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(旧)yoyo的日記

台湾での生活について、シェルターから受け入れた黒猫姉妹について、台湾で暮らして10年のyoyoが書いています。

映画レビュー:『ハンガー・ゲーム』(The Hunger Games)ー映画よりも原作の小説が気になる!

2012-04-28 | 小説・映画・音楽
先日、ダーリンがお休みの日に、二人で映画を見に行ったのですが、見たのはちょっと気になっていた『ハンガー・ゲーム』(The Hunger Games)です
(本エントリ中の写真は本作のIMDbサイトからお借りしました)



あらすじはこちら↓

独裁国家が支配する近未来が舞台。過去のある事件から、毎年12のエリアから男女一組ずつが殺し合いのゲームに参加させられる。妹の代わりに今年の「いけにえ」になった16歳の少女は生き残れるのか。
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アメリカでは同じヤングアダルト小説原作の映画ということで「ポスト・トワイライト」と呼び声も高く、かなりヒットしているようです。
主役のジェニファー・ローレンスはここ数年現れた期待の新人ですが、なんというか適度に体格が良くてサバイバルゲームで勝ち残ってもおかしくない雰囲気があります。


彼女と「ペア」になったピーターとの関係もなかなか面白かったのですが・・・。素材は悪くないんだけど、いろいろと「ここはもっと説明した方が面白いのに」というところがちょこちょこ出て来て、消化不良な感じなんですよねー

例えば、「12歳から18歳の男女」と簡単にいいますが、12歳から18歳ってものすごく差が大きい時じゃないですか。21歳~28歳ならまだわかるんだけど。実際12、13歳くらいの小さな子はバトルが始まるやいなやバタバタと殺されてしまいます。あと、「スポンサー」システムというのがかなり面白そうなんだけど、あまり活用されずに終わってしまったのも残念。この部分も「バトルで勝ち抜くためには、大衆に好かれなくてはいけない」というこのバトルが「ショー」である本質につながっているだけにもったいなかったなぁと思ったり。

この映画も2時間20分くらいあるので決して短い映画ではないのですが、それでも小説の内容を詰め込むのはきっと難しかったんでしょうね。
そのぶん「小説はきっともっともっと面白いんだろう」という期待ばかりが高まる感じでした
特になんか最後が「え、これで終わり??」という感じだったのですが、これはどうも続編があるということみたいです

あと、ぱっとあらすじを見ただけでわかるように2000年に公開された日本映画『バトル・ロワイアル』に酷似していて、パクリではないかという疑惑も出ていますね~私はBRのほうはちゃんと見てないので、今度見てみたいなぁと思っています



映画『Vincent Will Meer』を見ました♪

2012-04-03 | 小説・映画・音楽
三月中はあまり更新できませんでしたが、実はブログネタはいろいろあったんです。もっと時間のやりくりをうまくしなければ、と思いますね

気を取り直して、めずらしく映画ネタが続きますが、素敵な映画を見たのでご紹介♪(文中の写真はIMDbからお借りしました)

一人で映画を見に行くチャンスがあったので、なにを見ようかといろいろ予告編を見て決めたのがこれでした。うーん、日本語のサイトではまだ紹介が見つからないのですが、『ヴィンセントは海を目指す』(Vincent will Meer/ Vincent Wants to Sea)ですかね?ドイツ映画です。

主人公ヴィンセントはトゥレット障害を持つ青年。
母親を亡くしたばかりだが、離婚した父親とはそりが合わず、厄介払いをしたい父親に施設に押し込まれてしまう。
しかし、母親との「海を見に連れて行く」という約束を果たすため、施設で知り合った患者二人と一緒に海を目指して車で走り続けることに。
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まぁぱっと見てわかりやすく、ロードムービーです。映画の時間自体が1時間半くらいしかなかったので、いろんな前置きはさくさく進んであっという間にドライブ旅行の場面になります。
以前にロブ・シュナイダーが借金返済のためにジゴロになるコメディ映画がありましたが(『デュース・ビガロウ』)、その映画の中でもこの「トゥレット障害」を患った女性が出てきます。そのときは映画の中の話なのかと思っていたのですが、本当にこういう神経精神疾患があるんですね。さまざまな形のチックを伴い、時には「汚言症」と呼ばれるののしり言葉などを(本人が意図するわけではなく)発してしまう、というものです。学校や社会生活がかなり困難になりそうですね・・・


