所作(しょさ、踊りね)ものです。
白拍子(しらびょうし)という舞の始祖とされる、島の千歳(しまの ちとせ)というキレイなおねえさんの踊りです。
おねえさんの名前は「千歳(ちとせ)」なのですが、能の三番叟を意識して、タイトルでは「千歳(せんざい)」と読んでいますよ。
白拍子(しらびょうし)というのは、白い水干(すいかん)を着て刀をさし、烏帽子もかぶった男装姿で、職業的に舞を舞ったおねえさんたちの総 . . . 本文を読む
「義経腰越状(よしつね こしごえじょう)」という作品の三段目の前半部分にあたります。現行上演ここしか出ません。
主人公の五斗兵衛(ごとべえ)の事実上のモデルが、後藤又兵衛なのですが、現行上演ではそれはあまり関係なくなってしまっています。
一応主人公の名前と、最後のシーンで五斗兵衛が踊りの「三番叟(さんばそう)」の振りをする、ということとを取って、「五斗三番叟(ごと さんばそう)」と呼ばれます。 . . . 本文を読む
「だんまり」と呼ばれる演目はいくつかあるのですが、
ここはそのなかでもわりと典型的な、「宮島のだんまり」 について書きます。
「だんまり」はどれも同じようなものなので、だいたいどの作品についてもこれでおわかりいただけるかと思います。
とりあえず「だんまり」について説明します。
そもそもストーリーというほどのものはありません。
役者さんがたくさん出てきて、豪華な衣装で、途中で衣装が変わったりしな . . . 本文を読む
ほかの場面の解説もあります。もくじは=こちら=です
「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅ てならいかがみ)」の三段目です。
「桜丸(さくらまる)切腹」の場になります。最近はあまり出ないかもしれません。
平安時代が舞台です。
時の左大臣、藤原時平(ふじわらの ときひら)の陰謀で、右大臣の菅原道真(すがわらの みちざね)は太宰府に左遷されました。
という日本史史上かなり有名な政変が題材です。
. . . 本文を読む
昭和29年の初演。
新作ですからわかりやすいです。
新作ですが、古体なかんじにおおらかで華やかな舞台です。
三島由紀夫の作品です。初演は演出も三島由紀夫だったと記憶しています。
キレイにハッピーエンドにまとまっているので、気楽に見てください。
主人公の「猿源氏(さるげんじ)」というのは妙な名前ですが、「猿」というのは「真似するもの」ですから
「源氏物語」の「光源氏」のイメージを真似た、しかしたい . . . 本文を読む
「二月堂」という別称のほうが有名かもしれません。
雰囲気が昔風なのと、題材が「母子の対面」というこれまた古めかしいネタなのとで、古いお芝居のように思ってしまいがちですが、
じつは新作です、明治の作品です。
というわけで、あまりストーリーも複雑ではありませんし、見ていてわかりやすいと思います。
台詞劇ですので、聞き取れないとさすがに困るかもしれないので、
だいたいの設定とかを書きます。
舞台は . . . 本文を読む
もとは近松の作品です。長いです。
今出すのは作品の一部を脚色したもので、所作仕立てのものです。新作と見ていいです。
もともと長いものがたりの一部ですから、設定が少しわかりにくいかもしれません。
あとタイトルと内容はまったく関係なくなっています。
ジャンルとしては「平将門もの」です。
「平将門の乱」の後日譚です。
今も霞ヶ関だかに「首塚」あるくらいですから、死んだ将門の「呪い」は、当時、かなりリア . . . 本文を読む
新作ですが、能「藤戸」由来の「松羽目もの」ということで、古典に準じて考えていいと思います。
ベースになった史実(「平家物語」に書かれたことを史実とすればね)は、
岩波文庫で出ている「平家物語」だと四巻の半ば、一ノ谷での平家の大敗から壇ノ浦で滅びるまでの間のできごとです。
平家は滅亡寸前、源氏方はイケイケで八島に立てこもる平家を攻めます。
総大将は源範頼(みなもとの のりより)、義経の異母弟で . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)ものです。
「傾城買い(けいせいがい)」ものという古典的なジャンルがあります。
「傾城(けいせい)」というのはランクの高い美しい遊女のことです。男をまどわして城(国)を傾けるほどの美女、という意味です。
「傾城買い」にはいくつかパターンがあるのですが、この作品が京阪で人気があったパターンのひとつです。
大金持ちのボンボンが出てきます。これが尋常な大金持ちではありません。 . . . 本文を読む
道成寺のバリエーションですが、かなり新しいものです。
内容そのものは、ふつうの「京鹿子娘道成寺(きょうがのこ むすめどうじょうじ)」と同じです。
「豊後(ぶんご)」と付くのは、「豊後の国(今の大分県あたり)」で踊るというわけではなくて、
「豊後節(ぶんごぶし)」という節で踊ることから付いています。
「豊後節」は古い浄瑠璃の一種で、世話もの向きだそうです、流行ったのが享保のころということで、 . . . 本文を読む
菊池寛原作の作品です。新作ものです。
もとネタは、元禄期の上方の名優、初代「坂田籐十郎(さかた とうじゅうろう)」が演技を極めるために茶屋のおかみに恋をしかけた、
という実話です。
安永のころ(1770年代)に出版された「役者論語(やくしゃばなし)」という本に出ています。菊池寛も確実にこれを読んで書いています。
昔はまあ、とくに役者さんと遊郭の世界ですから、逢引とか惚れたはれたとかはそう深刻な . . . 本文を読む
経や仏画の表具師の中のことを「経師(きょうじ)」といいます。
大経師(だいきょうじ)というのは、その中の朝廷御用達のえらいヒトをいいます。「経師」の中でもひとりしかなれません。
表装した暦(こよみ、カレンダー)の製造、販売独占権も持っていました。儲かります。
というわけで、ご主人の以春(いしゅん)さんは、べつに本人は貴族でもお坊さんでもないのに、非常に態度がでかいです。
舞台は11月の始め、 . . . 本文を読む
「京鹿子娘道成寺(きょうがのこ むすめどうじょうじ)」をモチーフにした、「道成寺もの」の、いちバージョンです。
「大津絵(おおつえ)」になぞらえて「道成寺」を踊ります。
大津絵というのは、滋賀県大津の、「三井寺(みいでら)」付近で売られた、土地の名産品だった仏教画です。
もともとはお寺で発行する仏教画だったはずなのですが、だんだんバリエーションが増えて宗教色が薄れ、
「独特のタッチで描かれた、 . . . 本文を読む
「娘景清八島日記(むすめかげきよ やしまのにっき)」と一緒に書きます。
内容がほぼ同じなので。
「日向…のほうは新作です。「娘景清…」をベースに、当代の吉右衛門さんが書き下ろしました。
「娘景清…のほうの、後半少々ダレるところをうまく整理したものと理解しています。
もともとは文楽作品です。そして、さらに大元には、能の「景清」がベースになっています。
主人公は
悪七兵衛景清(あくしちびょうえ . . . 本文を読む
初代「夕霧(ゆうぎり)」は元禄のころの遊女です。
はじめ京にいて後に大阪に移りました。上方遊郭文化を代表する名伎ですが、若くして死にました。
大金持ちのボンボンの「伊左衛門(いざえもん)」との悲恋でも有名です。
なので「夕霧」をモデルにした「夕霧狂言」は何本も作られました。
これはそのうちの一本です。かなり後期の作品になります。
ていうか、このへんになるともうあまり真面目に作っていなくて、これ . . . 本文を読む