スティーヴン・キングの作品を始めて読んだのは、
1983年の『呪われた町』(集英社文庫)が最初だったか。
なかなか下巻が出ない。
しびれを切らしたワタシは
〈下巻はいったいいつ出るのか〉と版元に電話した。
それほどこの作品は面白かったのだ。
この作品が発表されたのは1975年だから、
邦訳が出るのは8年後ということになる。
キングはこの前年1974年に初の長編小説『キャリー』を発表。
こちらは1975年に新潮社から邦訳が出ている。
当時、ワタシが読んでいた海外の翻訳小説は
P.K.ディックを中心にJ.G.バラードやB.オールディス、
そしてR.シルヴァーバーグといったSFだったが、
キングを知ってからホラー小説が加わることになる。
大量に読んだホラー小説だが、
結局作品としてはキング以外にはロクなものはなかった。
というか、キングの小説は突出していたのだろう。
それでもいつかキングの小説からも離れていったのは、
長編小説を読む時間などなくなったからだ。
実際問題として、日々の暮らしの困難(おもに経済的な)に直面すれば
読書などどうでもよくなる。
仕事が順調に進み、ある程度の収入があった時期は
キングのけっこうな値段のハードカバーの小説を買い、読み続けた。
最後に読んだキングはなんだったのか。
たぶん2003年に邦訳が出た『ドリームキャッチャー』だったか。
とすると、20年に渡ってキングを読んだことになる。
そんなことを考えたのは、昨晩ネットフリックスで配信されていた
キング原作の映画『ドリームキャッチャー』を久しぶりに観たからだ。
小説の方については
〈キングが1999年に交通事故に遭遇し、入院、リハビリテーションの間に手書きで執筆された。完成までに半年を要した。著者のあとがきによると、執筆中の仮題は「がん」(Cancer)だった。彼の妻、タビサ・キングが、彼にこのタイトルを変更したほうがいいと勧めた。この小説は映画化され、2003年に公開されている。キングはそれ以来、この本に不満を抱いており、2014年にローリングストーン誌に「私はドリームキャッチャーがあまり好きではない」と語り、この本は、事故の痛みを抑えるために処方されたオキシコドン(疼痛治療薬)の影響下で書かれたと語っている〉
とのことだが、映画化された作品については
〈「私のホラー小説の映画化された中で、本作は最高の出来だ」とDVDに収録されているインタビューで語っている〉。
映画『ドリームキャッチャー』
監督は『白いドレスの女』『再会の時』『シルバラード』
『偶然の旅行者』『わが街』『ワイアット・アープ』
などの作品があるローレンス・カルダン。
主人公たちの敵役の軍人役でモーガン・フリーマンが出演。
『ドリームキャッチャー』のモーガン・フリーマン。おっそろしい(笑)眉毛である。
モーガン・フリーマンといえば映画化されたキングの『ショーシャンクの空に』(1994)を思い出す。
さらに言うならこの映画は、
キングのさまざまな作品へのオマージュがあり趣味的だが楽しめる。
また雪の降るなか、エイリアンを恐れて
動物たちが静かに逃げていくシーンはとてもよかった。
基本的に映画化されたキング作品はワタシにはどれも面白い。
ホラーではないが『スタンド・バイ・ミー』(1986)は原作同様とてもいい。
『スタンド・バイ・ミー』
もちろん『ショーシャンクの空に』もよかった。
〈たぶん続く〉