歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

鞍馬獅子 (くらまじし)

2015年08月01日 | 歌舞伎
所作(しょさ、踊りね)です。

タイトルを見ると、お獅子が毛をふる踊りの一種か、または「鞍馬山」だから牛若丸が出るのか
もしくは両方出るのかと期待してしまいますが、
じつはどっちも出ません。美女は出ます。

主人公は一定しておらず「静御前(しずかごぜん)」か「卿の君(きょうのきみ)」かどっちかです。
とりあえず「卿の君」で行きます。

基本設定は
・主人公は義経の恋人
・父は殺された。兄は悪者にだまされて、「義経は死んだ」と主人公に告げた
・主人公はショックで気が狂った

なので、登場人物は誰でもいいようです。
「静」で出すときは「義経」ではなく「牛若丸」で出すようです。

卿の君は気が狂ってしまっているので、「物狂い(ものぐるい)もの」というジャンルの踊りです。
「物狂い」の狂女は笹の枝を肩にかついで出てくることが多いのですが、
ここでは薙刀(なぎなた)を持って出ます。義経の形見だという設定です。

舞台で義経を探し回ったり、婚礼の幻影を見てねたんだり喜んだりする卿の君。

そこに獅子舞の獅子を持った男がやってきます。
「太神楽(だいかくら)」という芸能をやる大道芸人です。
獅子舞をする人です。

内容は、このふたりがかみ合わない感じでいろいろ絡む、というだけです。

・卿の君が獅子を貸してくれと頼むが断られる。
・舞ってくれと言われて、美女の頼みなのでこころよくタダで舞う。
・最後に抱きつく。
・突き飛ばす卿の君
・獅子の狂いになり、卿の君と踊る。

最後に卿の君が「(義経がいる)鞍馬山に連れて行ってくれ」と頼み、
獅子の男は口では引き受けますが逃げてしまいます。

おわりです。

美女の、しかし薙刀を持って舞うそれなりにきりりとした様子と、
獅子舞の華やかなかんじを楽しむだけの踊りだと思います。

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