この難しい役をこなした主人公ヴィンセントを演じるFlorian David Fitzはこの演技で主演男優賞を取ったようです。それも当然!と思うほど素晴らしい演技でした。(さらにこの人は脚本も書いていたようです。そちらもノミネートされていました)
そして、ヴィンセントとともに施設を脱走する(実は一人は強制連行されたようなものでしたが)患者二人、拒食症のマリーと強迫性障害のアレックスも良かったです。3人ともキャラが立ってて、彼らが逃避行の過程でけんかしながら変わって行くところがすごく感動的でした

ロードムービーの醍醐味と言えば、景色のきれいさが大事だと思うのですが、アルプスを越えていくときの景色の美しさここを車で走ったらどんなに素敵だろうと思いましたね~



私たち日本人にとっては「海を見る」なんてまぁそんなにたいしたイベントではないんですが、地図で見ると分かるようにドイツ南部のフランクフルトやミュンヘンのあたりは本当にヨーロッパど真ん中な感じで、海がめっちゃ遠いんですよね


だから、「海が見たい」となると、「じゃあアルプスを越えてイタリアに行こう!」となるわけです。
きっと「ビーチを照らすまぶしい日差し」や「青い海」への憧れがすごくあるんだろうなぁと思いました

ヴィンセントを追いかけて、こちらもドライブを続けるヴィンセントのお父さんと施設の女性院長のキャラも良かったです。
この逃避行を通して例えばヴィンセントのトゥレット障害や、マリーの拒食症が劇的に良くなったりしないところも嘘くさくなくていいなと思いました。
あと、音楽もとっても素敵だったんですよ~これもロードムービーでは大事ですよね!日本でもし公開されたらぜひ見てください



映画『Safe House』を見ました♪

2012-03-18 | 小説・映画・音楽
けっこう前に見たのに書くのを忘れていました
これ、日本ではまだ公開の予定がないのかなー?

「デンゼル・ワシントン主演の映画」っていうのは、もうある種のブランドですよね。今回も事前にほとんどストーリーを知らなかったのに「彼の映画なら」という感じで見に行きました。結果、かなり面白かったです

あらすじはこんな感じ:

新米CIAエージェントのマットは、南アフリカ・ケープタウンの「Safe House」の「管理人」に任命されてはや数ヶ月。
Safe houseというのはCIAの隠れ家だけど、普段はなにもすることがない。ただひたすら自分のSafe houseが使われる日が来るのを待つのみ、でけっこうくさっている。
そんなある日、初めての「House guest(お客さん)」が来ることになったけど、それがなんとCIA内の伝説的存在のトビン・フロストだった。ところが、先輩エージェントたちがフロストを尋問している際に、絶対に安全であるはずのSafe houseが襲撃される。
「管理人」の一番の役目は「ゲストの安全」、ということで、フロストを連れて逃げまくるマット。しかし、もともと超エリートのエージェントだったフロストに若いマットは全然歯が立たず振り回されるばかり。それにしてもなぜ機密事項のはずのSafe houseの場所が敵にばれてたのか、もしかしてCIA内部に密告者が?フロストはほんとに「悪いやつ」なのか?
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実はマット役のライアン・レイノルズがなんとなく好きじゃなかったんだけど、でもこの映画での「新米エージェント」役はかなりはまっていたと思います。フロスト役のデンゼル・ワシントンはもちろん安定した演技力。しかも年とってもいつまでもかっこいいですよね~~~~
途中のカーチェイスやアクションもすごいんだけど、他人の心理を操ることに長けたフロストとうぶなマットの関係がだんだん変わって行くのが面白かったです。最後もスカッと決まるので、もやもやした気分のときに見るのもいいかも



『127時間』がすごい!

