佐藤勝彦(編著) ウェッジ選書 16
私の趣味本に近い領域である。理系のくせに何か理解できない。
宇宙は無の状態から10のマイナス44乗後時間に相転移が起きた。
その時の温度は10の32乗度K。とっても暑いということはわかる。
では無の状態とは何か。
真空より、もっとおおもとの状態、空間が「非存在」と「存在」の間を
揺れ動いている状態のことらしい。
そこから「トンネル効果」により、あるとき宇宙がポロっと出来たと
書いてある。
そのあと急激に膨張するインフレーション時代と言うのがあって
これによって曲率0のかつ中身が一様な宇宙が誕生した。
そこから有名なビッグバーンがはじまり、今、宇宙は137億年
の年齢らしい。
この本のおもしろいところは、宇宙科学者が、生物学者を
批判していることである。批判の内容は以下。
宇宙科学者は、なぜ宇宙は誕生したか、
なぜ膨張するのか、将来はどうなるのか、を考えようとしているのに
対し、生物学者は、生物はこのように進化した、環境がこういう時代は
こうなって、環境が変わるとこうなって今はこうなっている、という
ことしか言わない、本質的なアプローチをしていない。
もっと本質的なアプローチをしてくくれれば、有機物以外で構成
される生物の存在や、宇宙における生物について仮説が作れる
のにそういうアプローチをしようとしない。
こんなところにこんな論争やフラストレーションが存在するとは
思わなかった。学問も相当に部分最適で、もっと全体最適な
インテグレートされた学問にしてゆかないといけないと言う
ことだろう。