陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

世界フィギュアスケート国別対抗戦2009 四日目

2009-04-19 | フィギュアスケート・スポーツ

三日間、お茶の間を湧かせてくれた世界フィギュアスケート国別対抗戦2009
日本は結果、三位に終わりましたが、きのうの浅田真央の演技は、興奮さめやらぬものでしたね。

さて、本日は勝負の舞台とはうってかわって、さしづめカーニバル。
これがあるから、フィギュア観戦を楽しみにしてるようなものです。
光りのステージ、個性的衣装、独創的演技。氷上のミュージカル開幕です。
なお、各種目の一位には、アンコールが用意されています。

女子シングル二位のカナダ、ジョアニー・ロシェット。去年のGPファイナルのセクシーな衣装でボンドガールを演じた記憶も新しい。
今回の曲目は「オブジェクション」
テキーラ調のBGMにのって、ディスコで踊るようにダイナミックに豊満なからだを舞わせてくれます。チアリーディングのように飛んだり跳ねたり。

父母もスケーターというサラブレッドで期待の新星小塚崇彦
曲はGPファイナルとおなじ六〇年代の名曲ドリフターズの「ラストダンスは私に」
ジャンプにわずかぶれがあったけれども、細かいステップは、スキップしているようで楽しい。逆回りして見せたり、お得意は最後の超高速スピン。

ロシア代表の川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組
おおきな花束をもって和の装いをした川口たちを踊らせるのは、「美しき青きドナウ」
表情がとても輝いています。
両者、足首を掛け合ったまま片手だけつないで、川口を宙で回す大技。そして、Pの字に姿勢をとったままで、砲丸投げのように気持ちよく振り回される。表現力がすばらしいですね。

ドイツの招待選手、アリオナ・サドチェンコ、ロビン・ソルコビーのペアは、二年連続の世界王者。
Gパンの黒人青年と金髪碧眼の美女が踊るのはダニエル・パウダーの「Bad Day」
ほんらならば減点になるリンクへ寝そべるお遊びも、お手のもの。ちょっとしたミスもご愛嬌。

ペア王国中国の切り札、チョウタン&チョウコウはペア一位に輝いたスーパーコンビ。
曲はサラ・ブライトマンの美声がひびく「大いなる世界」で、圧巻の演技をこなしていきます。女性が目を抜くような高さを飛んだスロージャンプ。なんと、男性のすぐ頭上でくるりと二回転してそのまま受けとめました。この雑妓団のような軽やかなアクロバットは、他国の追随をゆるさない。

今シーズン直前惜しまれながらも引退したステファン・ランビエール。
〇五年、〇六年の世界覇者は、引退したとは思えない伝説の名演技を復活させる。「ブエノスアイレスの秋」というものがなしいピアノの調べを背後に、優雅に舞います。数年前からタンゴやフラメンコの研究に余念がない彼。会場を多いに湧かせてくれました。

さて、注目すべきは、安藤美姫嬢。
彼女にはひとつのドラマがありました。曲は、シンガソングライター絢香の「I believe」
ふたりはなんと同い年、おなじ日に生まれた縁で、親交をむすんだ友人。そのうるわしい友情の証として、歌姫が〇六年トリノ五輪を前に贈った曲でした。この五輪では安藤は不幸な結果におわるも、その後、〇七年には悲願の世界選手権王者。そのエキシビジョンでは、絢香が生歌で熱唱したといういわくつきの曲。
絢香は、あの仮面ライダーカブトで有名な水嶋ヒロとの婚約発表をしましたが、同時に持病のパセドー病が悪化し音楽活動の休止を発表。今回のセレクトは、安藤の祝福と激励のいみあいがあります。
I believe in myself というサビフレーズにのって、安藤の手足が無限にうごく、舞う。とても気持ちの籠められた演技、自分を信じることを称えた歌に添えるには、ふさわしい滑りでした。

スケート界いちの美貌をほこるタニス・ベルビンとベンジャミン・アゴット。アイスダンス一位の黄金ペア。
彼女が目指すのは、恋に苦悩する女性。
さいしょに手紙をひらいてみせるというパフォーマンス。しかし、技はウルトラ級のものばかり揃えています。
足を倒立した女をたかく抱えたまま滑ってみせたり。
最後は男をひっぱたくようなしぐさで、悲しい恋の終わりをつけます。女優としても活躍していけそうですね。
アンコールは、フリーダンスで演じた「トスカ」
わずか二分の再演が惜しまれるほどです。

フランスの雄ブライアン・ジュベール。
競技ではひたすら四回転半に拘るストイックさをみせていますが、エキシビジョンとなりますと、甘いマスクとユニークな演技でひとを楽しませることを忘れません。
曲目はポップなラブソング「I'm Yours」
カジュアルないでたちで登場し、客席すれすれに肘つきをしてスタンバイというリップサービス。中盤、ハートのクッションを手にして、最後にはブーケトスのように投げ込み。

英国のアイスダンス招待者は、シート・カーとジョン・カーの姉弟。
タータンチエックのスカートがひるがえるスコットランドの民族衣装をまとい、血の繋がりゆえか息ぴったり。驚くべきは、姉が弟をもちあげたという逆リフト!会場にどよめきが起きます。
スコットランド民謡から後半はアップテンポな蛍の光に変調し、スピード感あふれる貫禄の演技をみせてくれました。

男子シングル三位、日本のキャプテン織田信成は、かずかずの名スケーターが好んだ名曲「トスカ」に挑戦。
曲の雄大さにあった的確でおおきな回転。小塚が小刻みなステップを運ぶのとは対称的に、一貫して流れのいいジャンプが持ち味。縦横無尽にリンクを走りきります。

男子シングル一位、アメリカの貴公子エバン・ライサチェックがえらんだのは「セヴン・ネイション・アーミー」、〇六年のサッカー世界杯で優勝したイタリアチームが熱唱したことでも有名な曲。
ジャージと黒のトレーナーというラフな装いは、あいかわらず長い手足が映える魅惑のダンス。ほんとうにカッコいい滑りですね。大声援もあたりまえ。
そのアンコールは、三日目のフリーで用いた「ラプソディ・イン・ブルー」
タキシードのような正装でいどんだ曲も、またここでは違って見えます。衣装のシンプルさが手伝って、ジャンプのキメや、長身からくりだす豪快な滑りがなおのことよく目立つ。最後はひじょうにシャープなスピンで締めました。

さて、お待ちかね。
最後を飾るのは、浅田真央。女子シングル200点突破の女王は、この日、赤と黒に大胆に二分された鮮やかな衣装をまとい、ステージに立つ。曲は「タンゴ」
波をつくるような繊細な足さばき、時にはかかとを踏むような遊び、またバレリーナのようなつま先立ち。幻想的な青いライトが波打って踊るリンクをいっぱいに滑ります。
アンコール曲は「仮面舞踏会」、やはりこの曲が似合いますよね。
その後半部分の怒濤のいきおいで曲がむすばれるまで、紅い闇のリンクを光りの輪っかを連れながら、かけめぐります。

グランドフィナーレは国別で登場して、踊っていました。
パトリック・チャンが個人で放映されないのはちょっと残念。

幕間で過去のエキシビジョンを紹介しており、解説の荒川静香の情感たっぷりイナバウアーを拝むことができました。

楽しい四日間でしたね。お疲れ様でした。




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