サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

弁護士法第72条の発展的終焉

2008-11-06 21:52:40 | Weblog
先月、北海道のとある行政書士が、
弁護士法違反で逮捕された。
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行政書士業務は、取り扱う内容の上で
弁護士業務と重なり合う部分が多くある。
但し、弁護士法第72条の厚い壁があり、
これに違反することはできない。

以下、その条文である。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条
 
弁護士又は弁護士法人でない者は、
報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件
及び審査請求、異議申立て、再審査請求等
行政庁に対する不服申立事件その他一般の
法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは
和解その他の法律事務を取り扱い、
又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に
別段の定めがある場合は、この限りでない。

行政書士は相続業務にあたっても、それに関連する
書類作成ができるが、相手方との
直接交渉は禁じられている。
今回は直接交渉したために刑事告訴され
逮捕に至ってしまったと
記事を見る限りでは判断できる。
しかし○○行政書士容疑者は、それを否認している。
真意は定かでないが、私自身も
いつもそれで悩まされる。

翻れば
ここ10年の間に行政書士試験は
合格率数%の難関資格に変わり
質実ともに弁護士に負けないほどの
実力をつけてきていると思っている。
そうした意味においても
弁護士の法律事務独占の根拠は、
最早崩れ始めていると言っても決して
過言ではないと思っている。

物事には必ず「現象」と「本質」がある。

現象面で言えば、それが事実であったと
したならば第72条違反で「罪」になる。
しかし
本質面で言えば「行政書士は何もできなくなる」
は核心を突いている。
この第72条が改正されない限り
我々行政書士は「日蔭の部分」とも言える
負をずーっと背負わなくてはならない。

以下は、その記事内容の抜粋である。

札幌地検は28日、札幌市○○区
行政書士、○○功容疑者(76)を
弁護士法違反(非弁護士活動)容疑で逮捕した。
札幌弁護士会と北海道行政書士会が4月、
同容疑で刑事告発していた。

 調べでは、○○容疑者は06年春ごろ、
弁護士資格がないのに札幌市内の女性から
遺産相続の相談を受け、
着手金100万円など報酬を約束して
解決案を盛り込んだ書類を作成。
同9月6日、相手方に書類を渡すなど直接交渉し、
法律業務をした疑い。
容疑を否認している。

 ○○容疑者は今年2月、毎日新聞の取材に
「行政書士の仕事は法改正で拡大され、
法律上の争いがない契約書などの代理作成は
認められている。
これが弁護士法違反に当たるなら、行政書士は
何もできなくなる」と話していた。
北海道行政書士会の○○副会長は
「私たちも弁護士法違反に当たると考えている。
社会に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話した。

青木法務事務所
http://www.aoki-houmu.com/


かくありたい「芯あるサムライ」

2008-11-06 08:12:08 | Weblog
「武士の商法」
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慣れない商売を始めて失敗する
事のたとえ。
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左近次郎流の私見です。

士業。
別名サムライ業とも呼ばれます。
弁護士、行政書士、司法書士、社労士、調査士
税理士、会計士などなど。

明治維新、かつてのサムライが伝家の宝刀でも
ある刀で菜っ葉を切っていたと揶揄されもしました。

だが振り返って見て下さい。
「菊と刀」に象徴される如く、日本の、
そして日本人の精神文化を営々と
築き上げて来たのは武士です。

士業になるには
特認や自動的に資格が貰える人達を除き
難関な試験に合格しなければなりません。
そして、その後も自己研鑽の連続です。

一匹オオカミとして
気高く、そして潔く
ある意味、武士と言えませんか。

私は誇り得る品格を備えた「サムライ」だと
思っています。

但し
サムライ業の廃業は決して少なくはありません。
社会的には
片隅的な出来事ですが
開業と廃業が背中合わせになっている現実。

合格率
数%の国家資格。この難関を乗り越えて
開業しても、2年、3年の間に
仲間が次々と廃業していきます。

世の中の為になる仕事で
あっても、そこには何一つ
として保証はない。

信長流に言えば「切り取り次第」
の下剋上的な争奪戦。

まさに満身創痍の熾烈な競争が
展開されます。
これを良かれと思うか。
または悪しきと思うか。
人様々ですが
過当競争、需要と供給のアンバランスが
更に拍車をかけます。

士業。
試験に受かった後、開業してからの
勉強量は半端ではありません。
多分、受験以上の学習が要求されます。
それも裾野が広い上、内容が深い。

儲けのみを優先して考えれば
実は割の合わない士業。
その中でも、行政書士はその傾向が強い。
しかし
腐っても鯛。
人様のお役に立って
何とか、家族が食べていかれれば
「至福」。

更に私見ながら
介護・医療・法律・教育の現場
に競争原理を導入することは
いたずらに価格破壊を招き、
不正や質の低下を助長し
最後はお客様に多大な迷惑と負担を強いることに
繋がるのだろう。

私は左様に感じています。

青木法務事務所
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