自衛隊好きの主婦ですが、何か?

有川浩先生の小説で自衛隊に興味を持ち、只今絶賛勉強中
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自衛隊の災害派遣について考えてみる その3

2018年08月27日 06時15分00秒 | 陸・海・空自衛隊

自衛隊に災害派遣を要請するには、三つの要件があります。


1.公共性(公共の秩序を維持するため、人命または財産を社会的に保護しなければならない必要性があること)

2.緊急性(差し迫った必要性があること)

3.非代替性(自衛隊の部隊が派遣される以外に他の適切な手段がないこと)




このすべてを満たした時に、都道府県知事、海上保安庁長官、管区海上保安本部長、空港事務所長が自衛隊に災害派遣を要請することができます。
また、災害派遣中に自治体や警察・消防などで対応できるようになれば、自衛隊には撤収要請を出します。

自衛隊の災害派遣について考えてみる その1の中でも書きましたが、「引き続き自衛隊にはがれき撤去に協力して欲しい。」と発言した立憲民主党の衆議院議員・高井たかし氏は、自衛隊の本来の任務は国防であり災害派遣には要件があることをご存知なかったのか、それとも知っていてそう発言されたのか。
ご存知だったのならば、自衛隊のことを人件費無料で利用できる便利屋だとでも思っておられるのでしょうか。

2年前の熊本地震の時にも、同じようなことがありました。
まずは、当時の産経新聞の記事をご覧ください。

自衛隊が災害ごみの搬出開始 29日も続行
産経新聞2016.4.28
http://www.sankei.com/affairs/news/160428/afr1604280026-n1.html

自衛隊は28日、熊本を中心とする地震で発生した災害ごみの搬出作業を熊本市で始めた。大量のごみの収集が追いつかず、市内の一部では道路にがれきがあふれる状態になっており、市や環境省が協力を求めていた。
 初日は約90人体制。熊本市南区では午前9時すぎ、民間業者が可燃ごみを収集車に入れる作業を手伝った後、家電製品などの災害ごみを7台の自衛隊車両に積み込み、処分場に向けて搬出した。29日以降も場所を変えて継続する。
市によると、がれきや割れたガラス、壊れた家財道具などの災害ごみが大量に発生。一部地域では、収集場から道路にあふれたごみが通行の支障になっていた。地震で損傷し稼働できない焼却施設もあり、災害ごみの処理が課題になっている。






 

この記事に対し、ヒゲの隊長こと佐藤正久参議院議員は、当時ツイッターでこのようにつぶやかれていました。




ツイッターの短文投稿という特性ゆえ、自衛隊の本来の任務が国防であるということをご存知ない方がこのつぶやきを読んだら、自衛隊や佐藤正久参議院議員のことを傲慢だと誤解しかねませんが、佐藤議員の言いたいことをとても良く補完してくれている記事がありましたので、こちらもどうぞご覧ください。


自衛隊の災害ゴミ片づけに『違和感』
エコノミックニュース2016年5月2日
https://www.excite.co.jp/News/politics_g/20160502/Economic_61309.html

自民党の佐藤正久元防衛大臣政務官は「自衛隊による災害ゴミ片づけ」に「正直言って違和感」とツイッターにあげた。自衛隊を出動派遣させる『緊急性』『非代替性』の視点を提起している。

 佐藤元政務官は、自衛隊は「北朝鮮警戒、東シナ海警戒監視、サミット警戒も実施中」で、災害ゴミの片づけが「自衛隊じゃないとできないのか」という思いを書き込んだ。

 佐藤元政務官は「自衛隊による災害ゴミ撤去、一方で、ボランティアを断っているとの報道もある」とし「自衛隊の災害派遣は、公共性、緊急性、非代替性の原則もある。佐藤も熊本市役所を訪問した」としたうえで、ゴミ撤去のための業者が確保できた場合や近隣市町村の支援が得られれば「予定の一週間と言わず、自衛隊ではなく民間に任せるべきだと思う」と自衛隊がすべき任務として、ゴミ撤去作業に、まさに「違和感」を綴ったもの。

 佐藤元政務官は「自衛隊の災害派遣中も、北朝鮮や中国の挑発行為も止まらない。実際に(北朝鮮による)潜水艦からのミサイル発射や(中国の)領海侵犯も発生」しており「ミサイル破壊措置や核実験警戒も、日本海や東シナ海での警戒監視も継続中だ。アデン湾海賊対処や南スーダンPKOも継続中」と発信している。(編集担当:森高龍二)



