東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本数学オリンピックの簡単な問題(63)

2016-10-21 12:11:01 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

天気予報は曇りですが、時々陽が射して明るくなります。明日明後日も曇りがちの天気になるようですが、雨は降らないようです。過ごしやすい週末になりそうです。

さて、今回は2015年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「平面上に5点A、B、C、D、Pがあり、このうちA、B、C、Dはこの順に同一直線上に並んでいる。また、AB=BC=CD=6、PB=5、PC=7をみたしている。三角形PACの外接円と三角形PBDの外接円の交点のうちPでない方をQとおくとき、線分PQの長さを求めよ。
 ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

線分PQの長さは、2つの円の半径とそれらの中心間の長さが判れば計算できます。

そこで、まず円の半径について調べてみましょう。

△PBCの3辺が与えられているので、Pから直線BCに下ろした垂線の長さが計算でき、すると、三平方の定理を使って、線分PA、PDの長さを求めることができます。

つまり、円に内接する△PAC、△PBDの3辺の長さが判りますから、それらの外接円の半径を計算することができます。

次に、2つの円の中心間の長さですが、円の中心が線分AC、BDの垂直二等分線上にあるので、これも三平方の定理を使って計算することができそうです。

それでは、この方針で進めていきましょう。

初めに、図2のように、Pから直線BCに垂線を下ろし、その足をHとします。


▲図2.Pから直線BCに垂線を下ろし、その足をHとしました

直角三角形PBH、PCHに三平方の定理を適用すると、
PB^2=BH^2+PH^2
PC^2=CH^2+PH^2
が成り立ちます。

このとき、PB=5、PC=7、CH=BC-BH=6-BHなので、
25=BH^2+PH^2                       (1)
49=(6-BH)^2+PH^2
  =36-2・BH+BH^2+PH^2              (2)
で、(1)(2)から
BH=1
です。

これを(1)に代入すると、
PH=2√6
です。

次に、直角三角形PAH、PDHに三平方の定理を適用すると、
PA^2=AH^2+PH^2
PD^2=DH^2+PH^2
が成り立ちます。

このとき、AH=AB+BH=6+1=7、PH=2√6、DH=BD-BH=11なので、
PA^2=49+24=73
PA=√73
PD^2=121+24=145
PD=√145
になります。

これで、△PAC、△PBDの3辺の長さが判ったので、それらの外接円の半径を求めることができます。

まず、図3のように、△PACから調べましょう。


▲図3.△PACの外接円の半径を求めます

円の中心をO1とし、直線O1Cと円の交点でCでない方をEとすると、線分CEは円の直径なので、∠CPE=90°で、
∠PHA=∠CPE                        (3)
が成り立ちます。

さらに、弧PCに対する円周角は等しいので、
∠PAC=∠PEC                        (4)
で、(3)(4)から△PAH∽△CEPになります。

したがって、
CE:PC=PA:PH
が成り立ち、ここに、PC=7、PA=√73、PH=2√6を代入すると、
CE=PC・PA/PH=7√73/2√6
で、CEは△PACの外接円の直径なので、その半径は、7√73/4√6になります。

そして図4に示すように、△PBDの外接円の半径も同じように求めることができ、それは、5√145/4√6です。


▲図4.△PBDの外接円の半径を求めます

ここまでで、2つの外接円の半径を求めることができました。

次に、2つの外接円の中心間の長さを計算しましょう。

図5のように、2つの外接円の中心O1、O2はそれぞれ線分AC、BDの垂直二等分線上にあります。つまり、AC⊥BO1、BD⊥CO2です。


▲図5.線分O1O2の長さを求めます

そこで、直角三角形O1BCとO2CBに三平方の定理を適用すると、
O1C^2=O1B^2+BC^2
O2B^2=O2C^2+CB^2
が成り立ち、ここに、O1C=7√73/4√6、BC=CB=6、O2B=5√145/4√6を代入して、O1B、O2Cを計算すると、
O1B=11/4√6
O2C=13/4√6
になります。

次に、O1を通り直線BCに平行な直線と直線O2との交点をGとすると、△O1O2Gは直角三角形です。

これに三平方の定理を適用すると、
O1O2^2=O1G^2+O2G^2
が成り立ち、ここに、O1G=6、O2G=O2C+CG=O2C+BO1=13/4√6+11/4√6=24/4√6=6/√6=√6を代入すると、
O1O2^2=36+6=42
O1O2=√42
になります。

これで、2つの外接円の中心間の長さが判りました。

いよいよ線分PQの長さを計算します。

図6のように、線分PQと線分O1O2との交点をRとすると、PQ⊥O1O2です。


▲図6.線分PQの長さを求めます

そこで、直角三角形PO1Rと直角三角形PO2Rに三平方の定理を適用すると、
PO1^2=PR^2+O1R^2
PO2^2=PR^2+O2R^2
が成り立ちます。

ここに、PO1=7√73/4√6、PO2=5√145/4√6、O2R=O1O2-O1R=√42-O1Rを代入して、
3577/96=PR^2+O1R^2                    (5)
3625/96=PR^2+42-2√42・O1R+O1R^2      (6)
で、(5)(6)から
3625/96=3577/96+42-2√42・O1R
O1R=-48/96+42
   =83/4√42
です。

これを(5)に代入して、
PR^2=3577/96-(83/4√42)^2
    =3577/96-6889/672
    =(3577×7-6889)/672
    =18150/672
    =(5×11)^2/(2^4×7)
PR=55/4√7
   =55√7/28
になります。

最後に、PQ=2PRから
PQ=55√7/14
で、これが答えです。


解答の筋道は簡単ですが、計算が煩雑な問題です。(簡潔な解法があるのかもしれません。ご存知の方はご教示ください)

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