2011-07-19 | 小説・映画・音楽

なんだかしばらく映画もDVDも見てなかったのですが、久しぶりに借りたDVDのうち、これが一番面白かったのでご紹介です
前回のアカデミーでけっこうたくさんノミネートされていたのに(主演男優賞や作品賞も)結局主要な賞は全然取れなかった作品だったので、逆に興味を持ってDVDが出るのを心待ちにしていました。

あらすじはこんな感じ。
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アウトドア派のアーロンはある日一人でブルー・ジョン・キャニオンへ出かける。「自分のうちの庭のように」慣れ親しんだ大自然を満喫し、偶然出会った女の子たちにも即席のガイドをしてあげる余裕もある。ところが、アクシデントで大きな岩に 右腕を挟まれ、谷底で身動きできなくなってしまう・・・
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ここで初めてバーンと「127時間」のタイトルが出るわけです。このオープニングがめっちゃめちゃスタイリッシュでクール

予告編はこちら:



アーロンは子供の頃からアウトドア大好きでガイドもやったことあるし、レスキュー隊に入っていたことも。まぁいわば「プロ」なんですよね。それで過信してしまって、装備も必要最小限、今日自分がここにいることを誰にも言ってない、助けに来てくれる人は誰もいない、という状況。

この映画のすごいところは、なんというかかなり初期の段階でラストの予想がついてしまうところなんですよ。っていうか、もうそれしかありえないよね、という感じ。なので、ジャンルとしては一応アドベンチャーなんですが、「ラストが読めない」とか途中で二転三転する、というような映画では全然ありません。そして演じるのはほとんどがジェームズ・フランコ一人でほとんど回想シーンがいっぱいある一人芝居的な感じ。場所も腕が挟まれているから岩のところから動けない。
なんというか「よくこんな映画撮ろうと思ったな」と思うくらい条件の厳しい映画です

でも、そこはさすがに『スラムドッグ$ミリオネア』を撮ったダニー・ボイル監督。うまく撮ってるなぁと思いました。こんなシンプルな中にもちゃんといろんな伏線が仕込まれているので、途中途中でその伏線が拾われて行って、飽きさせないようになっているんですよ。

トレイラーを見てもらうとわかりますが、この映画、なにしろ自然が美しい!!特に最初のほうの女の子二人と一緒に飛び込んで遊ぶ地底湖みたいなところがすばらしいです。こんなところに行ってみたい!とわくわくしますよ

この映画、実話をベースにしたストーリーなんですが、いやはや人間ってすごいな、と思います。生きるための意志の力ってすごいです。
見終わるとなんとなく前向きに、元気になれる映画じゃないかなと思います

ジェームズ・フランコくんといえば、『スパイダーマン』シリーズが有名ですが、私はショーン・ペンの『ミルク』(2008)でのゲイの恋人役が印象的だったと思います。ここ数年は名門アイビーリーグのコロンビア大学で大学院に入学して英文学を専攻していたんじゃなかったかなぁ(もう卒業したかもしれませんが)、とにかく笑顔がものすごくキュートなハンサムだけど、クレバーな人、というイメージです。これからの作品にも期待大ですね~

『Black Swan』を見ました♪

2011-03-16 | 小説・映画・音楽

『Black Swan』、かなり前からオスカーにからんで噂は聞いていたけれど、実際にその作品の一端を目にしたのはオスカーの「ノミネート作品の紹介」でした。でも、オスカーを見ていた人は分かる通り、なにしろ『The King's Speech』が強くて、Black Swanはナタリー・ポートマンが主演女優賞を取ったものの、いまいち目立たなかったですよね今回、映画を見たときも実は時間的にちょうどいいのがBlack Swanだったという理由だけで見たのですが、いやーすごかった映画館で見ることを絶対にオススメしたい映画です

私が事前に知っていたのは、ナタリー・ポートマンが主演のバレエ映画であることくらいだったけど、"Black" Swanだし、映画のポスターもなんだか暗い感じなので、単なるピュアなバレエ映画ではないんだろう、と漠然と想像していまし
た。が、ものすごく「怖い」映画だった~~