いかがですか?
佐藤正久議員、さすが元・中の人です。
いつかは防衛大臣になっていただきたいものです。
佐藤議員が2013年に書かれたブログ、「国民と自衛隊のつながりについて」
https://ameblo.jp/satomasahisa/entry-11572976742.html
こちらも是非是非お読みください。



ほとんど報道されてはいませんが、日本領空に接近した他国の軍用機などに対する航空自衛隊の戦闘機のスクランブル回数は、平成28年度は1,168回、平成29年度は904回でした。
ということは1日に複数回、スクランブル発進しているということになります。
また、海上自衛隊も哨戒機などで日本の海を常に守ってくれています。
そして、有事に備えるために、陸・海・空自衛隊の隊員の方々は日々訓練に励まれているのです。

日本の平和は、憲法9条があるから守られている訳ではありません。
決して表舞台には出なくとも、こうして昼夜を問わず日本の国防のために活動してくださっているたくさんの自衛官の方々がいらっしゃるから、私たちは毎日を安心して生活することができているのです。
一人でも多くの国民の方々に、自衛隊の本来の任務は国防であり、自衛隊の活動のおかげで平和な日本があるという認識が広まってくれると良いなと思います。

国防という重要な任務がありながら、災害などが起これば助けに駆けつけてくれる、それが日本が誇るべき組織、自衛隊なのです。


航空自衛隊に初の女性戦闘機パイロット誕生!

2018年08月25日 06時15分00秒 | 航空自衛隊
2015年、防衛省は航空自衛隊の戦闘機への女性自衛官の配置制限を解除しました。

それから3年、ついに女性イーグルドライバーが誕生しました!


女性初の戦闘機パイロットが誕生…空自新田原基地で修了式「思い続けた夢がかなった」
産経新聞2018.8.23 17:29

https://www.sankei.com/west/news/180823/wst1808230075-n1.html

宮崎県新富町の航空自衛隊新田原基地で23日、F15戦闘機パイロットの養成課程の修了式があり、空自初の女性戦闘機パイロットとなる松島美紗2等空尉(26)ら6人が修了した。松島2尉は24日に第5航空団(新田原基地)に配属される。



空自によると、部隊での訓練を続け、早ければ半年から1年ぐらいで、領空侵犯の恐れがある航空機への緊急発進(スクランブル)に必要な資格を取得し、実任務に当たることになる。
 松島2尉は修了式後、報道陣の取材に「思い続けた夢がかなった。男性と変わらないよう、一日も早く、一人前のパイロットになりたい」と笑顔で抱負を語った。
 横浜市出身の松島2尉は、平成26(2014)年3月に防衛大を卒業し、空自に入隊。28年10月に操縦士資格を取得、戦闘機パイロットになるための訓練を続けてきた。
 空自飛行教育航空隊の植森治隊司令は「教育の中身は男性と何も変わらなかった。今後も困難な道を切り開き、彼女に続く戦闘機パイロットの目標になってほしい」と期待を寄せた。

防衛省は女性自衛官の倍増を掲げ、実質的に全ての職域で女性を起用できるよう制限を緩和している。空自は27年11月に戦闘機と偵察機のパイロットの職域制限を廃止した。


「トップガンを見て・・・」初の女性の戦闘機パイロット(18/08/23)




自衛隊には現在、約14,000名の女性自衛官がいらっしゃいます。

安倍政権の掲げる女性推進政策は、もちろん自衛隊も無関係ではなく、ほとんどの職種で配置制限が撤廃されました。

現在も制限があるのは、
陸上自衛隊:特殊武器防護隊で放射線を扱う人員、坑道中隊
海上自衛隊:潜水艦乗員
のみとなっています。

ひと昔前は、護衛艦に女性は乗務できませんでしたが、いまでは護衛艦隊司令や艦長にも女性自衛官が登用されています。
陸上自衛隊も、普通科や戦車中隊に女性自衛官が配属されています。
また現在、女性自衛官の方で階級が一番上位なのは海自と空自の将補ですが、将の誕生もそう遠くないかもしれませんね。

これからも、ますます女性の活躍の場が増えていきそうです!

