陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

絵本『100万回生きたねこ』

2009-05-20 | 読書論・出版・本と雑誌の感想


gooのあしあと分析をたどっていると、最近おもしろいことを発見。
うちのブログは某アニメ経由で来てくださる方が多いのだが、なぜか「うるわしき猫」というなにげなく書いた記事がよく読まれている。
おそらく添付した猫の動画が功を奏したものだろう。
にしても、仔猫や仔犬の絵はいやされますね。
アニメ絵と違って、うしろめたさがないのも(苦笑)

それはともかく、本日は猫の絵本をご紹介。
有名なのでご存じかと思うが、佐野洋子著『100万回生きたねこ』


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文字どおり、100万回生きたねこの話なのだが、さすがにこんなに生きてると、死ぬことも生きることも麻痺してくるわけだ。
しかし、100万回目の人(?)生で彼は、はじめて生き続けたいと願う。
死ぬことがとても悲しいことだと思いはじめてしまう。そのとき、彼ははじめて死ぬことができた。
おそらく、死ぬことができてこそ、はじめて生きることができたといえるのだろう。

前半はかなりシュールに描かれているが、後半は一転。
冷めた生活を送っていたのらねこが、愛情を知る。愛情を知ったら、うかつに死ぬのが恐くなる。別れるのが恐くなる。
このねこは、最後に満足のいく生き方ができたんだろう。

絵本というのは、すいすい頁がめくれるので心理的負担がかるい。
そのわりに内容は重い。深い。
まさに大人のための絵本。次の世代にかならず伝えたい一冊に違いないね。

先日の市役所の待合室にあったもので、十分とかからずに読めたが、とても重い十分間の読書体験だった。



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