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『夜の明けるまで』北原亞以子 第39回吉川英治文学賞受賞作
北原亞以子は1969年、「ママは知らなかったのよ」で新潮新人賞を受賞し、
以後は中間小説誌に短篇を発表するが、
単行本を初めて上梓したのはほぼ20年後の88年のことだった。
それから『恋忘れ草』直木賞受賞まで5年、
ようやく作家として自立した苦節20年とも言うべき作家であるそうだ。
本作は江戸深川の木戸番小屋夫婦に集まる江戸市民たちの人情話。
薄情で人情もろい江戸下町の人間模様に、
懐かしい日本の旧い都会を見ることが出来る。
★★☆☆☆
個人的には、
私はこの物語に出てくるような、隣人達とのベタベタした濃密な関係を好まない。
己の生活の一部始終に関心を持たれ、また持つような地域社会というのは、
現在むしろ大切なことだと言われ始めているが、
私はまっぴらだ。
私は猫のようでありたい。
猫のように独立不遜、他意を介せず、自由に生きたい。
また自由に死にたい。