自衛隊の災害派遣について考えてみる その2

2018年08月23日 06時15分00秒 | 陸・海・空自衛隊
今日は、自衛隊の災害派遣について細かく見ていきたいと思います。

自衛隊に災害派遣が要請されるのは、大災害が起きた時だけではありません。
最近の災害派遣を新しい順に少しさかのぼってみましょう。


平成30年7月豪雨に係る自衛隊の災害派遣H30.7.6~8.18




北海道日高地方幌尻岳における行方不明者捜索等に係る災害派遣H30.8.11~8.12(登山中の男性1名が行方不明となり、警察・消防が捜索するも発見に至らず、自衛隊に災害派遣要請。 )

群馬県草津白根山付近における行方不明航空機の捜索等に係る災害派遣H30.8.10~8.11(群馬県の防災ヘリコプターが行方不明となり警察・消防が捜索するも発見に至らず、航空自衛隊に行方不明航空機の捜索に係る災害派遣要請、陸上自衛隊に捜索救助に係る災害派遣要請。 )

山形県最上郡戸沢村における給水・給食支援に係る災害派遣H30.8.6~8.8(局地的な大雨で山形県戸沢村において孤立者が発生し陸上自衛隊に給水支援と給食支援に係る災害派遣要請。 )




長野県大桑村城山における山林火災に係る災害派遣H30.8.7~8.8(山林火災が発生し消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に空中消火活動に係る災害派遣要請。)




父島周辺海域における行方不明船舶の捜索に係る災害派遣H30.7.10~7.13(漁船が行方不明となり海上保安庁が捜索するも発見に至らず、海上自衛隊に行方不明船舶の捜索に係る災害派遣要請。 )

台風7号に伴う長崎県における人員等の輸送に係る災害派遣H30.7.4(台風第7号の影響により長崎県五島市及び南松浦郡新上五島町において停電が発生し、陸上自衛隊に停電に伴う応急復旧のための人員及び資機材の輸送に係る災害派遣要請。)




北海道上川郡旭岳における行方不明者捜索に係る災害派遣H30.7.1~7.2(北海道上川郡東川町旭岳で山菜採りに出かけた男性1名が行方不明となり警察・消防等が捜索するも発見に至らず、陸上自衛隊に行方不明者捜索に係る災害派遣要請。)

宮城県蔵王山における行方不明者捜索に係る災害派遣H30.6.27~6.28(宮城県蔵王山で登山に出かけた男性1名が行方不明となり、警察・消防等が捜索するも発見に至らず、陸上自衛隊に行方不明者捜索に係る災害派遣要請。)

大阪府北部を震源とする地震に係る災害派遣H30.6.18~6.26




北海道札幌市における行方不明者捜索に係る災害派遣H30.6.8~6.9(北海道札幌市南区定山渓に山菜採りに出かけた男性1名が行方不明となり、警察・消防等が捜索するも発見に至らず、陸上自衛隊に行方不明者捜索に係る災害派遣要請。)

沖縄県那覇市北西沖における民間ヘリコプターの捜索救助に係る災害派遣H30.6.7(民間ヘリコプターが沖縄県那覇市北西沖約40kmでメーデーコールの後レーダーから消失し、航空自衛隊に捜索救助に係る災害派遣要請。)

宮崎県沖における行方不明船舶の捜索に係る災害派遣H30.5.6(宮崎県沖において1名が乗船した船舶が行方不明となり、海上保安庁が捜索するも発見に至らず、海上自衛隊に行方不明船舶の捜索に係る災害派遣要請。)

沖縄県宮古島市伊良部島における給水支援に係る災害派遣H30.4.29~5.2(沖縄県宮古島市伊良部島において水道管の漏水のため水圧の低下及び断水が発生し、自治体のみでは対応が困難なことから、航空自衛隊に給水支援に係る災害派遣要請。)

大分県中津市における山崩れに伴う人命救助に係る災害派遣H30.4.11~4.23(大分県中津市耶馬渓町において山崩れが発生し住宅3世帯が土砂に埋まり、陸上自衛隊に対して人命救助に係る災害派遣要請。)




秋田県男鹿市における山林火災に係る災害派遣H30.4.21(秋田県男鹿市寒風山において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊第に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

岩手県宮古市における山林火災に係る災害派遣H30.4.12~4.14(岩手県宮古市田老町において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

宮崎県東臼杵郡美郷町における山林火災に係る災害派遣H30.4.12(宮崎県東臼杵郡美郷町において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

島根県大田市における給水支援に係る災害派遣H30.4.9~4.11(地震の影響により島根県大田市において水道管が破裂し、断水が発生したため、陸上自衛隊に給水支援に係る災害派遣要請。)




