俳句友だちの女性から、突然荷物が届いた。
ずっしりと重い段ボール函を開けると、中にはズッキーニがギッシリ入っている。
〈ずっしり〉〈ズッキーニ〉〈ギッシリ〉と三連で韻を踏むワタシである。
たしか息子さんが長野で農業をやっているのだった。
前にとても珍しいビーツをいただいたこともある。
このビーツでボルシチを作ったのだった。
ズッキーニは大きなものから普通サイズのものまで12本入っている。
函に入っていたメモには
〈長野の息子のズッキーニです。どれも規格外の傷みや形の悪いものばかりですが、ちゃんと食べられます。良いところだけを使って料理してくだされば嬉しいです。ズッキーニは大きなものほど日もちするので、冷蔵庫や涼しい所で保管してくださいませ〉
とある。
12本とはふたり暮らしにはちょっと多過ぎる数である。
しかし大事ないただきものだ。
大切に使わねばならない。
近所に友だちでもいればすぐに届けるのだが、こちらに引っ越してからまだ一年も経っていない。
知り合いもいない。
遠足仲間のK氏や団地の巌窟王に分けてやりたいのだが、持って行くには遠すぎる。
ネットでズッキーニの保存方法を調べてみる。
ズッキーニの保存でいちばん大事なのは水分を逃がさないことである。
新聞紙などで一本づつ包みポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室に保存すれば一週間は大丈夫とのこと。
冷凍保存もあるが、まずは冷蔵庫で保存しよう。
大量消費にはラタトゥーユのような煮込み料理がいいだろう。
しかしラタトゥーユだと茄子やパプリカが必要になる。
茄子はともかくパプリカは値段も高い。
あれこれ考えて、鶏肉とズッキーニのトマト煮を大量に作り冷凍保存することにした。
これなら安売りの鶏肉だけを買えばいい。
タマネギとトマトの缶詰は買い置きがある。
金欠のときの食糧としても役立つ。
しかし、今晩の献立は、昨日安売りで買ったカナダの豚肉を使ってトンカツと決まっている。
トマト煮は明日作ることにしよう。
昼食用に買っていたプレーンなピザの上に薄くスライスしたズッキーニにを乗せて焼く。
なかなかおいしい。
だがまだ一本の半分しか使っていない。
いったん包丁を入れたズッキーニは傷みやすい。
LINEでK氏にことの次第を連絡すると、ネットでググった結果を知らせてくれた。
料理方法は無数にある。
残った半分のズッキーニは薄くスライスして塩を振り、白だしと酢を合わせたものに漬けて副菜にしてみた。
トンカツの付け合わせとして、なかなかおいしい。
で、翌日の朝食もズッキーニを使ってオムレツである。
〈続く〉