浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

オリバー・サックスの話から

2013-02-09 11:15:08 | 日記・エッセイ・コラム
 いま読んでいる『知の逆転』(NHK出版新書)から、脳神経外科医のオリバーサックスへのインタビュー形式のの話の中で、共感する言葉を紹介しましょう。

 教育について
 「重要なことは先生と生徒の間のポジティブな関係・・・。・・情報を教えることも重要ですが、最も生徒を生き生きと興奮させるのは、先生の情熱です。・・・・教育は消極的であってはならない。積極的に好奇心や創造力、心の自立ということを刺激するべきだと思います。これらはすべての人に備わっている資質で、特に高い知能を必要とするものではありません。・・・プロジェクトを与えたり、提案すると言った形での教育がなされるべきではないか。」

 芸術や科学の基盤について
 「・・・書き物をしたり考えたりすることに没頭しているとき、・・・時間というものを意識しないで平和な時を過ごすことができます。我々はだれもがそういう時間を必要としているのです。・・・・ポジティブな平和な時間というものは芸術や科学の基盤であり、最も望ましい状態ではないでしょうか。」

 これらの話のほかにも、音楽の効用についてや言葉の問題など脳神経科学からくる分析を踏まえ、大いに勉強させてもらいました。

以上



中心市街地活性化のメルクマール

2013-02-07 11:02:37 | 国際・政治
 昨日、岐阜市の都市活性化特別委員会が開催されました。

 多くの政策説明やそれぞれの委員の質疑や議論が行われる中、どうしても中心市街地の活性化という点に気になってしまいます。

 種火だけでなかなか全体に火が回っていかないもどかしさとともに、やはりどうしても大きな起爆剤が必要になってくるのではないかと思います。日常性の活気が必要であり、イベントや行事はその日常性があってこそ効果があるのであって、単にイベントだけでは活性化につながらないのはもはや明らかです。

 人を引き付ける街とは魅力あるまちです。ではその魅力をどこに求めるかということであり、それこそが行政の役割になりますが、何をテーマとして力を集中させていくかということになります。

 先進的な事例を見てみますと、商業というものに偏りがちですが、やはり文化芸術やスポーツです。年代を問わず、趣味の領域からプロフェッショナルな領域まで、私たちを豊かにするのは文化芸術の世界です。そうした核のもとに波及効果として商業的、居住的空間が生まれてくることが理想です。

 民間の力を借りながら、場の提供とともに運営までの道筋をつけることが行政の役割であり、活性化の道筋になるのではないかと思っています。

以上



宮本常一「民俗のふるさと」を読んで

2013-02-04 09:16:26 | 日記・エッセイ・コラム
 なぜかしら年を経るにつれて過去へさかのぼる歴史というものに興味を持つという思いは私だけでしょうか。 自分自身の思考や思想の底流にあるものがなんであるかを考えながら、歴史を知る、ルーツを探ることによって、さらに自分自身が肉付けされていくような感覚を得ることができる幸福感があります。まさにそうした感覚を与えてくれた本でした。

 歴史からくる成り立ちを、古いものとして切り捨ててしまうとか、慣習への盲目的な服従か、という二者択一のものではないことは当然です。歴史からくる現実の上に私たちは立っているのであり、それを踏まえたうえで私たちは未来を選択していかなければならないということでしょう。不変のものをしっかりと見極め、変えなければならないものをよりよいものにしていくという現実的な選択が必要です。理想を成し遂げようとするならば多くの現実な過程を踏まなければならず、バーチャルなりセットができる世界ではないのです。

 本文のあとがきに書かれてある文章を少し引用して終わります。

 「・・・慣習は法律でつくられたものではなく、人が共同して生きていくために、自然的に考えだした人間の知恵であり、しかもそれを持ち伝えてきたものであった。・・・生活の中にしみ込んでいるものとして、日常の何でもない行為やモノの考え方の中に生きていることが多い。・・・それがときにはわれわれの生活文化を停滞させることもあるが、誰に命令されなくても自分の生活を守り、発展させるためのエネルギーにもなる。本当の生産的なエネルギーというものは命令されてできるものではない。・・・」(P258抜粋)

以上