575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

朝寒や軋む門扉の響きおり  郁子

2023年11月30日 | Weblog

今日で11月も終わりです。寒さが厳しくなって朝起きるのが辛くなって来ました。

「朝寒」という兼題で色んな寒さが詠まれましたが、この郁子さんの句は聴覚に訴える寒さでした。寒くなって、朝刊を取りに行く時に響く門扉の軋む音。暑い夏には感じられない音だと思います。冷たい澄み切った空気にギギギっという音が朝の住宅地に響きます。寒さが強調される一句だと思いました。

晴代さん:早いお出かけか新聞がきたのか軋む門扉の語順がいいですね。

能登さん:寒くなると、ドアの軋み音は意外と遠くまで聞こえる気がします。何気ない気付きの句。

容子さんも私も頂きました。耳を澄ませば色んな音があふれているのに意外と気づかないことが多いですね。耳を澄ませて日々の変化を見逃さないようにしたいものです。

何かと気ぜわしくなって来る師走。門扉の汚れも気になるところですがいつも後回しになってしまします。今週末はまた一段寒さが進むようです。皆さま温かくしてお過ごし下さいね。  麗子

 

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母転ぶ知らせ受け取る夜寒かな  容子

2023年11月24日 | Weblog

離れた所にひとり住まい、または老夫婦のみという親のアクシデントは背筋の凍る思いのするものです。

普段なかなか帰れないという負い目を感じているだけにショックもひとしお。兼題二番目に票を集めた句です。

 

竹葉さん: 老人の転倒は長患い、命取りにもなります。そんな知らせを受けた時はやっぱり寒っとなる事でしょう。

須美さん: 母の一大事の連絡が。なんとも言えない胸騒ぎというか恐怖が伝わる。

麗子さん: 身につまされる一句。夜の電話は親のアクシデント発生が多いです。思わず寒さが増します。

亜子さん: そろそろ秋の夜寒の時に母が転んだという知らせがある。身につまされる句。90を超えると気弱になるし転ぶことも多くなる。転んだだけですめばいいのですが。

晴代さん: 受け取るが(電話やスマホ)ではないし でも夜寒が倍に感じますね。

童子さん: 離れて暮らす親のことは心配です。その心情が伝わります。

遅足さんもとられました。

聞くところによると、作者のお母さまが飼っているワンちゃんが脱走しかけ、慌てたはずみに転ばれたそうです。

もうすっかりよくなっていらっしゃることを願います。

         

うちも米寿になる義母が郷里に一人住まいです。どんなに車を飛ばしても3時間はかかるという場所。

先日夜も更けて突然電話が鳴り響きナンバーディスプレイには義母の名が。茶の間が瞬間凍てつきます。

 「正月は何食べたい?手の込んだものはあかんで。あんたらでよろしくなー。」 

元気な声にホッとしました。   郁子

 

 

 

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朝寒や膨らむ鳩に日は優し  竹葉

2023年11月23日 | Weblog

今月の兼題「朝寒・夜寒」で見事トップ賞になった竹葉さんの秀句です。

竹葉さんの喜びの声です。

トップ賞とは!驚きです。今回は朝6時半からの公園でのラジオ体操を題材に作ろうと「朝寒やラジオ体操背には日を」とかいつもヒヨドリが木々で鳴いてるから 「鵯ぴーよラジオ体操声あわせ」なんかを作ってましたが、暖かい日と鳥から、鳩が電線に座ってよく鳴いてる姿を思い出して作ったもので、なんか安易で凡人の作だと思ってましたから、ほんとにびっくりしました。有難うございました。

      ★★★

いえいえ。秋が深まり体感的に寒くなった朝、鳩が丸く膨らんだ様子が見えるようです。日差しのぬくもりもいいですね。皆さんのコメントです。

千香子さん:膨らむが鳩にとてもぴったりくる表現だと思いました。

須美さん:朝寒の句なのに優しい温もりを感じる。

能登さん:ひだまりの中、丸くなった鳩。朝寒の時季にピッタリの情景です。

童子さん:晴れた冬の朝を表現されている素敵な句です。風のない小春日和でしょうか。

郁子さん:膨らむ鳩に、風は冷たいが日差しの温かさに救われるこの時期をよく表している。優しい眼差しと鳩のまるさががひびきあう。

亜子さん:鳩は寒いと空気を取り込むために膨らむ。気持ちが温かく優しくなる一句。

          ★★★

目には見えない寒さを具体的に切り取るのは簡単なようで難しいお題でしたね。今日は小春日和。鳩たちもほっとしていることでしょう。

よい休日をお過ごしください。       麗子

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11月「朝寒」「夜寒」結果発表!

