高齢者(60以上)の血圧治療の科学的根拠を集めました。
まとめ(1-4で下に根拠):いつでも血圧の上が180以上でさらに下が90をこす人で長寿効果がみられる(1)。血圧上が160以上なら脳硬塞死亡は3割減期待できる(2、3、4)。脳硬塞は障害の原因にもなるので血圧を下げる努力が必要(薬が手っ取り早いが嫌いな人は生活習慣でも)。1回目は緊張して高くでるので(白衣高血圧)2回目以降で評価する。薬によるガンはあってもせいぜい10%増なので上の基準の人は治療のメリットのほうが大きい(2)。ただし新しい降圧剤での二重盲目検定でのガンの資料が見つからなかったので結論はできない。
二重盲目検定による治療試験
1.
Dahlof, B., Lindholm, L.H., Hansson, L., Schersten, B., Ekbom, T., Wester, P.-O. Morbidity and mortality in the Swedish Trial in Old Patients with Hypertension (STOP-Hypertension) 1991 Lancet 338 (8778), pp. 1281-1285
1627人(プラセボ815/薬812)2から5年追跡
3回訪問していつでも
収縮期血圧 180以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
または 拡張期血圧 105以上 の人
全体死亡 プラセボ63/薬36(統計的有為に低下P=0.008)
心筋梗塞死亡 プラセボ6/薬6(統計的無為)
脳硬塞による死亡 プラセボ12/薬3(統計的確信 95%以上)
2.
Peart, S., Brennan, P.J., Broughton, P., Dollery, C., Hudson, M.F., Lever, A.F., Meade, T.W., (...), Pocock, S.J. Medical Research Council trial of treatment of hypertension in older adults: Principal results 1992 British Medical Journal 304 (6824), pp. 405-412
4396人(プラセボと薬が半々位)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 の人
脳硬塞による死亡リスク 薬で25%減(95%確信範囲3から42)
全体死亡は統計的有為な低下なし(3%減、95%確信範囲 -14から+18)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(22%減、95%確信範囲 -4から+41)
がン死亡は統計的有為な増加なし(10%増、95%確信範囲 -16から+45)
使用薬:atenolol 50mg, hydrochlolothiazide 25mg, amiloride 5mg
3.
Probstfield, J.L. Prevention of stroke by antihypertensive drug treatment in older persons with isolated systolic hypertension: Final results of the Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP)1991 Journal of the American Medical Association 265 (24), pp. 3255-3264 2615
4736人(プラセボ2371/薬2365)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 だけど 拡張期血圧 90より低い人
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.63、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡は統計的有為な低下なし(0.87、95%確信範囲0.73-1.05)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(0.80、95%確信範囲0.57-1.13)
がン死亡は統計的有為な増加なし(0.96、95%確信範囲 0.70-1.31)
使用薬:chlorthalidone 25mg (サイアザイド利尿薬), atenolol 50mg
4.
Amery, A., Brixko, P., Clement, D. Mortality and morbidity results from the European Working Party on High Blood Pressure in the Elderly trial 1985 Lancet 1 (8442), pp. 1349-1354
840人(プラセボ424/薬416)7年追跡
収縮期血圧 160以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
全体死亡 薬で9%減(統計的には無為P=0.41)
心臓や血管による死亡 27%減(統計的有為に低下P=0.04)
過去の複数の治療試験の結果を解析(9つ、上の4つを含む)
5.
