575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

手を打てば花筏揺る真鯉かな   結宇

2014年04月30日 | Weblog
手の題詠で、唯一つ「音」を詠んだ句です。

ちょっと中七が窮屈な感じがします。
俳句はわずか17文字。
すべてを言い尽くすことは不可能。
たぶんコトバが一つ多すぎるのではないでしょうか。

たとえば、鯉は言わずに

 手を打てば揺れて波たつ花筏

として、鯉を読者に任せる手もあります。
いや、それでは亀かと思う人もいるかも?知れませんね。

 手を打てば真鯉の揺らす花筏

これも真鯉を先に言ってしまってはダメですね。
なかなか難しいですね。
                 遅足

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さながらハープのような   鳥野

2014年04月29日 | Weblog
運転免許証を返納してから、もう何年か。
新卒早々に取得し、半世紀近くを我が足と親しん
できたものを、高齢故の決断でした。

交通事故の原因も、被害者も多くが高齢者、とあ
ればの自粛です。

長年を充分に、走り回りました。橋で、フェリー、
で連絡船でと繋いで。

忘れられない冒険、思いがけない出会い、息を呑
む美しさ・・・。数々ある中で、もう一度見て置
けば、と悔やまれる景は「名港トリトン」です。

先ず名港西大橋が開通し、やがて中央、東と揃い、
伊勢湾岸自動車道が完成。
3本続く斜張橋の優雅な姿に出会った時の感激。
流れのままに只走っただけの、印象で、残念。

「近場だから、また来れば」の願いは、車がなく
ては未完ままです。

 ・ 白銀の弦いくすじも重ねつつ斜張橋トリトン
   うみを奏でる         
                 鳥野
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春昼のおのずとひらく玉手箱   遅足

2014年04月29日 | Weblog
竜宮城から帰ってきた浦島さん。
思わず、もらった玉手箱を開けてしまいます。
おじいさんに返って、お話は終わり。

玉手箱を、あのまま開けなかったら・・・
どうなっていたのでしょうか?
浦島さんが、うつらうつらと居眠りをしている間に・・・
玉手箱は開いたかも知れませんね。

人生、玉手箱を手にしてしまうことがあるかも。
大事に大事にしまっておいて・・・と。
人間の思惑を超えた手が動く。
あるいは玉手箱が辛抱できなくなって・・・

魔法の箱。
案外、誰もが持っているのかも知れません。

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手のひらに受けとめきれぬ落花かな    麗子

2014年04月28日 | Weblog
飛花落花。思わず手に取ろうと・・・
落花はやむことなく続いています。
花を追いかけているのは、作者なのか?
それとも小さな女の子でしょうか?

手という言葉は人間そのものを表しています。
手=人間。花=自然。
一つには、人間に対する自然の大きさ、深さを感じます。

また時間の流れの中で、この句を読むと・・・
物事には、必ず終りの時が来ます。
それを押しとどめることも、また人間の手に余ることです。

わずか17文字。でも、さまざまな意味に読み取れる一句です。

                       遅足


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緊張の口許ゆるむ一瞬ののち取り戻す失いし声   遅足  

2014年04月27日 | Weblog
奥さんの友人が主催する朗読会に。
友人のご主人は2年前にクモ膜下出血で半身不随に。
もちろん、お話することも出来ませんでした。
それが今回の会では見事に朗読を。
声を取り戻されたのです。
(今朝の中日の市民版に記事が掲載されています)

会には音楽療法士の方も。
休憩のあとに全員で「予防」療法をうけました。

童謡のこいのぼりを歌いつつ、手で拍子をとる。
歌詞を覚えているのか?心配でした。
甍の波と雲の波・・・歌っているうちに歌詞は自然に口に。
海馬という記憶を司る脳に神経細胞の信号が届いたようです。
手も動くようです。
これで右脳と左脳の両方が働く、脳が活性化するそうです。



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夜桜や結ぶ手さぐる幼かな   静荷

2014年04月27日 | Weblog
祖母と孫などの組み合わせでしょうか? 
組み合わせがいい、と結宇さん。

桜見物。最初ははしゃいでいた幼子。
夕暮れから夜に・・・
闇が深まるにつれ、心細くなってきたようです。
母親でしょうか?祖母でしょうか?
ぴったりと身を寄せてきます。
そして手を取ろうと・・・

