【FREEDOMLAND:2007/01/27公開】
製作国:アメリカ
監督:ジョー・ロス
原作:リチャード・プライス『フリーダムランド』(文藝春秋刊)
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ジュリアン・ムーア、イーディ・ファルコ、ロン・エルダード、ウィリアム・フォーサイス
ある夜、手を血まみれにした白人女性が病院に助けを求めてやって来る。報告を受けたロレンゾ・カウンシル刑事が駆けつけると、その女性、ブレンダ・マーティンは車で帰宅途中に黒人男性に襲われて車を奪われたと語る。しかも、後部座席には4歳になる息子が乗っていたという。事件が起きた現場は、黒人が大半を占める低所得者向けのアームストロング団地。さっそく捜査が開始されるが、手がかりを得られぬまま、一方的に犯人扱いされた団地住民との緊張ばかりが高まっていく。捜査に行き詰まったロレンゾは、行方不明の子どもの捜索を行うボランティア団体のリーダー、カレン・コルッチに協力を求め、事態の打開を図るが…。
リチャード・プライスのベストセラー作品の映画化。
またまた子どもを捜すジュリアン・ムーアでございます。
世にも奇妙な結末になったらという不安がありましたが、
これはただの誘拐事件のお話ではなく、いろいろな問題に発展していきました。
白人女性の車を黒人男性に奪われた・・・
しかも車には白人の子どもが乗っていた。
一体何の目的で車を奪ったのか、なぜ母親の両手が血まみれなのか・・・
事件の手縢りは母親の証言だけ・・・でもその証言もどこか曖昧。
その上、犯人の黒人男性は全然出てこないし、連れ去られた子どもも
一切出てこないのでなかなか先が見えないのです。
しかし事件の真相は意外なものでした。
勘のいい人はすぐに分かってしまうんでしょうけど、
分かったとしてもすごく考えさせられるお話です。
白人が被害者で、黒人が加害者であるというところから、
事件そのものよりも人種差別が前面に出てきてます。
しかも、黒人が多く住む地区での事件のためと
付近一帯をいきなり封鎖したことで住民と警察でもめもめになります。
警察は黒人が被害者の時はあまり動かないのに、
どうして白人の時はこんなに動くのかという言葉が印象に残ります。
いつも犯人は黒人だと決めつける・・・
この人種問題はいろいろな映画の中でもとりあげられますが、
あまり前向きな描き方ではなくて本当に難しい問題だということを見せつけられました。
またしてもジュリアン・ムーアの迫真の演技がすごいですね。
不安定な精神状態の役をやらせたらピカイチの人ですね。
子どもを持つ母親は特に共感できるのではないでしょうか。
母親として、女性として・・・も。
サミュエルのおじさんの役どころも
いろいろと悩みを抱えた人でしかもちょっと過呼吸気味?
ラストの言葉はとても重みがありました。
思えばここに出てくる人たちって、ワケありそうな人たちばかりだったなぁ。
アメリカは子どもの行方不明が多いのは聞きますが、
そういう子どもたちを探す会があるんですね。
草の根分けてというくらい大がかりなもの。
ほとんどが遺体で発見されるそうですが、親としてはたとえ殺されていても
ちゃんと埋葬するまではという想いで探しているそうですね。
この会の人たちのの協力もあって事件は解決の方向に行きますが、
警察よりも同じ境遇にあった人たちにしか分からないものがあるんだろうなぁ。
それにしても、ラストで宇宙人がどうのとか出てこなくてよかった~。
とっても真面目なお話でした。
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