長野県長野市における山林火災に係る災害派遣H30.4.6(長野県長野市若穂綿内近傍において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の消火活動に係る災害派遣要請。)

長野県飯田市における山林火災に係る災害派遣H30.4.2~4.3(長野県飯田市野池山近傍において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

島根県隠岐郡隠岐の島町における山林火災に係る災害派遣H30.3.29~3.30(島根県隠岐郡隠岐の島町において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

宮城県沖における行方不明船舶の捜索に係る災害派遣H30.3.19~3.21(宮城県沖において4名が乗船した船舶が行方不明となり、海上保安庁が捜索するも発見に至らず、海上自衛隊に航空機による行方不明船舶の捜索に係る災害派遣要請。)

北海道上川郡新得町における行方不明者捜索に係る災害派遣H30.3.9(北海道上川郡新得町サホロリゾートスキー場を訪れていた外国人男性スキー客2名が行方不明となり、警察・消防が捜索するも発見に至らず、陸上自衛隊に行方不明者捜索に係る災害派遣要請。)

青森県上北郡東北町における燃料等の回収に係る災害派遣H30.2.21~3.7(米軍三沢飛行場所属F-16戦闘機1機が離陸直後、エンジンからの出火により外装燃料タンク2本を小川原湖に投棄、当該燃料タンクから油が流出しており、海上自衛隊大湊地方総監に燃料等の回収に係る災害派遣要請。)




北海道千歳市における暴風雪に伴う人命救助に係る災害派遣H30.3.2(北海道千歳市から苫小牧市に向かう林道において、暴風雪により4名が行方不明となり、うち3名は警察により安否が確認されているが、残り1名が行方不明となっているため陸上自衛隊に人命救助に係る災害派遣要請)

福井県福井市における除雪支援に係る災害派遣H30.2.15~2.18(記録的な大雪により、福井県内において100箇所以上の排雪場を開設するも、更なる排雪場が必要な状況であることから、陸上自衛隊に除雪支援に係る災害派遣要請。)

福井県における大雪に係る災害派遣H30.2.6~2.10(福井県あわら市において、大雪の影響により国道8号線で多数の車が立ち往生が発生し、陸上自衛隊に人命救助等に係る災害派遣要請。さらに福井市、越前市及び吉田郡永平寺町において除雪支援等の追加要請。)




兵庫県加古川市における山林火災に係る災害派遣H30.2.5~2.6(兵庫県加古川市志方町において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

山形県上山市(蔵王温泉スキー場)における遭難者捜索に係る災害派遣H30.2.5~2.6(山形県上山市蔵王温泉スキー場を訪れていた2名が遭難したと警察に連絡があり、2名とは連絡がとれているが、警察・消防のみでは捜索が困難なことから、陸上自衛隊に遭難者捜索に係る災害派遣要請。)

石川県輪島市における給水支援に係る災害派遣H30.1.30~2.2(石川県輪島市において、凍結した水道管の破裂により断水が発生したため、陸上自衛隊に給水支援に係る災害派遣要請。)




新潟県佐渡市における給水支援に係る災害派遣H30.1.29~2.2(新潟県佐渡市において、凍結した水道管の破裂により水圧の低下及び断水が発生したため、陸上自衛隊に給水支援に係る災害派遣要請。)




蔵王山における残留者の捜索に係る災害派遣H30.1.30(蔵王山において小規模な噴火の可能性があるとして、噴火警戒レベルをレベル1(活火山であることに留意)からレベル2(火口周辺規制)に引上げたため、陸上自衛隊に残留者の捜索に係る災害派遣要請。)

草津白根山における噴火に伴う人命救助等に係る災害派遣H30.1.23(群馬県の草津白根山で噴火が発生し、群馬県吾妻郡草津町のスキー場において噴石により負傷者等が発生したため、陸上自衛隊に人命救助等に係る災害派遣要請。)




香川県さぬき市における鳥インフルエンザに係る災害派遣H30.1.11~1.12(香川県さぬき市の農場において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたため、速やかに鶏を殺処分するなどの防疫措置を行う必要があることから、陸上自衛隊第に鶏の殺処分等に係る災害派遣要請。)




群馬県甘楽郡南牧村における山林火災に係る災害派遣H30.1.10~1.11(群馬県甘楽郡南牧村において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)

東京都西多摩郡奥多摩町における山林火災に係る災害派遣H30.1.4(東京都西多摩郡奥多摩町棚沢エビ小屋山において山林火災が発生し、消防が消火活動を実施するも鎮火に至らず、陸上自衛隊に山林火災の空中消火活動に係る災害派遣要請。)



