古い、今何本か存在する「夕霧もの」と呼ばれるお芝居の原型とされるお芝居です。
ですが本は残っていません。
今出ているのは古い資料や歌をたよりに再構成した、「新作」です。
「夕霧もの」でもっともよく出るのは、近松原作の「廓文章」(くるわぶんしょう)ですよ。 内容にも共通点が多いので、両方ご覧になれるといいと思います。
設定
夕霧(ゆうぎり)、井原西鶴も「好色一代男」その他で絶賛した、伝説の花魁。 . . . 本文を読む
まずぜったい出ないと思いますが、書きます。
ここの途中にある一部のセリフが、先々代の三津五郎さんですら著書で「意味不明」とおっしゃっていた部分なのですが、
「こうかな?」と思った解釈があるのでそれ書きたかっただけです。
他にも、いわゆる江戸期にしか通じない慣用句が頻出してセリフがわかりにくいお芝居なので、そのへん書きます。
すでに作品解説というか難解用語集ですが、まあこういうのもいいかとー。
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重の井子別れ(しげのい こわかれ)」の副題で親しまれています。
近松門左衛門が書いた「丹波与作 待夜小室節(たんばのよさく まつよのこもろぶし)」という作品の改作なのですが、
下のほうにチラっとそのへんについて書きます。
子役がストーリー展開上大切なセリフをほぼ全てしゃべるお芝居です。
ふつうの現代のお芝居だと、子役のセリフはむしろ聞き取りにくいことがあるかと思いますが、歌舞伎の子役のセリフは
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お家騒動が題材のお芝居です。
登場人物がすべて女性で華やかなのと、
主人公の「お初(おはつ)」という女の子の庶民的なキャラクターが堅苦しい雰囲気をやわらげてくれるので、
楽しくごらんいただけます。人気演目です。
セリフだけだとわかりにくいかもしれない点を一応整理します。
・お姫様はまだ若いのに出家しようとしている(婚約者が死んだので)。
・お姫様のお付きのお女中の中では、岩藤(いわふじ) . . . 本文を読む
「三人形」 みつにんぎょう
出だし、役者さんがお人形のように動かないでポーズをとっている状態からはじまります。
いちおう「お人形が踊り出す」という設定なのです。
とはいえ、とくに踊りの内容に「人形」が生かされているわけではありません。
ふつうに
「大夫(いちばん位の高い花魁)」
「若衆」
「若衆のお供の奴さん」が
それぞれのキャラクターを生かして踊る、だけです。
とくにストーリーはありません。
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古いお芝居です。初演が天明四年(1784)です。
舞踏劇であるということもあり、台本や演出の大きな改変もなかったようです。
長いお話の前後関係を無視してここだけ出すので内容はちょっとわかりにくいですよ。
まあ細かい事は気にせず、その場その場の動きや絵面を単純に楽しむというのもアリかなとは思いますが、
一応基本設定とストーリーも書きます。
時代
平安初期です。
一応衣装も王朝風ですが、お姫様や後半 . . . 本文を読む
坪内逍遥先生がお書きになったものです。「新作歌舞伎」ですが、明治のものですからわりと古いです。
そして5代目歌右衛門の当たり役だったので彼のために書かれたような気がしますが、初演は11代目片岡仁左衛門です。って細かい。
で、内容
新作らしく史実をそのまま書きますよ。大阪城が家康に攻められて落城する、まさにその瞬間が舞台です。
北条と源頼家に置き換えたりしないですよ。
新作だからそんなにやや . . . 本文を読む
「たてひき」の「たて」は「男伊達」の「だて」とおんなじような意味です。
「たてひき」、男ぶってかっこいいケンカをする様子です。よせばいいのに。
で、「与次郎住処」、通称「堀川」だけ出ることもありますが、
今回その前の場面、「四条河原」が付きますので少し事情がわかりやすいです。
「四条河原の場」
京の都の加茂川四条の河原です。
このへんは河原が広かったようで(こないだ南座で歌舞伎見るのに通った . . . 本文を読む
歌舞伎座で最後に出したのが40年以上前のようです。生まれてません。すみません。
新作ものです。
内容的には、身分の低い男が、手の届かない身分の高い美女に惚れ、あの手この手で近づき、ついに嫁にするという
おおらかでおめでたい内容です。
これは、「御伽草子」や昔話によくある展開で、
じつは、「御伽草子」に載っているバージョンの「一寸法師」や「ものぐさ太郎」なども
現代の絵本とは少し雰囲気が違い、この . . . 本文を読む
江戸後期に大人気だった恋愛ものシリーズ「梅児誉美(うめごよみ)」の舞台化作品です。昭和2年初演。
「こよみ」を「児誉美」と書くのは、まあ、当て字です。あまり意味はありません。
江戸時代はそもそも「漢字」と「かな」の区別がまだかなり不明確なので、意味を無視した当て字は非常に多いのです。
一応原作が「梅児誉美」でお芝居は「梅ごよみ」だと思います。
で、ストーリーそのものはたいして複雑ではないので見 . . . 本文を読む
所作(踊りです)です。あまり出ません。
江戸荒事の典型キャラクター、「曽我五郎(そが ごろう)」の踊りです。
荒っぽい言動が売りものの曽我五郎にしてはめずらしく、廓でキレイなお姉さんに会いに行くシーンという踊りです。
色男ぶりも見せてちょっと軟派です。
これにはちょっと理由があるので、下の方で少し説明しますが、
舞台の絵面を楽しむだけでしたら、
「曽我五郎」が誰かも含めて、細かいことは特に気にす . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りですよ)です。
「京鹿子娘道成寺(きょうがのこ むすめどうじょうじ)」のバリエーションのひとつになります。
内容は「二人道成寺(ににん どうじょう)」にたいへん近いです。
「二人道成寺」は「道成寺」と内容はほぼおなじなのですが、「花子」と「桜子」の2人で踊ります。
さらに、「男女」の場合は、途中で一人が男だとばれてしまいます。
白拍子の桜子だと思っていたおねえさんは、都の狂言 . . . 本文を読む
「曽我もの」の所作(しょさ、踊りね)です。
ていうかこれは完全に「寿曽我対面(ことぶき そがのたいめん)」をシンプルにして所作だてにした踊りなので、
「対面」がわからないと、ようするに意味不明です。
ごめんどうでも「対面」の解説を一度お読み下さい。
余力のある方は、「曽我もの」の解説もお読みになるとさらにわかりやすいです。
春駒というのは、お正月の縁起物の馬の飾りです。
主人公の「曽我五郎(そが . . . 本文を読む
所作(踊りね)です。
「三番叟(さんばそう)」そのものの解説は=こちら=です。
能の「式三番(しきさんばん)」という演目から派生した、たいへん古式ゆかしい、儀式性の強い演目です。
「とうとうたらり」という囃子ことばとともに、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈るおめでたい文句で、
にぎやかに、おごそかに舞います。
原型は本当に古い、能が「田楽」であった時代の田植えの儀式とかにさかのぼると思いま . . . 本文を読む
「神霊矢口渡」 (しんれい やぐちのわたし)
ホントにねえ、これだけは、浄瑠璃聞き取れればどんなに楽しいかというシロモノなのですが、
いたしかたありません。
「えれきてる」の発明で有名な「平賀源内(ひらが げんない)」がの作品、ということでも有名です。
平賀源内については下の方でちょっと書きます。
近松門左衛門や半二のような文学性の高い名文ではありませんが、
たいへんリアルに人物の気持ちを語 . . . 本文を読む