あらすじ:
バレエ団に所属して明日のプリマドンナを夢見るNina。優秀で誰よりも練習熱心、かつてバレエダンサーだった母のサポートもあるが、今まで主役の座を得たことはなく、すでに28歳という年齢にも焦りを感じている。そんなとき、所属バレエ団が新しい解釈で「白鳥の湖」を公演すること、これまでのプリマドンナ(なんとウィノナ・ライダーが演じています)が引退し、新しいSwan Queenを選ぶことが発表され、俄然やる気がでます。オーディションの結果、主役に選ばれたのはNinaだったが、恩師のいうとおり、「白鳥は完璧だが、黒鳥はダメダメ」でどんどんプレッシャーが。そんなときにNinaとは正反対の個性のLilyも出て来てしまい、Ninaは自分が主役から降ろされてしまうのではないかというプレッシャーでだんだん狂気の世界へ入って行ってしまう。

このNinaという役柄、聡明で完璧主義で「お固い」感じが、ナタリー・ポートマンのイメージにばっちり重なって、「ナタリー・ポートマンのために書かれた脚本では?」と思うくらい。肝心のバレエシーンも本当にすばらしかったですもともとナタリーは小さいときにバレエをやっていた人なのですが(『レオン』のときも「ダンススタジオの帰り道でスカウトされた」とかそんなだった気がします)、今回はこの映画の撮影に入る一年も前からずっとバレエの練習を続けていたようで、すっかり「ダンサー」の身体になっていました。もともと小柄ではあったけど、なんとなく幼児体型っぽかったナタリーが無駄な肉など一片たりともなく、美しく筋肉がついた身体に豹変していたんですよ。噂では9kgも落としたとか。あの小柄な身体で9kgってすごいですよね

私と同じかもうちょっと上の世代の人は有吉京子先生の名作マンガ『Swan』を読んだことがあると思いますが、まさにあれの世界でしたねー。「白鳥の湖」の主役はバレエをやる人なら誰でも夢見る大役ですが、一人で高潔な白鳥と邪な黒鳥を演じ分けなければいけない大変難しい踊りです。ナタリー演じるNinaはストイックな性格で白鳥を完璧に踊れるけど、黒長はライバルのLilyにかなわない。このLilyというのが、背中に大きなタトゥーは入っているわ、酒もタバコもドラッグもやるわ、でバレエダンサーとしてはかなり型破り。でもセクシーでなんだか危ない魅力があって、Ninaも彼女を警戒しながらもなんとなく惹き付けられてしまう。(けっこう大胆なレズシーンも話題になってますね

この映画のもう一つのテーマは「エロス」なんですけど、ダンサーは表現者として官能も表現しないといけないのに、お固いNinaはぜんぜん官能的な踊りができない。Ninaもそれを打破しようと恩師の力を借りようとしたり、Lilyに近づいてみたり、と努力するんだけど、なかなかうまくいかない。その焦りでだんだん歪んでくる「Ninaの見てる世界」がもうすっごい怖いんですよ。ホラーとかじゃないんだけど、「ひーもう見てられない」って感じの緊張感がすごい


最後のクライマックスはもちろん「白鳥の湖」の初日の舞台になるわけですが、そのときのNinaの黒鳥の踊りたいしてCGとか使っていない映画だけど、あそこだけはすごかった。ナタリーの表情や踊りも相まって、比喩ではなく、本当に鳥肌が立ちました

映画を見終わってからもしばらくダーリンと「すごかったね」「すごかったね」としか言葉が出ない感じ。間違いなくナタリー・ポートマンの生涯の代表作の一つとなる映画だと思います

予告編はこちら


映画「Alice in Wonderland」を見ました♪

2011-02-13 | 小説・映画・音楽
前回”All Kids are...”の感想を書きましたが、見ているうちに娘役のミア・ワシコウスカが「なんかこの娘どっかで見たことあるなぁ」と気になってきました。そして気づきました。そうそう “Alice in Wonderland”(邦題はそのまま「アリス・イン・ワンダーランド」)のアリスじゃん!


