575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

想い熱く   鳥野

2011年05月31日 | Weblog
「美術集団8月」の第50回記念展を見てきました。

「美術を愛し人間を愛し、新しい創造をめざす」を主旨に掲げて精進しているグループの作品展です。

大作から小品まで、抽象・具象とさまざま。自由に奔放に思いの限りを描いた熱い作品がおおよそ100点。
圧倒されました。

驚いたことに、なかに8作品が、今回の地震と原発へのメッセージ。

地震発生、原発壊滅の日からの僅かな時間に構想と製作。怒りの深さを強く訴えてきます。

一方、俳人の長谷川櫂は、大震災から12日間の記録と想いを「震災歌集」として急遽出版しました。

怒りと励まし。絵画も詩歌も強い力を持っているのだと、打たれました。

 ・ 「日本は変はる」「変へねばならぬ」といふ若者の声轟然と起これ

                         長谷川櫂
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戦争が始まる頃の心太    朱露

2011年05月30日 | Weblog
    冬はおでん夏は心太の屋台が来た。
    心太はトコロテンで海草から作る。
    疎開先の真鶴で心太や蚫を採った。
    私コンニチあるは心太と蚫のお蔭。

              

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冷水に焼酎垂らし想を練る    朱露

2011年05月30日 | Weblog
    焼酎に冷水垂らすでは想所ではない。
    昔仕事が終ると屋台で焼酎と焼き鳥。
    足下を冷たい夜風が吹き抜けて行く。
    「さあ矢でも鉄砲でも」と焼酎元気。

              



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名刹の廊下の軋み夏きざす 狗子

2011年05月30日 | Weblog
鴬張りの廊下を連想しました。
歩くと、キュッキュッと鶯のように廊下が鳴く。
二条城や知恩院が有名なようです。
鴬張り、というには見立てですね。
卑俗なものを優雅なものに見立てて楽しむ。一種の比喩。
江戸時代の町人文化を支えていた美意識のようです。

作者によれば、この名刹は、奥浜名湖の井伊谷にある龍潭寺とのこと。

井伊谷は、井伊一族の出身地。幕末の大老・井伊直弼の祖先の地。
井伊一族は、南北朝時代には南朝方に組して負け組。
その後、今川氏に仕えて桶狭間で負け組。
徳川家康に仕えて、ようやく運が開けて、
徳川四天王の筆頭となり、彦根の大大名に出世しました。

この井伊一族に縁の深い龍潭寺。
廊下を歩けば、軋む音がして、素足にひんやりした感触が・・・
耳と肌で感ずる夏ですね。
きざす、という言葉がとても効いています。

                    遅足

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夏の雨立て込む家並音はなし   朱露

2011年05月29日 | Weblog
     ここ一年で前の空き地に家が並んだ。
     私の子供より若い夫婦に子供が居る。
     左右の家並は弟妹夫婦ってところだ。
     昭和五十四年の我家は野中の一軒家。 

               

 

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化粧塩跳ねるがごとき夏めく夜  晴代

2011年05月29日 | Weblog
化粧塩とは、魚を美しく焼くためにふられる塩のこと。
あらかじめ塩をしておいた魚に焼く直前に
もう一度軽く塩をふること。

皮がパリッと焼きあがるうえ、焦げやすい尾びれやひれの部分が
塩に保護されてきれいな姿に焼きあがる。

句を読む楽しさの一つは、句を成り立たせている場を想像すること。

一流料亭の夕食。
テーブルを囲んでいるのは気心の知れた数人。
ひさしぶりのおしゃべり。
次々と出てくる料理。
焼き魚は鮎。
尾びれが跳ねるように焼きあがっている。
一瞬、水しぶきをあげ、跳ね上がった鮎の姿が浮かぶ。
夏が来ていると実感する夜。

美味しい会話が遅くまで・・・

幸せな時間ですね。
                 遅足

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部屋の中動かして見る夏の雨     朱露

2011年05月28日 | Weblog
    四人の子供が出払ってくれて二人だけ。 
    おのずと一階が女二階が無論男の陣地。
    贅沢と言うな過去半世紀を知りもせず。
    文句あるなら来いと言うと子供が来る。

               



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夏めくや美白につられまたひとつ 麗子

2011年05月28日 | Weblog
母は90歳を越えて、亡くなるまで、肌がすべすべしていた。
看護婦さんからも、キレイな肌ね、とほめられていた。

よく食べる母だった。
身長に比べて、体重がかなりオーバーしていたが、
皺が目立つからと痩せるのを嫌った。
化粧品にもお金を惜しまず、
かなり高価な化粧品を使っていたらしい。

