つぶやき、或は三文小説のやうな。

自由律俳句になりそうな、ならなそうな何かを綴ってみる。物置のような実験室。

私的ニーチェかく語りき・その2

2017-01-12 21:04:59 | 文もどき
愛せなければ通過せよ。

メシアはかつて、汝の隣人を愛せよと説いた。人びとがその隣人に右の頬を張られてもか、と問うに、しからば左の頬を差し出せと申された。
左の頬を張られた者への答え。


表にはさながら悪意のごとく振る舞う、気位の高い慈愛もある。

人びとが望むように優しくすることは容易い。人びとにとって望ましい優しさを与えられる者は稀有である。そして愛のかたちは後者である。

愛ゆえに受ける誹りにおびえる君よ、惧れることはない。
すでにそこに愛は存在しないのだから。
苦い薬をポケットにしまい込み、甘いあまいシュガードーナツを投げつけていれば良いのだ。
あるいは、ドーナツさえ自分の口に入れれば良いのだ。

私的ニーチェかく語りき・その1

2017-01-12 19:05:49 | 文もどき
怪物と闘うものは
自らが怪物とならぬよう用心せよ、
深淵を覗き込むとき、
深淵もまたこちらを覗き込んでいるのだ。

己が深淵を覗き、内なる怪物と闘う者はさらに用心を重ねよ。怪物は怠惰や良心の仮面を纏い、畏れを侍らせて深淵を横たわっていることがあるからだ。
孤独に荒野を征く者よ、汝に祝福あれ。