陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「天国の駅」

2009-02-08 | 映画──社会派・青春・恋愛



吉永小百合さんというと、今でもCMで見かけても画面に引き込まれてしまうくらい、美しい女優さんですよね。私が最近覚えているものでは映画「千年の恋 ひかる源氏物語」での紫式部役。夫役が渡辺謙氏でした。

清純派のお嬢さんというイメージを七十年代から脱して、女優としての新境地を開いてきたといわれる彼女。その汚れ役の代表作が八五年作の映画「天国の駅」です。

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ふたりの男を殺害し、戦後ゆいいつの女囚として刑死した女性をあつかったという触れ込み。実話を元にしているんでしょうけれど、やはり主演女優が彼女だけあって、美談にされているきらいはあります。

美貌の機織り女であった林葉かよ。彼女はべつにみずから好きこのんで男をかどわかしているわけでもないのですが。とにかく男運が悪いとしかいいようがないのか。傷痍軍人の夫からの折檻に耐えかねて毒殺。それに加担した警官には、脅迫されてことあるごとに金をゆすられる始末。
新天地をもとめて温泉街にやってきたかよは、旅館に働くことになりますが、そこで旅館の経営者に見初められる。しかし、それはけっして幸福な結婚ではなくて、やがて…。

とにかく、ことごとく不幸な身の上の女性なのですが、DVDの表紙にもなっているように、西田敏行演じる下男との愛情がほほえましくて救いになっています。まるで美女と野獣(笑)
真行寺君枝演じる幸子と手をとりあって、姉妹のように睦まじく新しい暮らしをはじめるのもよかったのですが、この人、かわいそうな結末を迎えてしまうんですね。

しかし、山奥の温泉地というロケーションでの悲劇、なんてのはもう、火曜サスペンス劇場なみに使い古されたドラマ。愛を得るために、つかんだ幸せをまもるために、次々とおぞましい罪が連鎖していくさまは背筋が寒くなります。そして、やはりどうみても日活ロマンポルノな雰囲気が漂っています(汗)

やっぱりほのぼのしたご婦人としての吉永さんを、じっくり拝見したいと思う管理人でした。

(〇九年一月三〇日)



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