陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

いたずらな聖職者 その3

2009-06-06 | 教育・資格・学問・子ども
事件発覚から一週間も経つと、どんなに世情を騒がした事件とて風化するものだが、この事件は忘れられない悪質極まりない事件になりそうだ。
続報を聞けば聞くほど気分が悪くなる。

【京教大生集団暴行】訓告の卒業生が中学講師を退職(MSN産経ニュース 09年6月5日)

犯行を目撃したのに阻止しなかった(というと聞こえはいいが、「すぐ側で視姦して楽しんでいた」という言うべき)23歳の卒業生。大学の「教育的配慮」で訓告処分ですんでいたが、なんとそれをいいことに、今春、京都市立の中学校に講師として採用されていたという。
一箇月間の補充講師とはいえ、こんな犯罪者を教壇に立たせた大学の責任ははるかに重い。しかも、大学側は訓告処分にした事実を京都市教育委員会に伝えていなかったというから、さらにおぞましい。
そもそも事件を知りながら、犯人のひとりを平気で卒業させ、教員免許を与えたという。師範学校の流れを汲む教員養成大学も地に堕ちたものだと思う。

この犯罪者卒業生は、事件が発覚した今月二日にみずから退職届を出したというが、それで許されるとでも思っているのか?
そもそも極悪非道な犯罪に加担しておいて、いけしゃあしゃあと教壇に立ち、教師でござい、という顔をする男。恥知らずもいいところではないか。ひとりの女性の人格を踏みにじり、妊娠の可能性すらあるのに心身を痛めつけた罪をただの遊びのように考えている。こんな人間を「先生」と呼ばせるのは間違っている。

この男は刑罰を受けるのはもちろんのこと、次回の教員免許更で資格を剥奪されなければおかしいが、それを付与した京都教育大学も文部科学省から処罰あってしかるべきだ。いや十年後では遅い。現在在学中の犯人もそうだが、いまからでも教員免許と学士号を剥奪してほしい。さもないと、この大学出身者でまともな教師をされている方々にはお気の毒だろう。

集団準強姦事件 京都教育大生から怒りや戸惑いの声相次ぐ(イザ!09年6月1日)

この記事によると、大学側からこの事件について緘口令が敷かれたという。
また、事件の隠蔽工作で釈明会見した学長は、この犯人たちと同じ、同大学の体育学科の出身だったという。つまり、この大学の体育会クラブで卒業間際に女性を泥酔させて乱暴するという「習慣」を、学長も知っていてあえて見逃し、庇いだてしたという疑いがもたれる。

事件を扱った各ブログでも指摘があったが、そもそも当時未成年(19歳)の女子学生に意識もわからぬほど大量の飲酒をさせて動けない状態にしたこと事態が、そも犯罪ではないか?私が大学生のころにも、下級生に一気飲みをさせて死亡させた痛ましい事件があった。学内にはそれと知らせるポスターがあったにも関わらず、体育会クラブはまったく無視していた。私は大学一年の際、運動部に所属していたが先輩(卒業生でしかも現役の教師)から私たち新入生ヘのアルハラがひどいので、退部したいきさつがある。だから、なおさら許せない。

また、犯人六名が所属する体育会クラブが事件発覚後に、無期限で活動を停止したという。
あの悪しき「慣例」が数年ぐるみで行われていたというのなら、大学が犯罪者学生を処分した時点であわせて処罰して当然だ。京都大学のアメフト部が集団準強姦罪で、同様に活動停止になった記憶も拭えないというのに。


犯人をあえて野放しにしておいたのは、加担した在校生に被害者女子学生が密告しないか監視する目的があったとさえ言われる。
事実としたら、恐ろしい。心身を痛めつけた加害者でありながら、警察に通報しやがったらお前の将来をめちゃくちゃにしてやるぞ、と脅迫していたのかもしれない。なに食わぬ顔でその後もずっと学生生活を送っていたのだから、やっていたんじゃないかと勘繰りたくもなる。映画「天国の駅」に出てくる三浦友和演じる男がまさにそんな、女を手篭めにし金づるとして利用しながら、その金で他の女と付き合ったりする最悪最低な男だが、こういう最低な人間は現実にもいるらしい。
たとえばだが、もしこの被害者女性が酔って乱暴されたところを携帯電話で写真にでも撮られていたりしたら。それをネットに晒してやるぞと脅迫されていたら、立派に脅迫罪まで成立してしまうだろう。それで逮捕された人間もいる。
もしかしたら、この大学もしくは関係クラブでは余罪があったかもしれないので、この際徹底的に洗い出してほしいものだ。さもないと、この大学に通う女子学生は不安に脅えながら暮らすことになるだろう。

そうして、こうした被害者女性を抑圧して犯罪をねじ伏せようとする風潮はなくしてほしいし、加害者の人権よりも被害者の人権保護の優先を望む。冤罪はもちろんあるだろうが、事実関係が明らかなのに、被害者女性やその家族に配慮せずに苦しめるのはおかしい。

「教員免許更新制への思議 その2」において、教員の質の劣化は、資格をあたえる教員養成大学・学部にあるのだと指摘したが、今回の京都教育大学の一件は、悲しいかな、それを証立てるものになってしまったようだ。
と同時に犯罪者の息子を縁故採用で学童保育にあたらせた父親のように、教育委員会の体質も問われるだろう。この際、もう徹底的に文科省は指導してほしい。ただ、大学に抗議の電話やメールが殺到しているようだが、困るのは現場の職員や他の用件で問い合わせしても阻まれてしまう善良な学生たちだろうと思われる。
ほんとうに懲らしめるべきは、犯罪者六名と隠蔽に加担した教育関係者だ。


【関連記事】
「いたずらな聖職者 その2」
「いたずらな聖職者」


最近気になるニュースは?【DVD「バトル・イン・シアトル」】 ←参加中

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アニメ映画「千と千尋の神隠し」 | TOP | 「髪長好きの巫女」 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 教育・資格・学問・子ども