つぶやき、或は三文小説のやうな。

自由律俳句になりそうな、ならなそうな何かを綴ってみる。物置のような実験室。

不調に関する考察

2018-08-14 18:14:44 | 文もどき
まるで深海にいるようだ。
深く、昏い、底すら見えないところで、ぐいぐいと圧がせまってくる。身を縮め、身体中の空気を抜いて隙間をなくし、小さく丸まって圧に堪える。
肺や空っぽの胃袋や息を抜く喉や耳管、筋肉、血管、細胞の中まであらゆる隙間を見つけて私の内側へと潜り込む。
小さく縮み、私は次第に柔らかさを失っていく。やわらかさとは、空気を孕んだ隙間を持つことなのだ。
およそ、元の体積を失って小さくなった私は密度を高め、かたくなっていく。頑なに縮こまり、余計な隙間は何もない。カチンコチンにかたまって、身動きも取れずただ底に転がる。
嵐の日、風や波やあらゆるものがふたたび私を巻き上げるときまで、それは、深く、昏く、私を締めあげてゆくのだ。