夜桜の世界がもっている妖艶な不可思議さ。
幼心にも感じとっているのでしょう。

自由題の同じ静荷さんの句。

  まなうらにしかと今年の飛花落花

来年、またこの花を見ることが出来るのだろうか?
という気持ちが伝わってきます。

                   遅足


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手水鉢花衣着て静かなり   佐保子

2014年04月26日 | Weblog
料亭の手水鉢でしょうか?
庭の桜の花が散って美しい衣を着たようです。
午後のひと時、静かな佇まい。

花衣を着た女性が静かに庭を眺めている景も。
谷崎の描く細雪の三姉妹。
そんな想像も膨らんでくる一句です。

                遅足




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青饅(あおぬた)は故郷の味手捻りに   立雄

2014年04月25日 | Weblog
浅葱など緑の野菜、新鮮な魚や貝、酢味噌で和えます。
自らの手で捻った小鉢に盛って、木の芽を添えて出来上がり。

作者は尾道の出身。名古屋に住んでもう半世紀。
瀬戸内の春の味を思い出して作った句、とのこと。

定年後に習った陶芸。気に入った小鉢の一つに盛り付けます。
人生至福のひと時です。

私も頂いた浅葱でつくってみました。
貝や魚はなかったので竹輪で代用。
最後の酢味噌つくりで大失敗。辛くて・・・
事前に味見しないとね、と奥さんの弁。
次回はきっと美味しくつくります。     遅足

(写真は庭のハナミズキ。花のところに虫がいましたが・・)
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パンと喋る猫  麗

2014年04月24日 | Weblog
昨年12月4日にアップした「カレンダー」の記事の中に登場した子猫ちゃん。大阪の友人のメスの猫ちゃんで随分大きくなりました。
名前はチッキーちゃんと言います。
チッキーちゃんの大好物はパンとのことで、パンが欲しい時、いつもと違う鳴き方で「パン!」としゃべるそうです。(笑)

2年の秋に拾われてきてからは一度もマンションの外に出たことがなく自分のことは人間だと思っているみたいですが、今やすっかり家族の一員となり、言葉も理解し仲良くお話もするのです。
今度はぜひ女子会をしようと思います。

       春うらら子猫も一緒に女子会を   麗

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寺の春闌けて朱露さん現るる

2014年04月23日 | Weblog
先日、京都へ。
仁和寺の桜はいかに?と問うに。
「落花さかん」との立札。
しかし「花は葉に」でした。

一回りして昼食と「松風」という門前のお店に。
うどんを食べていると眼の前にバスが停車。
ご夫婦が下車。
見ると・・・なんと!朱露さんご夫婦!!!

お互いに奇遇にびっくり。
食事のあと仁和寺の御殿をご一緒に見学。
朱露たちは10年ぶりの京だったとか。

ビックリの一日でした。  遅足

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手を振れば岸の子も振り花見船   亜子

2014年04月23日 | Weblog
長閑です。景も心情も、そして句も 、と鳥野さん。

花見船が出るほどですから名のある桜の名所。
東海地方では奥の細道終焉の地、大垣。たらい舟かな?
句の花見船は、京都・伏見の屋形船だそうです。

水のうえを行く作者。岸をあるく子供を見て微笑みます。
ちょっと手を振ると・・・相手も手を振って。

見知らぬ子供ですが、ともに花見を楽しむ花の友。
微笑ましい一瞬を切りとった絵のような一句です。

                     遅足


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御腰をひねりて   鳥野

2014年04月22日 | Weblog
心が萎えた時、仕事に行き詰まった時、無性
にお会いしたくなるのは、「渡岸寺の十一面
観音様」と多くの人が書いています。
像のお傍に立つだけで、心が休まり、救われ
るのです。