2023年11月22日 | Weblog

2023年11月「朝寒」「夜寒」

  1. 朝寒や人生初の救急車 (佐保子) 竹葉 遅足 亜子
  2. 独り居の鼻をかむ音朝寒し (亜子) 泉 能登 晴代 童子
  3. 朝寒やラジオ体操騒々し (須美) 竹葉
  4. 朝寒しうつむき加減子らのゆく(麗子) 容子 須美 佐保子 泉
  5. 朝寒や膨らむ鳩に日は優し (竹葉) 容子 千香子 須美 遅足 佐保子 亜子 能登 郁子 童子
  6. 朝寒や軋む門扉の響きおり (郁子) 容子 麗子 能登 晴代
  7. 朝寒の部屋に降神火入れ式 (童子) 郁子
  8. 「こそあど」の言葉の多き夜寒かな (晴代)
  9. 帰名して友と夜寒の祝い酒 (泉) 千香子
  10. ヘルメットの漢ぞ夜寒の足場 (千香子) 麗子
  11. 鳴きやまぬ夜寒の里に猫の声 (遅足)
  12. 枕もと汽車の音(ね)微か夜寒かな (能登) 千香子 佐保子 泉 郁子
  13. 母転ぶ知らせ受け取る夜寒かな (容子) 竹葉 須美 遅足 麗子 亜子 晴代 童子

 

自由題

  1. 母さがすガザの幼女の夜寒かな (亜子) 竹葉 容子 千香子 須美 佐保子 麗子 能登 郁子
  2. 木の実落つ子等散らばりて無我夢中 (須美)  容子 泉
  3. 小春日に怪鳥のごと演習機 (郁子) 竹葉 千香子 遅足 佐保子 麗子 亜子 晴代 童子
  4. 冬晴れやブルーインパルス空を裂く (麗子) 須美 遅足 郁子 童子
  5. 朝寒の五指のこわばり日追うごと (晴代) 容子 亜子 能登
  6. リスのエビフライ園児ら見せ来る (千香子)
  7. 朝露や鈍き靴音草にしむ (竹葉) 泉 童子
  8. 枯紫蘇を抜けばピチパチ実の爆ぜる (佐保子) 竹葉 須美 泉 亜子 能登 晴代 郁子
  9. 末枯れてなお佳き香り桂かな (能登) 千香子
  10. 分け入って紅葉の山の蒸留所 (容子) 遅足 佐保子 麗子 晴代
  11. 汗と泥四年に一度ラガーマン (泉)

 

トップ賞は

  兼題 竹葉さん

 自由題 亜子さん 郁子 でした。

 

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朝寒・夜寒の投句が揃いました。

2023年11月21日 | Weblog

11月の投句が揃いました。明日の結果をお楽しみに!

兼題「朝寒」「夜寒」

①      朝寒や人生初の救急車 

②      独り居の鼻をかむ音朝寒し 

③      朝寒やラジオ体操騒々し 

④      朝寒し俯きかげん子らのゆく 

⑤      朝寒や膨らむ鳩に日は優し 

⑥      朝寒や軋む門扉の響きおり 

⑦      朝寒の部屋に降神火入れ式 

⑧      「こそあど」の言葉の多き夜寒かな 

⑨      帰名して友と夜寒の祝い酒 

⑩      ヘルメットの漢ぞ夜寒の足場 

⑪      鳴きやまぬ夜寒の里に猫の声 

⑫      枕もと汽車の音(ね)微か夜寒かな 

⑬      母転ぶ知らせ受け取る夜寒かな 

自由題

①      母さがすガザの幼女の夜寒かな 

②      木の実落つ子等散らばりて無我夢中 

③      小春日に怪鳥のごと演習機 

④      冬晴れやブルーインパルス空を裂く 

⑤      朝寒の五指のこわばり日追うごと 

⑥      リスのエビフライ園児ら見せ来る 

⑦      朝露や鈍き靴音草にしむ 

⑧      枯紫蘇を抜けばピチパチ実の爆ぜる 

⑨      末枯れてなお佳き香り桂かな 

⑩      分け入って紅葉の山の蒸留所 

⑪      汗と泥四年に一度ラガーマン 

 