句は、UVカットの化粧品のことだそうです。
また、今年も買ってしまった・・・
私は、なにか美容によいとされる食べ物かと思いました。
美白に良い食べ物。太るのを気にしながら、ついつい。

母は、二兎を追わなかったのがよかったかな?  遅足

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山法師二階から見る雪の花    朱露

2011年05月27日 | Weblog
    ミズキ科の落葉高木で今が花盛り。
    葉の上に咲くので下から見えない。
    道路向こうの若い男が私を見てる。
    手を上げたらあわてて引っ込んだ。

              



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牛の瞳に被爆の大地夏兆す   遅足

2011年05月26日 | Weblog
今月の句会でトップ賞となった遅足さんの一句。
未だ収束の兆しさえない原発。福島の被爆の大地の牛は今どうしているのでしょう。
安楽死がとられるという報道を耳にしたきり。。。

それにしてもころころ変わる東電の会見に唖然。
報道を真剣に見る気がしなくなっている今日この頃ですが
これが一番危険かもしれません。
遅足さんは見るものはすべて見ておくというスタンスだそうです。

梅雨入り間近。牛の瞳を見る私の目もうるみます。早くなんとかしなければ。。。麗
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はつなつの桜並木は自転車で  静荷

2011年05月26日 | Weblog
句は、緑のなかを自転車で颯爽と走っていく姿を詠っています。
言葉には、イメージを呼び起こす力があって、
桜並木と書かれていると、満開の桜が見えてきます。
でも、初夏なのだから、葉桜。

作者の話では、桜が咲いている時は、徒歩。
ゆっくりと花を愛でて・・・
そして初夏には自転車で。

2つの時間が確かに感じられます。  遅足
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泥鰌鍋真鶴育ち知りもせず    朱露

2011年05月26日 | Weblog
     泥鰌と笹掻ごぼう卵とじの鍋物、
     と歳時記にあるが食べる気なし。
     「淡水の泥に住み腸でも呼吸」。
     後生だから息は肺でしてくれや。 

              



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夏めくや揺れる真珠の耳飾り   亜子

2011年05月25日 | Weblog
あのフェルメールの代表作『真珠の耳飾りの少女』を
思いました人もいました。
この絵をヒントに小説が生まれ、さらに映画にもなった
『真珠の耳飾りの少女』

句の中で揺れている耳飾りをつけているのは
どんな女性なんでしょうね。
イヤリングではなく耳飾りですから・・・

耳飾りの歴史は古く、日本列島でも、縄文時代の遺跡から、
多数の土で出来た耳飾りが見つかっています。
古墳からは、金製の耳飾りも見つかっており、
これは男性も耳飾りをしていたのかも知れません。
そういえば、平安時代以降、江戸時代まで耳飾りは
あったのでしょうか?
現在では、男性もピアスをする時代。先祖返りか?

英語ではピアスもイヤリングも、イヤリングの一語。
ピアスというのは、和製英語だそうです。(蛇足)

                  遅足


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朝凉や血圧計と缶ビール    朱露

2011年05月25日 | Weblog
     仕事をやめて十数年になる筈だが、
     上がるのに味を占めたのが血圧だ。
     今朝上がる理由は「朝涼」だけだ。
     バカめ人生はそんな単純じゃない。

                



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暴れ姫川   鳥野

2011年05月24日 | Weblog
連休が明けるのを待って出かけた信濃大町・白馬への旅。
すでに立夏は過ぎて季語は「夏」。しかし信州はようやくの春です。

好天に恵まれて、北アルプスの雪解けの遠景などを楽しんでいたところ、
最終日近くに、大雨警報。

大糸線沿いを流れる姫川が一夜のうちに変貌しました。

国交省の公表による水質日本一の清流が、赤錆色の濁流となり、溢れんばかりに増水しています。

雪解けの水と降雨を一手に集め、山間部から海までの距離が短い暴れ川。目の当たりにしたその景は息を呑むばかりです。

雪解川(ゆきげがわ)の季語は春、実際の時節は夏。難題を頂戴しました。

思い出したのは、遅足さんと愚足さんの見事なブログ。
2007年11月に「地貌季語」と宮坂静生について、詳細に述べています。

よく考えてみなければ、の宿題です。

  ・ 逆巻きて海へと一途に流れゆく雪解川の轟音ひとかたならず

                         鳥野
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