美しい観音様です。高さは約2メートル、ふ
くよかな姿態に薄物の衣をまとい、腰を僅か
に捻って、話を聞き届けてくださる風情。

天平時代の作、と言われるこの像を守り、伝
えてきたのは、名もない村の人たち。幾多の
戦火も、苦難も潜ってきました。

北陸本線の高月、木之本、余呉の一帯、奥琵
琶湖、或いは湖北と言われるこの地方は、観
音の里。いくつもの観音像を拝観することが
できます。

村人に「石道の観音様」と呼ばれているのは、
素朴で、初々しい娘さま。伏し目がちな表情
で、一歩あゆみ寄って来られ、悩み事に明る
い答えが頂けそうです。

 
 ・観音の御足の親指反りており 吾が女の坂
  の歩みゆだねん
                  鳥野

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花冷えやうすくなりゆく手術痕   晴代

2014年04月20日 | Weblog
なんとなく冷え冷えとした雰囲気がいい、と結宇さん。

痕(あと)が残るほどの手術。当初は痛みもありました。
時とともに痛みは消え、傷痕もだんだん薄くなっていきます。

華やかに咲き誇った花。寒の戻りのような寒さ。
花冷えが、手術を思い起こさせました。
改めて痕がうすくなっていることに気付きます。

「手」からの連想の手術。さらに手術痕という言葉の発見へ。
複雑な気持ちをみごと17文字に。
題詠ならではの一句でしょうか。

私は、小学6年の時に西瓜を食べた直後、激痛。
緊急で盲腸の手術をうけました。
以来、しばらく西瓜が食べられませんでした。
脊椎麻酔の針を打つ時の痛みは忘れられません。
痕は60年経っても消えません。

                     遅足

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振り終えた手に痛みあり白木蓮   郁子

2014年04月19日 | Weblog
手を振って別れる。見送って・・・ふと手が痛いな、と。
一生懸命だった自分に気付きます。
白木蓮が風に揺れて手を振っているようです。

別れたのは誰だったのでしょうか?
なかなか会えない人・・・
白木蓮に託されたメッセージは何でしょうね?

  声あげむばかりに揺れて白木蓮   西嶋あさ子

                     遅足



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4月句会の最終結果です。      遅足

2014年04月18日 | Weblog
9人が出席でした。さまざまな手がありました。
手櫛が一番人気でした。おめでとうございます。


題詠「手」

①振り終えた手に痛みあり白木蓮(郁子)狗子
②花冷えやうすくなりゆく手術痕(晴代)結宇・能登・智恵・えみ・遅足・麗子・すみ・立雄
③手を振れば岸の子も振り花見船(亜子)鳥野・童子・静荷
④青饅(あおぬた)は故郷(ふるさと)の味手捻りに(立雄)えみ・佐保子
⑤手水鉢花衣着て静かなり(佐保子)能登・静荷・麗子・童子・すみ・亜子
⑥夜桜や結ぶ手さぐる幼かな(静荷)結宇・智恵・童子
⑦春昼のおのずとひらく玉手箱(遅足)能登・えみ・佐保子・晴代・狗子
⑧手のひらに受けとめきれぬ落花かな(麗子)静荷・亜子
⑨手を打てば花筏揺る真鯉かな(結宇)郁子
⑩桜蘂哀しみふわり手の中に(えみ)鳥野・晴代・郁子
⑪もみじ手の我に似ており菫咲く(能登)狗子
⑫手櫛してネクタイ締める四月かな(すみ)結宇・鳥野・智恵・佐保子・遅足・麗子・晴代・郁子・亜子・立雄
⑬喋る犬足ではなくてこれは手だ(狗子)すみ・遅足
⑭痛む手を擦り行く末思う朝(智恵)立雄
⑮手を冷やし息を切らして春の闇(童子)  


自由題

①頬撫でし色濃き枝垂れ桜かな(立雄)静荷・麗子・狗子
②花の下(もと)句碑の文字(もんじ)の読み解けず(佐保子)結宇・能登・郁子・亜子
③まなうらにしかと今年の飛花落花(静荷)結宇・鳥野・能登・えみ・佐保子・麗子・すみ・立雄
④内濠に枝を映して花月夜(亜子)能登・智恵・静荷・郁子・立雄
⑤風信子(ヒヤシンス)知つてゐる妻知らぬ妻(遅足)鳥野・えみ・晴代・童子
⑥潦(にわたずみ)花びらとどめ春惜しむ(晴代)智恵・静荷・すみ・立雄
⑦指先で春の音色を確かめる(麗子)えみ・遅足・狗子
⑧花の御所幾世花絶ゆ都小路(結宇)
⑨瀬戸電の桜花道窓笑ふ(郁子)狗子・すみ・亜子
⑩A案が密かに通る春の闇(えみ)佐保子・遅足・麗子・晴代・郁子・童子・亜子
⑪過去を燃す煙たなびき鳥帰る(能登)智恵・晴代
⑫木の芽味噌すべてのものは緑なり(すみ)結宇・鳥野
⑬蝌蚪(かと)の紐すこしゆるみてゆれてをり(狗子)佐保子・童子
⑭賑々し桃なり梅なり問う車窓(智恵)
⑮葉桜のトンネルを行く仮設トイレ(童子)遅足


次回は5月21日(水)  午後1時  東鮓
題詠は「サングラス」です。


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