こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
一昨日以来、熊本では大きな地震が続いているようです。地震が早く収束し、被災された方々が早く日常の生活に戻られることを心からお祈り申し上げます。
さて、今回は平成20年度京大入試問題(前期、文系)です。
問題は、
「正n角形とその外接円を合わせた図形をFとする。F上の点Pに対して、始点と終点がともにPであるような、図形Fの一筆がきの経路の数をN(P)で表す。正n角形の頂点をひとつとってAとし、a=N(A)とおく。また正n角形の辺をひとつとってその中点をBとし、b=N(B)とおく。このときaとbを求めよ。
注:一筆がきとは、図形を、かき始めから終わりまで、筆を紙からはなさず、また同じ線上を通らずにかくことである。」
です。
まず図1のように、正n角形の頂点のひとつをAとした場合の図を描いてみましょう。(ここで、頂点PnをAとしました)
▲図1.正n角形の頂点PnをAとした場合の図を描きました
図1で、Aからの可能な経路は時計回りの2本と反時計回りの2本の合わせて4本ありますが、ここは、初めの移動方向を時計回りに決めて経路数を計算し、最後に2倍する(反時計回りを加える)のが良さそうです。
また、正n角形の頂点間の経路はすべて2本なので、図形Fを一筆がきするためには、
(1)同じ方向に2周する
(2)1周目にどこかの頂点Pkで折り返し、その後再度頂点Pkで折り返す
しかありません。
そこで、初めの移動方向を時計回りとして、(1)と(2)の経路数を調べていきましょう。
まず(1)は、1周回って再度Aに到達するまでの各頂点で可能な経路が2本なので、経路数は 2^n です。
そして、2周目では各頂点で可能な経路が1本になるので、経路数は1になり、したがって、(1)の経路数は 2^n になります。
次に(2)です。
図1のように、折り返す頂点をPkとすると、1≦k≦nです。
Aから頂点Pkまで移動(時計回り)する経路数は 2^kで、頂点Pkで折り返してAに移動(反時計回り)する経路数は1です。
さらに、Aから頂点Pkまで移動(反時計回り)する経路数は 2^(n-k) で、頂点Pkで折り返してAに移動(時計回り)する経路数は1です。
つまり、頂点Pkで折り返した場合、その経路数は、2^k×2^(n-k)=2^n です。
ここで、頂点Pkはn通りあるので、(2)の経路数は n2^n になります。
したがって、初めの移動方向が時計回りのときのすべての経路数は、2^n+n2^n=(n+1)2^n で、これに初めの移動方向が反時計回りの場合を加えると、
a=(n+1)2^n×2
=(n+1)2^(n+1)
で、これが答えです。
続いて図2のように、正n角形の辺PnP1の中点をBとした場合です。
▲図2.正n角形の辺PnP1の中点をBとした場合の図を描きました
図2で、BPnとBP1の経路は、1番最初と1番最後に通らなければなりません。つまり、同じ方向に2周回るときも、頂点Pkで折り返すときも、頂点Pnと頂点P1を移動するときの経路は1本になるので、bはaの1/2になります。
したがって、
b=a÷2=(n+1)2^n で、これが答えです。
ついでにbを、先程のaと同じように調べてみましょう。
まず、時計回りに2周する経路数です。
Bを出発してから始めて頂点Pn-1に到達するまで、各頂点で可能な経路は2本なので、その経路数は 2^(n-1) で、それ以降、各頂点で可能な経路は1本になるので、時計回りに2周する経路数は 2^(n-1) になります。
次に、頂点Pkで折り返す場合の経路数です。
図2のように、折り返す頂点をPkとすると、1≦k≦nです。
Bから頂点Pkまで移動(時計回り)する経路数は 2^(k-1) で、頂点Pkで折り返して頂点Pnに移動(反時計回り)する経路数は1です。
さらに、頂点Pnから頂点Pkまで移動(反時計回り)する経路数は 2^(n-k) で、頂点Pkで折り返してBに移動(時計回り)する経路数は1です。
つまり、頂点Pkで折り返した場合、その経路数は、2^(k-1)×2^(n-k)=2^(n-1) です。
ここで、頂点Pkはn通りあるので、(2)の経路数は n2^(n-1) になります。
したがって、初めの移動方向が時計回りのときのすべての経路数は、2^(n-1)+n2^(n-1)=(n+1)2^(n-1) で、これに初めの移動方向が反時計回りの場合を加えると、
b=(n+1)2^(n-1)×2
=(n+1)2^n
で、先ほどの答えと同じになりました。
各頂点間の経路が2本なので簡単な一筆がきの問題でした。
