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『ワンちゃん』楊逸 第138回芥川賞候補作
本書は平成19年度下半期の芥川賞候補作で、
作者が中国人であるということで話題となった。
著者の楊逸(やんいー)は1987年、留学生として来日し、
お茶の水女子大学卒業後、在日中国人向けの新聞社勤務を経て中国語教師とあるから
中国人の中でも恵まれた才媛と言えるだろう。
物語は、中国人の夫と離婚して、日本人と再婚した中国人女性が主人公。
共に田舎に住む日本人男性と中国人女性との集団見合いを仲介している。
受難にめげない主人公の力強さを伝える一方、文化や感覚の異なる間で生じる人間模様をユーモラスにつづっている。
取り上げられたテーマは興味深く、
かなり日本人に配慮した表現に苦慮した事が感じられた。
通常の日本人としては日本語の使い手としては申し分なく、
むしろそれを凌いでいると言って言いすぎではあるまい。
しかし、芥川賞ということになると、隔靴掻痒の感を免れず、
微妙な違和感を覚えながらの読了となった。
しかし、外国人でこれだけの日本語の文章を書けるということは驚いてよいだろう。
★★★☆☆