打つのに一工夫。言わば公
然の盗みが許され、挙って収穫の喜びを分かち
合う慣わしと言えましょう。
幼い日の「団子釣り」。懐かしそうに話は続き
ました。やがて、目的地に到着です。

 月光を浴びて無心の団子釣り   鳥野    


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