一昨日以来、熊本では大きな地震が続いているようです。地震が早く収束し、被災された方々が早く日常の生活に戻られることを心からお祈り申し上げます。
さて、今回は平成20年度京大入試問題(前期、文系)です。
問題は、
「正n角形とその外接円を合わせた図形をFとする。F上の点Pに対して、始点と終点がともにPであるような、図形Fの一筆がきの経路の数をN(P)で表す。正n角形の頂点をひとつとってAとし、a=N(A)とおく。また正n角形の辺をひとつとってその中点をBとし、b=N(B)とおく。このときaとbを求めよ。
注:一筆がきとは、図形を、かき始めから終わりまで、筆を紙からはなさず、また同じ線上を通らずにかくことである。」
です。
まず図1のように、正n角形の頂点のひとつをAとした場合の図を描いてみましょう。(ここで、頂点PnをAとしました)
▲図1.正n角形の頂点PnをAとした場合の図を描きました
図1で、Aからの可能な経路は時計回りの2本と反時計回りの2本の合わせて4本ありますが、ここは、初めの移動方向を時計回りに決めて経路数を計算し、最後に2倍する(反時計回りを加える)のが良さそうです。
また、正n角形の頂点間の経路はすべて2本なので、図形Fを一筆がきするためには、
(1)同じ方向に2周する
(2)1周目にどこかの頂点Pkで折り返し、その後再度頂点Pkで折り返す
しかありません。
そこで、初めの移動方向を時計回りとして、(1)と(2)の経路数を調べていきましょう。
まず(1)は、1周回って再度Aに到達するまでの各頂点で可能な経路が2本なので、経路数は 2^n です。
そして、2周目では各頂点で可能な経路が1本になるので、経路数は1になり、したがって、(1)の経路数は 2^n になります。
次に(2)です。
図1のように、折り返す頂点をPkとすると、1≦k≦nです。
Aから頂点Pkまで移動(時計回り)する経路数は 2^kで、頂点Pkで折り返してAに移動(反時計回り)する経路数は1です。
さらに、Aから頂点Pkまで移動(反時計回り)する経路数は 2^(n-k) で、頂点Pkで折り返してAに移動(時計回り)する経路数は1です。
つまり、頂点Pkで折り返した場合、その経路数は、2^k×2^(n-k)=2^n です。
ここで、頂点Pkはn通りあるので、(2)の経路数は n2^n になります。
したがって、初めの移動方向が時計回りのときのすべての経路数は、2^n+n2^n=(n+1)2^n で、これに初めの移動方向が反時計回りの場合を加えると、
a=(n+1)2^n×2
=(n+1)2^(n+1)
で、これが答えです。
続いて図2のように、正n角形の辺PnP1の中点をBとした場合です。
▲図2.正n角形の辺PnP1の中点をBとした場合の図を描きました
図2で、BPnとBP1の経路は、1番最初と1番最後に通らなければなりません。つまり、同じ方向に2周回るときも、頂点Pkで折り返すときも、頂点Pnと頂点P1を移動するときの経路は1本になるので、bはaの1/2になります。
したがって、
b=a÷2=(n+1)2^n で、これが答えです。
ついでにbを、先程のaと同じように調べてみましょう。
まず、時計回りに2周する経路数です。
Bを出発してから始めて頂点Pn-1に到達するまで、各頂点で可能な経路は2本なので、その経路数は 2^(n-1) で、それ以降、各頂点で可能な経路は1本になるので、時計回りに2周する経路数は 2^(n-1) になります。
次に、頂点Pkで折り返す場合の経路数です。
図2のように、折り返す頂点をPkとすると、1≦k≦nです。
Bから頂点Pkまで移動(時計回り)する経路数は 2^(k-1) で、頂点Pkで折り返して頂点Pnに移動(反時計回り)する経路数は1です。
さらに、頂点Pnから頂点Pkまで移動(反時計回り)する経路数は 2^(n-k) で、頂点Pkで折り返してBに移動(時計回り)する経路数は1です。
つまり、頂点Pkで折り返した場合、その経路数は、2^(k-1)×2^(n-k)=2^(n-1) です。
ここで、頂点Pkはn通りあるので、(2)の経路数は n2^(n-1) になります。
したがって、初めの移動方向が時計回りのときのすべての経路数は、2^(n-1)+n2^(n-1)=(n+1)2^(n-1) で、これに初めの移動方向が反時計回りの場合を加えると、
b=(n+1)2^(n-1)×2
=(n+1)2^n
で、先ほどの答えと同じになりました。
各頂点間の経路が2本なので簡単な一筆がきの問題でした。
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