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茶巾より恵那山の出ず栗きんとん

2023年11月17日 | Weblog

兼題の朝寒・夜寒の句が揃ったようです。 

一気に季節がすすみ 一雨ごとに景色も変わります。 10月句紹介の最後は私の拙句です。

 

童子さん:産まれたて(作りたて)の栗きんとんの様子を、恵那山の出ずと表現されたところに思わず笑みが溢れました。 栗の産地、恵那とかけたところは言うまでもありません。

亜子さん:とてもユーモラスな句。 茶巾で山の幸である栗きんとんを作る。 まるで恵那山が顔を出したかのように出来上がる。 とても面白い句。

 

ありがとうございます

岐阜中津川の商業施設「ちこり村」で栗きんとん作りを体験してきました。 作るといっても俵型の栗あんを入れた茶巾を絞るだけ。

 正確には「栗きんとん絞り体験 」。 ただ絞り方にもコツがあります。 先生は地元のおばあちゃまです。

 【 口のところをちょっとつまんで逆さにするとてるてる坊主になりますね。

首のところはひねり過ぎずに半回転だけですよ。 開けてみて。 ほーら! 恵那山のかたちになった 】

ほっこり温かい先生の口調そのままの句でした。 

他に西洋野菜ちこり(アンディーブとも言います)の芋をつかった焼酎蔵見学もできますし、

地元農家さんの野菜を使った家庭料理ビュッフェも絶品でした。  郁子

 

 

 

 

 

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秋の朝若きヘジャブら老健より  千香子

2023年11月16日 | Weblog

ヘジャブとはヒジャブともいいます。イスラム教徒の女性が頭髪を隠すために用いるスカーフ状の布。そのヘジャブを被った若き女性たちが、秋の朝、介護老人保健施設から出て来たとのこと。泊まり勤務を終えたのでしょうか。。。言葉の壁を乗り越え日本で働くアジア女性が増えています。その朝の一瞬を切り取った時事句とも言える千香子さんの句。「ヘジャブ」が新鮮で、「老健」という言葉が時代を象徴しています。映像が浮かびました。父の入院していた病院でもインドネシアの看護師さんたちがたくさん働いていました。

今の介護現場は海外の方の手がないとまわっていかない状況の様です。新しく建物が建つとそれは介護施設ということが多いですね。うちの老親もデイケアでお世話になっています。

最期まで家で過ごせればそれに越したことはありませんが、長寿社会ではなかなかそうもいきません。介護保険が出来ていろんなサービスを受けられる今の世の中は恵まれていると思います。最初は嫌がっていた義母も今はデイに行くのが楽しみになっており、父も入浴、書道とそれなりに週2回のデイサービスが曜日感覚と気分転換になっているようです。

毎朝、数台のデイケアの送えの車と遭遇します。離れた老親のことを思い、「どうぞ今日も一日ご安全に」と祈っています。麗子

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居ぬひとの想いを食す秋刀魚かな  能登

2023年11月10日 | Weblog

夏から一足飛びに冬になってしまうのか?と思わせる気候。紅葉を愛でる暇もなく、もう落葉溜まりをそこかしこで見かけます。

このままでは秋の味覚を満喫する前に鍋の季節ですか!もう少ししみじみ、ほっこりとした小春時間を味わいたいもの。

大切な人の思い出を詠んだ能登さんの句にたくさんの票が入りました。

 

 童子さん:今は一緒にご飯を食べることが出来ない。たまたま今夜だけか、事情により別居中か、はたまた亡くなったひとへの想いか…

切ない想像が尽きない、肌寒くなったこの頃にしっくりくる句です。

 晴代さん:秋刀魚のお好きだった(?)方を偲んでいるのでしょうか。

亜子さん:サンマを一人で食べている。以前は二人で食べていたのに今は一人で食べている。やりたいこと、話したいことがいっぱいあったはずと心残りがある。

 容子さん:秋刀魚が好きな男性、多いですね。"気配"を感じた切なさと嬉しさと。

他に須美さん、竹葉さん、佐保子さんもとられました。

 

 

秋刀魚の食べ方もその人の個性が出るものです。

ごちそうさまのあとは、頭と背骨一本のみの綺麗な解体図が皿に描かれたかもしれません。

「想いを食す」という表現がいいですね。亡き人を偲びながらも生きている限りは食べねばなりません。

居ぬひととはどんな方だったでしょうか。    郁子 

 