平成30年に入ってからの災害派遣を書き出してみました。
地震・水害・火山の噴火などの災害だけでなく、山火事の消火や断水での給水支援、登山や山菜取りで行方不明になった人の捜索が多い印象ですね。
その他、遭難した船舶や航空機の捜索、鳥インフルエンザの対処などもありました。

過去には口蹄疫の対処や座礁した船舶等から流出した重油の処理、地下鉄サリン事件でも自衛隊が派遣されました。



本当に多岐にわたっていますよね。

その他、災害派遣で一番多いのは、実は救急患者の輸送なんです。
都道府県知事からの要請を受けて、医療施設が不足している離島などの救急患者を本土に運ぶのも、自衛隊の災害派遣任務のひとつなんです。



平成29年度の災害派遣件数は501件で、そのうち急患輸送が401件でした。
平成24年から28年の5年間での災害派遣件数の平均は530件で、派遣内容の内訳はだいたい同じ割合で急患輸送が全体の約8割を占めています。


では、災害派遣は誰がどんな状況で頼んでも、自衛隊が来てくれるのでしょうか?
次回は災害派遣の要件について見ていきたいと思います。


自衛隊の災害派遣について考えてみる その1

2018年08月21日 06時15分00秒 | 陸・海・空自衛隊
今回の西日本豪雨では、最大時3万人以上の自衛官の方々が災害派遣任務に就かれ、44日間にわたり活動されました。
発災当初の人命救助や孤立者救助、水防活動、給水支援、物資輸送から、徐々に支援を広げ入浴支援、道路啓開、防疫活動、瓦礫処理等も行ってきました。


被災地での活動は復旧とともに縮小されていき、自衛隊が行う岡山県での瓦礫処理は8月1日に終了となりました。
これに対し、立憲民主党の衆議院議員・高井たかし氏は、8月2日に行われた立憲民主党の「2018豪雨災害対策本部」会議の中で、

「自衛隊の活躍に被災地は心から感謝している。しかし残念ながら、昨日自衛隊は倉敷市真備町のがれき撤去からの撤退を決めた。真備町にはまだ大量のがれきが残っており、自衛隊への期待は大きい。引き続き自衛隊にはがれき撤去に協力して欲しい。」

と発言されています。



自衛隊の災害派遣って、何なのでしょうか。
困ったときに助けてくれる便利屋のようなものですか?



過去、自衛隊が災害派遣された事態で記憶に残っているのは、東日本大震災や熊本地震などでしょうか。

ウィキペディアによると、災害派遣とは
地震や水害等の自然災害や、死傷者の発生が伴う事故などといった各種災害の発生に際し、自治体や警察・消防などの能力では対応しきらない事態において陸海空の自衛隊部隊を派遣し、救助活動や予防活動などの救援活動を行うことである。
と書かれています。

また、防衛省のホームページには、
自衛隊は、自衛隊法に基づいて様々な活動をおこなっており、災害に対する行動としては、大きく「災害派遣」「地震防災派遣」「原子力災害派遣」の3種類を定めています。これを基に自衛隊は、自然災害をはじめとする各種災害の発生時に、地方公共団体などと連携・協力し、国内のどの地域においても、被災者や遭難した船舶・航空機の捜索・救助、水防、医療、防疫、給水、人員の輸送といった様々な活動を行っているところです。


と書かれています。



では、自衛隊法にはどのように書かれているのでしょうか。
特に読んで頂きたいところは太字&下線になっています。

自衛隊法第三条(自衛隊の任務)

自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。



自衛隊の主たる任務である「我が国を防衛すること」とは、
・防衛出動
・防衛出動待機命令
・防衛出動下令前の行動関連措置
・防御施設構築の措置
・海上保安庁の統制
を指しています。

防衛出動とは、
・日本に対する外部からの武力攻撃が発生した事態
・日本に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態
・日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態
が発生した時に内閣総理大臣から発令され、必要な武力を行使することができるものです。
幸いにも、自衛隊は過去一度も防衛出動を行ったことはありませんが、映画「シン・ゴジラ」の中ではゴジラに対し防衛出動が命令されていましたね。(実際には害獣駆除案件だとかいう議論もありましたが。)