この映画、実は映画館で見ようと思っていたのに見逃してそのまま結局ずっと見ていなかったんですよね~。というわけで、ミアちゃんつながりでこっちも見たのでご紹介

ご存知の通り、この「アリス・イン・・・」は映画界の鬼才ティム・バートン監督がルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』のアリスを描いたファンタジー。とは言っても、原作とは違って、アリスは幼い女の子ではなく、ミアちゃん演じる19歳の少女になっています。でも実は「幼いアリス」も実は物語のキモとして重要なリンクになっていて、そこもおもしろいところなんですけどね

時計を手にした不思議なウサギを追いかけて樹の穴に落っこち、不思議な世界へ誘われるアリス、そこで出会うチェシャ猫やマッドハッターといった不思議な存在、というのは原作とほぼ同じ設定です。
ですが、19歳のアリスはなにも分からずに右往左往する女の子ではなく、この「ワンダーランド」にとって重要な鍵を持つ存在であり、「怪物を倒して世界を救う」英雄としての役割を担うことになっています。


基本的なあらすじはこういうものなのですが、ティム・バートン監督の作品を見慣れている人なら分かる通り、彼の作品のコアはあらすじではなく、むしろ彼独特の世界観なんですよね。
ティム監督はハリウッドきっての「オタク」としても名高い人で、その世界観や出てくる人物像も奇抜なものが多く、決して万人受けするとはいえないものです。
そんなティム監督が描く「ワンダーランド」、どんなにへんてこなことになっているんだろうと期待してみたのですが・・・うーん、良くも悪くもちょっとティムっぽくない映画に仕上がっていると思います

もともと『不思議の国のアリス』には言葉遊びのようなちょっと難解な言い回しもたくさん出てきますし、ほとんど「まともな人」がいないような脈絡のない、意味不明なことがたくさん起こる不思議な世界。でも、そういう不思議さはお手の物のはずの監督が今回作ったのは、むしろ「脈絡のある」世界だったような気がします。特に原作でもダントツにおかしなやつだった「マッドハッター」(ティム・バートンとは長い付き合いのジョニー・ディップが演じています)なんかえらくまともな人じゃない?


ストーリーも、ワンダーランドでの不思議体験と怪物を倒す経験を通して「自分が誰なのか」を模索するアリスの成長物語、とある意味とっても「わかりやすい」ものです。
このわかりやすさが、「ティム監督の映画」を期待してた人に取ってはちょっと肩すかしじゃないかなーと思います。
ただ、そのぶん、エンターティメンととしてかなり誰でも楽しめる映画なのではないかとも思うのですが

なんだかちょっとネガティブなことも書きましたが、実はこの映画、今年見たDVDの中で初めて私が五つ星を付けた映画なんですよねーなぜかというと、「わかりやすい」「脈絡のある」話と見せかけて、「本当にそうか??」と思うところが随所にあるから。
「残酷で醜悪な赤の女王」と「善良で美しい白の女王」が出て来るのですが、ずっと見ているうちになーんか釈然としなくなってくる。一見極悪人のようだけど、実際は素直でわかりやすい性格の赤の女王に比べて、白の女王の方は本当は腹に一物ありそうでうさんくさいんですよねぇ。本当はいろんな裏テーマがあるのでは??と思って「もう一度や二度は見てみたい」と思った映画、それで五つ星だったのです。これってちょっと穿った見方のしすぎですかね?


