こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
連日、冬晴れのいい天気が続き、明日の元日も快晴で、気温も今日より上がって少し暖かくなるようです。とは言え、十分に寒いですから、特に受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。
さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック本選に出題された図形問題を取り上げます。
問題は、
「鋭角三角形ABCにおいて、Aから辺BC、Bから辺CA、Cから辺ABにおろした垂線の足をそれぞれD、E、Fとし、直線ADと直線EFの交点をGとする。また、三角形DFGの外接円と辺ABの交点のうちFでない方をP、三角形DEGの外接円と辺ACの交点のうちEでない方をQとする。このとき、直線PQは線分DGの中点を通ることを示せ。」
です。
早速、図1のように、問題の図を描きましょう。
▲図1.問題の図を描きました
図1を眺めてピンとくるのが、△DEFは△ABCの垂足三角形で、△ABCの垂心は△DEFの内心と一致するということです。
つまり、
∠ADF=∠ADE
∠BED=∠BEF
∠CFE=∠CFD (★)
です。
ここで、(★)が成り立つことを確認しておきましょう。
図2のように、△ABCの垂心をHとすると、
∠AFH=∠AEH=∠BDH=∠BFH=∠CEH=∠CDH=90°
から、四角形AFHE、四角形BDHF、四角形CEHDはそれぞれ円に内接します。
▲図2.四角形AFHE、四角形BDHF、四角形CEHDはそれぞれ円に内接します
すると、同じ弧の円周角が等しいことから
∠BDF=∠BHF
∠CDE=∠CHE
で、さらに対頂角が等しいことから
∠BHF=∠CHE
で、これらから、
∠BDF=∠CDE
です。
ここで、
∠HDB=∠HDC=90°
ですから
∠HDF=∠HDB-∠BDF
=90°-∠BDF
=90°-∠CDE
=∠HDC-∠CDE
=∠HDE
になることが判ります。
∠HED=∠HEF、∠HFE=∠HFDも同様なので、Hは△DEFの内心になります。
それでは本題に戻りましょう。
まず、図3のように、△DFGと△DEGの外接円の中心をそれぞれO1 とO2 とし、直線DGと直線O1O2 の交点をMとします。
▲図3.△DFGと△DEGの外接円の中心をそれぞれO1 とO2 としました
このとき、O1 とO2 はそれぞれ△DFGと△DEGの外心なので、O1 とO2 は辺DGの垂直二等分線上にあります。(つまり、Mは線分DGの中点になります)
一方、円O2 とBEの交点でEでない方の点をX、円O1 とCFの交点でFでない方の点をYとすると、
∠DEX=∠GEX
∠DFY=∠GFY
なので、
弧DX=弧GX
弧DY=弧GY
が成り立ちます。
したがって、直線XYは線分DGの垂直二等分線で、直線XYは直線O1O2 と一致します。
ここで、円O1 に注目すると、図4に示すように、Pは円O1 と辺ABとのFでない方の交点で、∠PFY=90°なので、線分PYは円O1 の直径になります。
したがって、Pは直線O1Y、つまり、直線O1O2 上にあります。
▲図4.P、Qは直線XY(直線O1O2)上にあります
また、円O2 に注目すると、Qは円O2 と辺ACとのEでない方の交点で、∠QEX=90°なので、線分QXは円O2 の直径になります。
したがって、Qは直線O2X、つまり、直線O1O2 上にあります。
以上から、P、Qは直線O1O2 上の点で、直線O1O2 は線分DGの垂直二等分線なので、直線PQは線分DGの中点を通ることが判りました。
△ABCの垂心が、垂足三角形DEFの内心になることを知っていれば見通しのよい問題です。
最後になりましたが、今年一年、本ブログに目を通して頂き、ありがとうございました。良い年をお迎えください。来年もよろしくお願い致します。
連日、冬晴れのいい天気が続き、明日の元日も快晴で、気温も今日より上がって少し暖かくなるようです。とは言え、十分に寒いですから、特に受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。
さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック本選に出題された図形問題を取り上げます。
問題は、
「鋭角三角形ABCにおいて、Aから辺BC、Bから辺CA、Cから辺ABにおろした垂線の足をそれぞれD、E、Fとし、直線ADと直線EFの交点をGとする。また、三角形DFGの外接円と辺ABの交点のうちFでない方をP、三角形DEGの外接円と辺ACの交点のうちEでない方をQとする。このとき、直線PQは線分DGの中点を通ることを示せ。」
です。
早速、図1のように、問題の図を描きましょう。
▲図1.問題の図を描きました
図1を眺めてピンとくるのが、△DEFは△ABCの垂足三角形で、△ABCの垂心は△DEFの内心と一致するということです。
つまり、
∠ADF=∠ADE
∠BED=∠BEF
∠CFE=∠CFD (★)
です。
ここで、(★)が成り立つことを確認しておきましょう。
図2のように、△ABCの垂心をHとすると、
∠AFH=∠AEH=∠BDH=∠BFH=∠CEH=∠CDH=90°
から、四角形AFHE、四角形BDHF、四角形CEHDはそれぞれ円に内接します。
▲図2.四角形AFHE、四角形BDHF、四角形CEHDはそれぞれ円に内接します
すると、同じ弧の円周角が等しいことから
∠BDF=∠BHF
∠CDE=∠CHE
で、さらに対頂角が等しいことから
∠BHF=∠CHE
で、これらから、
∠BDF=∠CDE
です。
ここで、
∠HDB=∠HDC=90°
ですから
∠HDF=∠HDB-∠BDF
=90°-∠BDF
=90°-∠CDE
=∠HDC-∠CDE
=∠HDE
になることが判ります。
∠HED=∠HEF、∠HFE=∠HFDも同様なので、Hは△DEFの内心になります。
それでは本題に戻りましょう。
まず、図3のように、△DFGと△DEGの外接円の中心をそれぞれO1 とO2 とし、直線DGと直線O1O2 の交点をMとします。
▲図3.△DFGと△DEGの外接円の中心をそれぞれO1 とO2 としました
このとき、O1 とO2 はそれぞれ△DFGと△DEGの外心なので、O1 とO2 は辺DGの垂直二等分線上にあります。(つまり、Mは線分DGの中点になります)
一方、円O2 とBEの交点でEでない方の点をX、円O1 とCFの交点でFでない方の点をYとすると、
∠DEX=∠GEX
∠DFY=∠GFY
なので、
弧DX=弧GX
弧DY=弧GY
が成り立ちます。
したがって、直線XYは線分DGの垂直二等分線で、直線XYは直線O1O2 と一致します。
ここで、円O1 に注目すると、図4に示すように、Pは円O1 と辺ABとのFでない方の交点で、∠PFY=90°なので、線分PYは円O1 の直径になります。
したがって、Pは直線O1Y、つまり、直線O1O2 上にあります。
▲図4.P、Qは直線XY(直線O1O2)上にあります
また、円O2 に注目すると、Qは円O2 と辺ACとのEでない方の交点で、∠QEX=90°なので、線分QXは円O2 の直径になります。
したがって、Qは直線O2X、つまり、直線O1O2 上にあります。
以上から、P、Qは直線O1O2 上の点で、直線O1O2 は線分DGの垂直二等分線なので、直線PQは線分DGの中点を通ることが判りました。
△ABCの垂心が、垂足三角形DEFの内心になることを知っていれば見通しのよい問題です。
最後になりましたが、今年一年、本ブログに目を通して頂き、ありがとうございました。良い年をお迎えください。来年もよろしくお願い致します。
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