Insua, J.T., Sacks, H.S., Lau, T.-S., Lau, J., Reitman, D., Pagano, D., Chalmers, T.C. Drug treatment of hypertension in the elderly: A meta-analysis 1994 Annals of Internal Medicine 121 (5), pp. 355-362 166
二重盲目検定による治療試験で昔におこなわれたものを集めて解析
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.64、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡も薬で1割減(0.88、95%確信範囲0.80-0.97)
心筋梗塞死亡も薬で2割減(0.75、95%確信範囲0.64-0.88)
コメント:血圧のはかりかたや値がいろいろなものをごちゃまぜにしている。あまり質がよいとはいえない。全体死亡や心筋梗塞死亡が本当に減るかは微妙と思われる。
まとめ(1-4で下に根拠):いつでも血圧の上が180以上でさらに下が90をこす人で長寿効果がみられる(1)。血圧上が160以上なら脳硬塞死亡は3割減期待できる(2、3、4)。脳硬塞は障害の原因にもなるので血圧を下げる努力が必要(薬が手っ取り早いが嫌いな人は生活習慣でも)。1回目は緊張して高くでるので(白衣高血圧)2回目以降で評価する。薬によるガンはあってもせいぜい10%増なので上の基準の人は治療のメリットのほうが大きい(2)。ただし新しい降圧剤での二重盲目検定でのガンの資料が見つからなかったので結論はできない。
二重盲目検定による治療試験
1.
Dahlof, B., Lindholm, L.H., Hansson, L., Schersten, B., Ekbom, T., Wester, P.-O. Morbidity and mortality in the Swedish Trial in Old Patients with Hypertension (STOP-Hypertension) 1991 Lancet 338 (8778), pp. 1281-1285
1627人(プラセボ815/薬812)2から5年追跡
3回訪問していつでも
収縮期血圧 180以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
または 拡張期血圧 105以上 の人
全体死亡 プラセボ63/薬36(統計的有為に低下P=0.008)
心筋梗塞死亡 プラセボ6/薬6(統計的無為)
脳硬塞による死亡 プラセボ12/薬3(統計的確信 95%以上)
2.
Peart, S., Brennan, P.J., Broughton, P., Dollery, C., Hudson, M.F., Lever, A.F., Meade, T.W., (...), Pocock, S.J. Medical Research Council trial of treatment of hypertension in older adults: Principal results 1992 British Medical Journal 304 (6824), pp. 405-412
4396人(プラセボと薬が半々位)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 の人
脳硬塞による死亡リスク 薬で25%減(95%確信範囲3から42)
全体死亡は統計的有為な低下なし(3%減、95%確信範囲 -14から+18)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(22%減、95%確信範囲 -4から+41)
がン死亡は統計的有為な増加なし(10%増、95%確信範囲 -16から+45)
使用薬:atenolol 50mg, hydrochlolothiazide 25mg, amiloride 5mg
3.
Probstfield, J.L. Prevention of stroke by antihypertensive drug treatment in older persons with isolated systolic hypertension: Final results of the Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP)1991 Journal of the American Medical Association 265 (24), pp. 3255-3264 2615
4736人(プラセボ2371/薬2365)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 だけど 拡張期血圧 90より低い人
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.63、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡は統計的有為な低下なし(0.87、95%確信範囲0.73-1.05)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(0.80、95%確信範囲0.57-1.13)
がン死亡は統計的有為な増加なし(0.96、95%確信範囲 0.70-1.31)
使用薬:chlorthalidone 25mg (サイアザイド利尿薬), atenolol 50mg
4.
Amery, A., Brixko, P., Clement, D. Mortality and morbidity results from the European Working Party on High Blood Pressure in the Elderly trial 1985 Lancet 1 (8442), pp. 1349-1354
840人(プラセボ424/薬416)7年追跡
収縮期血圧 160以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
全体死亡 薬で9%減(統計的には無為P=0.41)
心臓や血管による死亡 27%減(統計的有為に低下P=0.04)
過去の複数の治療試験の結果を解析(9つ、上の4つを含む)
5.
Insua, J.T., Sacks, H.S., Lau, T.-S., Lau, J., Reitman, D., Pagano, D., Chalmers, T.C. Drug treatment of hypertension in the elderly: A meta-analysis 1994 Annals of Internal Medicine 121 (5), pp. 355-362 166
二重盲目検定による治療試験で昔におこなわれたものを集めて解析
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.64、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡も薬で1割減(0.88、95%確信範囲0.80-0.97)
心筋梗塞死亡も薬で2割減(0.75、95%確信範囲0.64-0.88)
コメント:血圧のはかりかたや値がいろいろなものをごちゃまぜにしている。あまり質がよいとはいえない。全体死亡や心筋梗塞死亡が本当に減るかは微妙と思われる。