映画『All Kids are All Right』を見ました

2011-02-09 | 小説・映画・音楽
旧正月の間は仕事も勉強もしない、と決めていたので(笑)、DVDをたくさん借りて来たり、年末に買っておいた日本の小説を読んだり、と楽しく過ごしました

映画は何本も見たのですが、いろいろと面白かったのがこの二本。一本目は"All Kids are All Right"です。調べてみたら邦題では「キッズ・オールライト」のようですね。なんともびみょーな感じのタイトルですが・・・


簡単にあらすじを説明すると、レズビアンの女性二人が二人の子供と一緒にファミリーを形成しているという、まぁいわば家族を題材にした映画なわけですが、なにしろここの家は「お母さんが二人」なので、普通の家とはちょっと違う。しかも、二人とも「子供とはオープンになんでも話をしよう」と思うあまり、やけに男友達と仲のよい息子がその友達とセックスしているのでは?と勘ぐって「ゲイならゲイでいいのよ。私たちとなんでも話し合いましょう」的なさぐりを入れたり、とちょっと「こりゃ思春期の子供にはたまんねーな」的な雰囲気です(笑)

私にも覚えがありますが、10代の頃ってとにかく親がうっとうしくて仕方ないような気になりますよね特にいろいろと干渉してくる「ママ」の存在がものすごくうざかったという人も多いはず。それなのに、ここの家にはそんな「ママ」が二人もいるんですよダブルでうざいです(笑)
おそらくそういう気持ちから「男親」にあこがれを持ったであろう息子は「自分の本当のお父さんが知りたい!」と言い出し、お母さん(たち)に内緒で、お姉ちゃんに頼んで自分の母親たちに精子を提供したドナーの男性に会いに行くことになります(母親たちは同じドナーの精子を使っているので、この姉弟は実際に血がつながっています)。

ところが、この探し当てた「お父さん」がハンサムで魅力的だったことから姉と弟二人ともがこの父親に傾倒していきます。当然、母親としては(特にボーイッシュなほうのママ)「今更勝手にうちの家族に侵入してうちをぶちこわさないで!」と反感いっぱい。この新しい「家族」の行方は・・・というお話です

ゲイが子供を養子にするという話は見たことありますが、レズカップルが子供を産んでファミリーを作るというのは初めて見たので、おもしろいなぁと思いました。「母親」役はなんとアネット・ベニングとジュリアン・ムーアというものすごい豪華キャストです


二人とももちろんすごくうまいのですが、アネットの老けっぷりにちょっとびっくり。それに比べてジュリアンのほうはいつまでたっても美しいですねぇ。女性のフェロモンむんむんで、エッチシーンもまったく違和感なしです
(っていうかここ数年ハリウッドでは熟年女性の恋愛や性を描いた映画が多くなってません?)

対する「父親」役のマーク・ラファロは私としてはまぁまぁな感じでした。
子供は二人とも上手なのですが、ミア・ワシコウスカが可愛くてぴったりはまってて印象的でしたね~

実はこの彼女が気になって続けて見たのが"Alice in Wonderland"ですが、長くなるのでこの話はまた次回

日本語字幕版が見つからなかったので英語だけど予告編です


「アジアの歌姫」フェイ・ウォンのコンサートに行ってきました♪

2011-01-22 | 小説・映画・音楽
今年初めてのエントリになりました
大変遅くなりましたが、みなさま、明けましておめでとうございます
さて、新年早々とってもラッキーなことが。アジアの歌姫、フェイ・ウォンのコンサートに行くことができたのです
フェイ・ウォンって日本ではどのくらい有名なのでしょう?私はもちろん日本にいるときから大ファンでしたが、一般的には知らない人もいるかも。
でも、実は彼女の一番最初の大ヒット曲は中島みゆきの名曲「ルージュ」をカバーしたものでしたし(中文のタイトルは「容易受傷的女人」)、その後日本の有名なゲーム「ファイナル・ファンタジーⅧ」の主題歌「Eyes on Me」を歌って、その年(1999年)のレコ大で「アジア音楽賞」なるものを受賞しました。こうしてみるとけっこう日本に縁がある歌手です。
ちなみに「Eyes on Me」ってこんな曲です




思い出しました?
広東語アルバムでは世界一のギネス記録も持っているとのことなので(ソースはウィキ)、まさにアジアの歌姫ですね。

そんな彼女ですが、2005年に結婚して出産してからは仕事をセーブしており、長い間コンサートを開いていませんでしたし、アルバムも出していません。にも関わらず相変わらずものすごい人気なのは本当に歌声がすばらしく、多くの名曲があるからでしょうね

