575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

シルクロードのおみやげ    竹中敬一

2017年01月27日 | Weblog
私は昼間、窓際に中国で買ってきた石材の小さなラクダを置いて眺めています。
緑色のラクダは、その日の天候によって、微妙に色を変化させるのです。
雨や曇りの日は、不透明で深い緑色、天気のよい日には半透明で薄い緑色に。
この置物は、敦煌 (とんこう)へ行った時、土産店で買ったもので、千円くらいだったと思います。

昔から酒泉という町が近くの祁連 (きれん) 山脈で採れる玉の加工で知られており、
店の話では、このラクダも祁連石で作られたものだと云うことですが、
真贋の程はわかりません。
安物ですから、偽物かもしれませんが、私にとってはヒスイのように見える宝物です。

井上靖の小説「 敦煌」を再読していたら、ウイグルの王族の娘の首飾りのことが出てきました。
その首飾りは、小説上のことながら、「碧(みどり)の玉」、「月光玉」と云って、
ホータン産の中でも最高級品だと書いています。

中国・唐時代の詩人、王翰 (おうかん) の有名な「涼州詩 (りょうしゅうし) 」に出てくる
「葡萄の美酒 夜光の杯」の夜光杯はホータン産の白玉だとする説があります。

私が土産店で買ってきた夜光杯は酒泉で加工されたもので、黒ずんでいます。
夜光杯と云っても、この他、緑がかったものなど、様々な色合いがあるようです。
私はこれまで、涼州詩の夜光杯といえば正倉院にもあるペルシャ製のグラスだと
ばかり思い込んでいました。そういう説もあるようです。

私は「葡萄の美酒 夜光の杯」はガラス製が似合うと思っていますので、
買ってきた杯でお酒を飲んだ事はありません。
緑色のラクダにシルクロードの歴史を重ねて楽しんでいます。
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