 

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よき声の閻魔こほろぎ帰り道  佐保子   

2023年11月09日 | Weblog

今年の秋はこほろぎの声が例年より長く楽しめた感じがしました。日暮れが早くなりどこかへ出かけた帰り道。暗くなった道から何ともよい声のコオロギが聞こえます。ほっとする秋の瞬間です。思わず耳を傾けます。

郁子さん:やさしくいたわるように鳴くこおろぎの音は、肩の荷がおりて素の自分に戻る帰り道に似合うように思います。エンマコオロギ。閻魔というおそろしげな漢字が不似合いですね。

晴代さん:宵闇の道、耳をすまして聴き入っている様子。

           ★★★

コオロギの声に秋灯が似合う気がしました。続いては兼題の容子さんの句。

   秋燈やあれがわたしの帰る場所

遠くから自分の帰る家の灯りが見えます。「ああ、あそこが私の帰る場所なのだ」と安心するような心持ち。

一人暮らしの亜子さんは、灯りのついていない自宅に帰るのが辛いと先日のお茶会でおっしゃっていました。心に染みる一句だったようです。

夕暮れの家路。秋の夕暮れはさみしさが増します。それだけに人のやさしさや家の灯りに癒されるのでしょう。おのずと心が温かくなるものを求めているのですね。     麗子

 

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雨うがつ穴へ木の実の落ち着きぬ  晴代

2023年11月03日 | Weblog

文化の日。

今日も昨日に続き夏日となりそうで、紅葉狩りには汗ばむくらいでしょうか。

自由題で、昨日ご紹介の句と同票トップに輝いた晴代さんの句です。

 

竹葉さん: 「雨うがつ穴」とはうろと言われるほど大きくないのでしょうね。そこに木の実が「落ち着きぬ」とはぽっこりはまってるのでしょうか。この表現には脱帽です。

童子さん: 拾われなかった栗の実を連想しました。

能登さん: 雨だれの穴にすっぽり入った木の実。着眼点が素晴らしい。

泉さん: 木ノ実が落ちる感じがする。

容子さん: 今月いちばん好きな作品です。小さい穴でしょうが雨水も少し溜まっていて、実が浸っている感じもします。この実と同じくとても心が落ち着く句です。

他に遅足さん、佐保子さん、須美さんもとられました。

 

 

何でもない現象といえば何でもない。でも「ソコ」を拾いましたか!

という、やられましたの感ある句ではないかと思います。

水が低きに流れるように、転がるまるいものは凹みにおさまる。木の実も導かれるように行くべきところに落ち着いたのでしょう。

写生句に見えて観念的でもある。抗ったとしても、結局、物事全般なる様になるという真理でしょうか?

それならば何の為の努力かとお叱りを受けそうですが、おさまりのよいところから始まるものもあります。

木の実も水気を含んだ土から新たな命を芽吹かせるのでしょうね。   郁子

 

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大空に雲のアートや今朝の秋  亜子

2023年11月02日 | Weblog

夏から秋に変わる頃。雲の変化に驚かされます。南向きのベランダから毎朝雲を見ている亜子さん。亡くなったご主人のことを思い語りかけているそうです。秋の大空に作り出された雲のアート。思わずはっとするような美しさが伝わって来ます。

竹葉さん:雲ひとつない真青な空よりも色々な形の雲があった方が秋らしい朝を感じます。先日見たイルカの雲を思い浮かべました。

郁子さん:確かに秋の雲は大空をキャンバスにみたてたアートです。

晴代さん:待ちかねた秋を迎える大きな景ですね。

泉さん: 秋の空は高い、雲も美しい!

       ★★★

見事トップ賞になった亜子さんのこの句。「雲のアート」と言い切ったところがすばらしいと思いました。

    越前の天守に高く鱗雲  

こちらは私の拙句。越前大野城を訪れた時に作りましたがやや陳腐な感じでした。亜子さんの句に比べて斬新さが足りないと反省しました。

秋の雲は本当に目まぐるしく変わり色んな姿を見せてくれます。亜子さんは今朝もベランダから空をご覧になっておられることでしょう。ここ数日は雲一つない抜けるような快晴で大空は真っ青なキャンバス。アートとしてはちょっと物足りない感じがするかも知れませんね。

皆様明日からよい三連休をお過ごしください。          麗子

 

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