こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
台風が過ぎて吹き返しの風が強いですが、良い天気になりました。これで台風もお仕舞いだといいですね。
近頃、東大大学院入試に出題された、中学生にも解ける簡単な問題を取り上げてきたので、今回は難しい問題です。一昨日紹介した合同式を使うので、それに馴染んでいただくと良いかと思います。
出典は、Terence Tao,“solving mathematical problems” で、問題は、
「nとxが整数のとき、
2^n+7=x^2
の解をすべて求めよ。」
というものです。(ここで、2^n は2のn乗、x^2 はxの2乗を表します)
問題文も短く、覚えやすくて良いですね。与式は、nとxが整数なので、ディオファントス方程式と呼ばれる整数の不定方程式です。さらに、右辺が正の整数ですから、n>0となります。
一見、n=1でx=±3、また、左辺の7がなければ、nが偶数(n=2m、mは正の整数)のとき、x=±2^m が解になるのは判るのですが、どこから切り込んでいくか難しいところです。
以前に整数の不定方程式の基本解法テクニックは、
・因数分解を使う
・大小関係を使う
・剰余で分類する
を挙げましたが、Tao教授は、モジュラー算術(合同式⇔剰余で分類)と因数分解を挙げています。
結論としては、モジュラー算術を使って解くことになるのですが、与式をみると7が素数なので因数分解が魅力的に見えます。
そこで、与式
2^n+7=x^2 (1)
の左辺の2^n を移項して、右辺を因数分解してみます。すると、
7=x^2-2^n
=(x-2^m)(x+2^m) (n=2m)
となり、x-2^m、x+2^m が7の因数なので、それぞれ、-7、-1または1、7になります。
そこで、
x-2^m=-7
x+2^m=-1
から、x=-4、2^m=3
x-2^m=1
x+2^m=7
から、x=4、2^m=3
となり、nが偶数の場合、解はないことになります。(残念ながら得られた成果はこれだけです)
それでは次に、Tao教授の挙げたもう一つのテクニックであるモジュラー算術を使うことにします。
それでは、モジュラー算術の法を2として2^n の項を消去しましょう。まず、n=0のとき、(1)は、
1+7=x^2
8=x^2
となり、これを満たす整数xはありません。
そこで、n≧1の場合を考えると、
7≡x^2(mod2)
1≡x^2(mod2)
となります。
これは、平方数を2で割った余りが1となるということで、xが奇数のとき成立してしまい何の制限にもなっていません。
ここでTao教授は、“To restrict the value of x^2,we have to choose a different modulus.With this line of thought・・・”(x^2の値を制限するために、別の法を選ばなくてはならない。この考え方に沿って・・・)と法を2から4に変更します。(この辺りが凄いですね)
つまり、
2^n+7=x^2(mod4)
を調べるのですが、これをnで場合分けすると、
n≧2のとき、
0+7≡x^2(mod4)
3≡x^2(mod4) (2)
n=1のとき、
2+7≡x^2(mod4)
1≡x^2(mod4) (3)
n=0のとき、
1+7≡x^2(mod4)
0≡x^2(mod4)
となります。
一方、x=4p+q (pは整数、q=0、1、2、3)とすると、
x^2=(4p+q)^2
=16p^2+8pq+q^2
なので、
x^2≡q^2(mod4)
≡0、1(mod4)
となり、(2)はあり得ないことになります。(上手く行きました)つまり、n=1または0となり、それぞれの場合を調べると、
n=1の場合、(1)から
2+7=x^2
9=x^2
ゆえに、
x=±3
n=0の場合、前述したように、
x=±2√2
となり、これはxが整数の条件に反します。
したがって、正解は、n=1、x=±3となります。
それにしても上手くx^2を制限できたものです。一連のテクニックを頭に入れておくと良いかもしれません。
台風が過ぎて吹き返しの風が強いですが、良い天気になりました。これで台風もお仕舞いだといいですね。
近頃、東大大学院入試に出題された、中学生にも解ける簡単な問題を取り上げてきたので、今回は難しい問題です。一昨日紹介した合同式を使うので、それに馴染んでいただくと良いかと思います。
出典は、Terence Tao,“solving mathematical problems” で、問題は、
「nとxが整数のとき、
2^n+7=x^2
の解をすべて求めよ。」
というものです。(ここで、2^n は2のn乗、x^2 はxの2乗を表します)
問題文も短く、覚えやすくて良いですね。与式は、nとxが整数なので、ディオファントス方程式と呼ばれる整数の不定方程式です。さらに、右辺が正の整数ですから、n>0となります。
一見、n=1でx=±3、また、左辺の7がなければ、nが偶数(n=2m、mは正の整数)のとき、x=±2^m が解になるのは判るのですが、どこから切り込んでいくか難しいところです。
以前に整数の不定方程式の基本解法テクニックは、
・因数分解を使う
・大小関係を使う
・剰余で分類する
を挙げましたが、Tao教授は、モジュラー算術(合同式⇔剰余で分類)と因数分解を挙げています。
結論としては、モジュラー算術を使って解くことになるのですが、与式をみると7が素数なので因数分解が魅力的に見えます。
そこで、与式
2^n+7=x^2 (1)
の左辺の2^n を移項して、右辺を因数分解してみます。すると、
7=x^2-2^n
=(x-2^m)(x+2^m) (n=2m)
となり、x-2^m、x+2^m が7の因数なので、それぞれ、-7、-1または1、7になります。
そこで、
x-2^m=-7
x+2^m=-1
から、x=-4、2^m=3
x-2^m=1
x+2^m=7
から、x=4、2^m=3
となり、nが偶数の場合、解はないことになります。(残念ながら得られた成果はこれだけです)
それでは次に、Tao教授の挙げたもう一つのテクニックであるモジュラー算術を使うことにします。
それでは、モジュラー算術の法を2として2^n の項を消去しましょう。まず、n=0のとき、(1)は、
1+7=x^2
8=x^2
となり、これを満たす整数xはありません。
そこで、n≧1の場合を考えると、
7≡x^2(mod2)
1≡x^2(mod2)
となります。
これは、平方数を2で割った余りが1となるということで、xが奇数のとき成立してしまい何の制限にもなっていません。
ここでTao教授は、“To restrict the value of x^2,we have to choose a different modulus.With this line of thought・・・”(x^2の値を制限するために、別の法を選ばなくてはならない。この考え方に沿って・・・)と法を2から4に変更します。(この辺りが凄いですね)
つまり、
2^n+7=x^2(mod4)
を調べるのですが、これをnで場合分けすると、
n≧2のとき、
0+7≡x^2(mod4)
3≡x^2(mod4) (2)
n=1のとき、
2+7≡x^2(mod4)
1≡x^2(mod4) (3)
n=0のとき、
1+7≡x^2(mod4)
0≡x^2(mod4)
となります。
一方、x=4p+q (pは整数、q=0、1、2、3)とすると、
x^2=(4p+q)^2
=16p^2+8pq+q^2
なので、
x^2≡q^2(mod4)
≡0、1(mod4)
となり、(2)はあり得ないことになります。(上手く行きました)つまり、n=1または0となり、それぞれの場合を調べると、
n=1の場合、(1)から
2+7=x^2
9=x^2
ゆえに、
x=±3
n=0の場合、前述したように、
x=±2√2
となり、これはxが整数の条件に反します。
したがって、正解は、n=1、x=±3となります。
それにしても上手くx^2を制限できたものです。一連のテクニックを頭に入れておくと良いかもしれません。
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