陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

渡る世間も粘る土俵も鬼ばかり

2019-06-01 | フィギュアスケート・スポーツ

令和はじまって一箇月といいますか、この一週間のあいだにも驚嘆すべきことが続発しています。とうとう衣替えの季節になりました。気分が滅入るので、夏一番の初記事は明るめの話題から。

テレビ観戦はできなくとも、ニュースで結果を知るぐらいの関心はありました大相撲。
夏場所は横綱白鵬が休場で、本命は期待の新大関貴景勝だったはずが怪我で休場。…となると、引っ張り役は現大関陣、横綱のはずがいささか不振。けっきょく、25歳の平幕力士・朝乃山関の初優勝、しかも14日目に横綱鶴竜が敗れたための貰い勝ち。この朝乃山関は平幕とはいえ、これまでにも何度か優勝争いに絡んだことがある実力派ではあります。ただ、今回、あまり上位力士との対戦がほとんどないうえ、千秋楽ではあっさり負けてしまったのが悔やまれます。優勝杯を渡すはずの力士が目前で敗れたので、トランプ大統領夫妻もなんだか冷めている感じでしたね。国技館館内のものものしい警備と厳戒態勢、米国大統領夫妻歓迎ムードに気押されて、平常心が乱されてしまった朝乃山関も、いささか可哀そうだったとは、千秋楽対戦相手の御嶽海関の弁。

今回の夏場所では前半部で大活躍の小兵力士もいまして土俵を沸かせてくれましたが。
なんといっても、注目だったのは栃ノ心関の大関復帰でしょう。優勝争いと復帰ラインの10勝がかかった大一番で、対戦したのは朝乃山関。栃ノ心関に軍配があがったのに、もの言いがつき長く協議のすえ行司差し違えで負け。栃ノ心の右足踵が土俵外の蛇の目についていたからというものでしたが、ビデオ映像では浮いているようにしか見えません。けれど、審判が目撃したと言い張ったので、そのとおりに。

けっきょく、追い詰められた栃ノ心は対横綱戦で変則勝ちするし、逆にそのせいで鶴竜と二敗差になった朝乃山が千秋楽を待たずに優勝を決めてしまいます。もし、あの大一番で栃ノ心を勝ちとしていたら、最終日で、朝乃山、栃ノ心、鶴竜が並び、三つ巴の優勝決定戦があるか、すくなくとも朝乃山が横綱と対決することなく優勝することはなかったでしょう。

トランプ氏の大統領杯授与があるから、どうしても日本人力士に優勝させたかったという陰謀論もささやかれますが、どうなんでしょうね。
亡き千代の富士こと九重親方も、貴乃花親方も協会で冷遇されたままでしたし。いまの日本相撲協会はかつて土俵を賑わせた名力士とくに横綱級のひとがほとんど残っていません。いまの審判部長さんも賭博問題でながらく謹慎していた親方のはずですし。

現役力士だけがやたら稽古が少ないとか、土俵際で粘らないとか、張り手を使うなとか、ごちゃごちゃ注文つけられていますけど、かつての横綱でも負け越したのに、いま偉そうにNHKで解説してる人とかいますよね。昔の力士よりも重量化しているから小兵力士がなかなか勝てないし、パワーありきの押し相撲ばかりだから見ごたえがないし、第一負傷が多いですよね。しかも、そのうえ、幕下に陥落しても這い上がってきた栃ノ心や、長らく横綱大関を務めているベテランを用済みだと言わんばかりにけなすのは、やるせないです。若手が奮起するのはいいことですけれど、褒めて持ち上げた人に限って出世しないあたりが…。いまは大相撲よりも、むしろ学生相撲のタイトル戦のほうが難しいと言われているくらいだそうです。

ちなみに今回、私が期待していたのは、豪栄道、高安の二大関。
しかし、稀勢の里関のようにプレッシャーをかけて力士生命を縮めるぐらいなら、怪我をしないように戦えただけでも上出来と思いたいですね。引退したけど、内臓を悪くして痛み止めの薬をずっと服用している若乃花関こと花田虎上氏もいますし。ガチンコで体当たりするより、いかに楽に勝つか戦略を練る力士もこれから増えてくるのではないでしょうかね。

あと、横綱白鵬がひと場所ごとに休場するのが批判されていますが。
土俵上の対戦での負傷は、かつての公傷制度を復活させて治療のために休場しても番付が落ちないようにするべきではないでしょうか。いまの大関以下はいちど怪我して二場所以上休んだけでかなり落ちてしまうし、無理に出場して悪化させてしまうので、公傷制度は復活させた方がいいのでは。200キロ近くの巨漢に立ち向かう力士が怪我しないはずないですよ。健康維持のためにも、ある程度の体重制限ももうけてほしいですね。

かつての若貴時代ほどではないですが、現在もネット上でカワイイ(?)と愛される力士は多いようで、相撲人気が健在なのはいいことであります。



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