そのフェイ・ウォンが6年ぶりにコンサートをする、ということで、どれほどファンが騒いだか、そしてどれほどチケットが取りにくかったか、想像できると思います。そんな中、チケットが買えたのは本当にラッキーでした
ちなみに、チケットのお値段は、一番高いお席が8,800元(25,000円くらい)、一番お安いのが800元(2,200円くらい)で、私のチケットは中の下くらいの感じのお席でした。

さて、肝心のコンサートの内容でしたが、いやー、さすがにすばらしい歌声でした
コンサートに行く道筋でフェイ・ウォンの歌をiPodで聞いていたのですが、その同じ曲が目の前で生で歌われて鳥肌が立ちました~
それに同じ曲でもCDとは違うバージョンで歌われたものもあり、一緒に行った友達と「CDよりもいい歌声だよね!」と感激しあってしまいました。
コンサートホールのまわりではペンライトというか蛍光色に光る棒みたいなのをいっぱい売ってて、それを持って入る人も多かったんですが、フェイ・ウォンがしっとりとバラードを歌い始めると、そのライトを揺らす手もみんな止まってました。みんなうっとりと聞き惚れてしまう感じで。

今日のニュースにもさっそく取り上げられていましたが、とにかくフェイ・ウォンは歌声とともにそのクールな性格でも有名なんですよね。コンサートでもほとんどMCはなし、アンコールもなし、というまさに「歌声のみで勝負」の人です




昨日のコンサートでも、結局歌以外に口を開いたのは「Hello」と「謝謝」だけでした(笑)
それにアンコールがなかったので、実質コンサートは1時間50分だけで、これは「当コンサートホールのコンサート最短記録」となったそうです
それでも高いお金を払って(台湾のコンサートでは高めの値段設定でした)行く甲斐のあるコンサートだったかと聞かれれば、それには大きくイエスといいたいですね

これを機にまたフェイ・ウォンの新しいアルバムが出ればいいのになぁと思っています

『リリイ・シュシュのすべて』/『呼吸』

2010-09-06 | 小説・映画・音楽
久しぶりに「衝撃的な」映画を見ました。
とはいっても新作ではなく、2001年に公開された『 リリイ・シュシュのすべて』という映画(website)です。実はこの映画の存在は前から多少知っていたのですが、もともと岩井俊二にもそれほど興味がなかったのでスルーしていました

ところが、なんとなくiTunesで買ったアルバム『呼吸』がものすごく気に入ってしまったのです。


この『呼吸』は、『リリイ ~』の中で使われている曲が入っているアルバムで歌っているのはSalyu。このSalyuの歌声も衝撃的でしたが、曲の歌詞やその世界観にも非常に興味を惹かれ、結局この曲がどんなふうに劇中で使われているのかが知りたくて、『 リリイ~』も見ることになったわけです。



あらすじは以下の通り。

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リリイ・シュシュ(Lily Chou-chou)という名の不思議な歌手がいる。「現代の巫女」とか「カリスマ歌姫」とか言われて、他のJ-popな歌手とは全然違う存在。そんな彼女にはコアなファンが数多くついており、「リリフィリア」というファンサイトで熱く リリイ への想いを語っている。
リリフィリアの管理人フィリアは実は内気な男子中学生。
ストーリーはリリィの不思議な歌声とフィリアとその混乱した学校生活を中心に進み、ある事件によって収束する。
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はっきり言ってめっちゃ暗い映画です。しかも残酷で苦しい
正直言って見終わった後はけっこうブルーになりました。
でも、なぜか心に残る映画で、もう一度見たいような気もする、でももう一度見るのには勇気がいる、そんな気持ちになる映画です。

実は私自身、中学時代はあまり幸せではなく、けっこう不幸なことがいろいろありました。でも中学生時代って本当に学校と家が世界のすべてじゃないですか。その「どこにも行き場がない、誰にも言えない」閉塞感をこの映画を見てずどーんと思い出しましたね~。岩井俊二にしては暗い場面が多いけれども、それでもやっぱりはっとするほど美しい映像はいろんなところに見られます

