散歩と俳句。ときどき料理と映画。

最近観た映画

配信でホラー映画ばかり観ているわけではない。
Amazonプライムで最近観た映画についてのメモ。

『オマージュ』(監督シン・スウォン 2021年)。
これはとてもよかった。
〈ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督の女性ジワンは、60年代に活動した女性監督ホン・ジェウォンが残した映画「女判事」の修復プロジェクトの仕事を引き受ける。作業を進めているとフィルムの一部が失われていることがわかり、ジワンはホン監督の家族や関係者を訪ね、失われたフィルムの真相を探っていく。その過程で彼女は、今よりもずっと女性が活躍することが困難だった時代の真実を知り、フィルムの修復が進むにつれて自分自身の人生も見つめ直していくことになる〉

映画のところどころに挿入されるジェウォンの影が、主人公ジワンと重なる描写が幻想的で効果的である。

シン・スウォン
1967年生まれ。自主制作映画『虹』(09)で監督デビュー。教師を辞め30歳を過ぎた女性として映画監督を目指した自身を投影し、第11回全州国際映画祭でJJスター賞、第23回東京国際映画祭で最優秀アジア・中東映画賞を受賞。


『あなたの顔の前に』(監督ホン・サンス 2021年)。
アメリカで暮らしていた元女優のサンオクは突然韓国に帰国し妹を訪ねる。
映画の前半はこの妹とのダイアローグで展開される。
後半は彼女を招んだ映画監督との対話で展開される。
監督は彼女を主演として映画を撮りたいと申し出るが、サンオクは自分が癌であり、余命いくばくもないことを告げられる。

ホン・サンス監督の作品は以前やはり配信で2本観たが、どれもが対話劇と言っていい。
対話劇にありがちな退屈さとは無縁であるが、かと言って緊張感があるかと言えばそういうわけでもない。
自然な対話のなかから浮かび上がる事実に対して、登場人物もまた自然に振る舞う。
人生に対してある種の〈諦念〉が描かれていると言ってもいいかもしれない。

翌日は『あなたの顔の前に』の流れで、ホン・サンスの『イントロダクション』(2020年)を観る。

相変わらずの対話劇がとてもいい。
それは脚本の力だが、カメラがとらえる世界の描写も力強い。
とりわけ海とヒトの撮影が素晴らしい。そして抱擁の姿も。

ホン・サンス
1960年10年25日、韓国、ソウル生まれ。監督、脚本家。韓国中央大学で映画製作を学んだ後、1985年にカリフォルニア芸術工科大学で美術学士号、1989年にシカゴ芸術学院で美 術修士号を取得。アメリカ留学中に短編の実験映画を数多く製作した。

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