とにかく、自衛隊の主たる任務は日本を守ることだということです。









そして、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」の中に含まれるのは、
・国民保護等派遣
・命令による治安出動
・海上保安庁の統制
・治安出動待機命令
・治安出動下令前に行う情報収集
・要請による治安出動
・自衛隊の施設等の警護出動
・海上における警備行動
・海賊対処行動
・弾道ミサイル等に対する破壊措置
災害派遣
・地震防災派遣
・原子力災害派遣
・領空侵犯に対する措置
・機雷等の除去
・在外邦人等の保護措置
・在外邦人等の輸送
となっています。

災害派遣はここに含まれていますね。

災害派遣とは、災害が起こった自治体・警察・消防の能力でカバーしきれない被害が発生した場合に、都道府県知事などの要請に基づき「必要に応じ」て自衛隊が派遣され活動を行うということです。


東日本大震災が起こったとき、民主党政権は10万人以上の自衛官を被災地に派遣しました。
確かにあの震災の時は自治体も被災し、機能を果たしてはいませんでした。

しかし、2011年3月31日現在の自衛隊の現員は224,422名。実に約半数の自衛官を一度に被災地に投入したのです。

10万人が交代もなくずっと被災地で活動するわけにはいきません。
交代要員のことも考えると、国土を防衛する余力があの時あったのでしょうか。
何を考えて10万という数を決めたのか?
結果としては大丈夫でしたが、本当に怖いことだと思います。



災害派遣というと、地震などの災害時に行われるというイメージが強いかと思いますが、自衛隊の災害派遣はかなり多岐にわたっています。
次回は自衛隊の災害派遣について、細かく見ていきたいと思います。


災害派遣活動を終了~西日本豪雨~

2018年08月19日 06時15分00秒 | 陸・海・空自衛隊
7月6日から自衛隊は西日本豪雨の被災地である京都府、高知県、福岡県、広島県、岡山県、愛媛県、山口県、兵庫県で災害派遣活動を行ってきました。
最後まで活動を行っていた岡山県の知事より、平成30年8月18日(土)12時00分、自治体での対応が可能となったことから撤収要請を受け、自衛隊の44日間にわたる活動は終了しました。

今回の災害派遣では、最大時約33,100名の自衛官の方々が活動され、
人命救助、孤立者救助:2,284名
給水支援:18,973.3トン
入浴支援:94,119名
給食支援:約20,590食
物資輸送:飲料(約182,512本), 食料(約74,027食), 燃料(約125.5キロリットル)
水防活動(土のう作成):約5,200袋
道路啓開:約39.8キロメートル
瓦礫処理等:ダンプカー13,890台分
という素晴らしい活躍をされました。


8月13日、広島県の広島市、坂町、呉市において、警察・消防・自衛隊による行方不明者の一斉捜索が行われました。
自衛隊からは広島県安芸郡の海田市駐屯地から第46普通科連隊と第13施設隊が参加しました。













この捜索をもって、自衛隊の広島県での活動は終了となりました。


8月15日、愛媛県宇和島市では、香川県・善通寺駐屯地の第14後方支援隊、愛媛県・松山駐屯地の中部方面特科隊と第14高射特科隊が入浴支援を行いました。





15日をもって、愛媛県での活動も終了となりました。


チャーター船はくおうでは、入浴支援と宿泊支援を行いました。
入浴支援では延べ5,562名 の方々が、宿泊支援(避難所で生活されている被災者の方々に、船内のプライベートな空間、温かい食事、お風呂などで心身ともにリラックスしてもらうことを目的に実施)では延べ417名の方々が利用されました。









被災地で最後まで行われていた災害派遣活動は、岡山県での宿泊支援でしたが、8月18日をもって終了となりました。


今回の西日本豪雨での災害派遣活動において、派遣部隊の中核的な役割を担ってきた陸上自衛隊・中部方面隊の、広報紙「飛鳥」を抜粋して掲載しておきますのでどうぞご覧ください。








豪雨の後は例年よりも早い梅雨明けで猛暑日が続き、そんな過酷な状況の中での今回の災害派遣活動でした。
熱中症などで体調を崩された自衛官の方もいらっしゃったと聞いています。
それでも、被災された方々のために懸命に活動されたことは、ほとんどマスコミに取り上げられなくとも、たくさんの人々が認識し感謝しています。



西日本豪雨の被災地で活動されたすべての自衛官のみなさま、また被災地に派遣されなくとも後方支援で支えられた自衛官のみなさま、本当に本当にありがとうございました!

被災地の一日も早い復興をお祈りしています。