たぶん好き嫌いがはっきり分かれる映画だと思うし、誰にでも勧められる「面白い」映画では決してないんだけど、後でしみじみ考えると脚本は秀逸だなぁと思う。岩井俊二が自ら「自分で遺作が選べるなら、これを遺作にしたい」と言ったのもわかるような気がする。そして、音楽。岩井俊二と小林武史のコラボがなければこんな作品、できなかったんだろうなぁ。真剣に小林武史って天才だと思いました。

『恋するベーカリー』(It’s Complicated)

2010-08-19 | 小説・映画・音楽

今年見た中で一番気に入っている映画です。しかし、この邦題・・・私としては微妙なセンス 原題の”It’s complicated”をうまく生かした中文タイトルの『愛找麻煩』(恋愛は面倒なことばかり引き起こす、みたいな)のほうがいい感じです。




あらすじは以下の通り。
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街でも人気のベーカリーを経営しているジェーンは、10年前にバツイチになってしまったものの、その後は事業も成功、3人の子供たちも素直に育って手を離れ、一見なんの不満もないように見える。元夫のジェイクは当時浮気相手だった若い女性と再婚しているが、ジェーンとは今でも一応友達付き合い。ところが、息子の卒業式をきっかけにジェイクとうっかり一夜を共にしてしまった。家のリフォームを頼んでいる建築士のアダムにも心惹かれるが、ジェイクの猛烈なアプローチもなかなか拒めないジェーン。これは不倫なの?それとも自分の男を取り戻しただけ?そもそもジェイクと本当に付き合いたいの?と心揺れるジェーンが出した結論とは・・・。
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いやー、とにかくめっちゃくちゃ面白いです
実は私飛行機の中で一度見たんですが(どこへ行く途中で見たかは忘れました)、終わらないうちに飛行機が目的地に着いてしまって半分しか見れなかったんですよ。でもそこまでがものすごく面白かったので「続きが見たい~~」とじりじり公開を待ち、台湾で公開されるや否や映画館に行って見たのが五月。そして最近DVDが出たので、また借りて来て家でも見ちゃった。いったいどんだけ好きなんだ、ってくらい好きです

主要な三人、メリル・ストリープ、アッレク・ボールドウィン、スティーブ・マーティン、と一番若いボールドウィンでも52歳。メリル・ストリープはなんと60歳!という熟年(を通り越して高齢!?)カップルです。でも!メリル・ストリープがめっちゃ魅力的なんですよ~。身体の線だってそりゃ若い子に比べたら全然くずれているんだけど、それでもなんというかまだ「女」なんですよね、バリバリに。下賎な言い方をさせてもらえば、「私が男でもやれるな」と思うくらい魅力的でした(爆)

実は、私ボールドウィンはあまり好きじゃなかったんですが、「何おまえ都合のいいことばっか言ってんだYO!」という男を演じていながら、なぜかガキ大将みたいなわがままぶりが可愛くて憎めないんですよねー。スティーブ・マーティンはさすがな感じでコミカルな部分とシリアスな部分をうまく演じ分けていました。
客観的に見て、どう考えてもスティーブ・マーティン演じるアダムのほうが誠実そうでいい人なのに、女としてしゃにむにアプローチしてくるジェイクを拒めない気持ちがよくわかりますこの映画、よく「大人のラブストーリー」というふうに紹介されているような気がします。 まぁ出演者たちの年齢から見てもしょうがないですけど、でも私はむしろどんな年齢/性別の人が見ても、「あーわかるわかる」と思うところがある普遍的な恋愛映画だと思いました。

この監督の前作『ホリディ』は私はあまりピンと来なかったんですけど、今回はメリル・ストリープの魅力もあって大成功な作品だったと思います。あと、作品中、おいしそうな料理やパンがたくさん出てくるので、映画を見終わったらおいしいご飯とワインが飲みたくなりますよ~最近メリル・ストリープはそういう作品が続いていますね。