「夏祭浪花鑑」なつまつり なにわかがみ
大阪の下町の、よくも悪くも泥臭い風俗をリアルに描いた作品です。
ですが、ストーリーの中心に和泉の国の濱田家というお城の中の内輪もめがからんでいるので、
そこをざくっと把握しておいたほうが内容がわかりやすいです。
主な登場人物
・団七九郎兵衛(だんしち くろべえ)
主人公です。和泉の国(大阪南部)に住む、ぼて振りの魚屋さんです。ぼて振りというのは、店を構 . . . 本文を読む
四世鶴屋南北(つるや なんぼく)の作になります。あの「東海道四谷怪談」を描いたかたです。
なぜ「盟」を「かみかけて」とムリクリ読ませるかというと、
そもそもこれは「五大力もの」という一連のお芝居の一作だからです。
「五大力(ごだいりき)」というのは「五大力菩薩」のことです。江戸時代に人気があった仏さまです。
仏様ですからカテゴリー的には仏教なのですが、当時の感覚では願掛け用の神様の一種です。 . . . 本文を読む
正式なタイトルは「倭仮名在原系図」 やまとがな ありわらけいず というのですが、
四段目にあたる、「蘭平(らんぺい)」という奴さんが中心になる場面しか残っていないので、
「蘭平物狂」というタイトルで上演されます。
前後の細かい設定を説明すると長いので後ろのほうでまとめて書くことにして、とりあえず上演部分の筋だけ追ってみます。
時代設定は平安初期です。清和帝のころです。
平安貴族の「在原行平(あり . . . 本文を読む
「敵討ち狂言」というのは歌舞伎の重要なジャンルのひとつで、これはその典型的な作品のひとつです。
「敵討ち狂言」についてひと項目立てました。=こちら=です。お時間がある時読んでいただけるとお芝居の方向性が分かりやすくなるかなと思います。
現行上演、大阪、天王寺の門前から始まります。
なのでまず、ここまでの流れをざっと書きます。
・主人公の「早瀬兄弟」の父親、「早瀬 玄藩(はやせ げんば)」は、と . . . 本文を読む
後半部分の「新口村」(にのくちむら)は=こちら=です。
もとは、あの有名な「近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん)」の作品です。
「もとは」というのは、いま上演されているのは近松の原作とはかなりニュアンスの違う舞台になってしまっているからです。
近松原作のタイトルは「冥途の飛脚」(めいどのひきゃく)といいます。
原型のほうが作品としてはおもしろいのですが、人物描写などがリアル、かつ繊細すぎるため . . . 本文を読む
何段か出るので目次をつくりました。お好きなところにどうぞー。
現行上演では出ない段の説明も、書いてあります。
基本的に文楽台本ベースですので、文楽をご覧になるときもご利用いただけます。
個々の解説ページでも一応書いてはあるのですが、お芝居全体の背景についてここにも少し説明を書いておきます。
時代設定は、源平の戦が終わった直後です。
全段を通しての主人公はタイトル通り、「源義経(みなもとの よし . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)です。
場所は江戸、吉原の遊郭です。
かわいい鳥かごをいくつもかついだ、鳥売りの夫婦がやってきます。
と言っても、この鳥は籠に入れてペットに飼うための鳥ではありません。
昔は「放生会(ほうじょうえ)」という仏教イベントがありました。
仏教は殺生を禁じますが、さらに一歩進んで、生き物の命を助けることで徳をつもう、というのが本来の趣旨です。
そのために、それ用に売られている鳥を . . . 本文を読む
「筆屋幸兵衛(ふでや こうべえ)」、略して「筆幸」の通称で親しまれています。
深川水天宮というのは、今も地下鉄半蔵門線に「水天宮前駅」がありますが、あそこです。
たいへん御利益があることで知られており、というか、初演時の劇場が水天宮のそばだったようです。
それに因んだお芝居です。
というわけで、水天宮のご利生で不幸なヒトが幸せになるものがたりです。
ですが、作品の見せ場は、幸せになる前の主人公の . . . 本文を読む
何段かあるのでもくじです。
あまり通しで出ることはなく、三段目「吉野川」だけ、または「苧環(おだまき)」から「御殿」まで、
もしくは所作(踊りね)として「苧環」だけ、などの出し方が多いようです。
題材は大化の改新(645)です。
「蘇我蝦夷(そがの えみし)」、「曽我入鹿(そがの いるか)」「中臣(藤原)鎌足」などはほぼ、史実どおりの役回りで登場します。
今普通に上演される歌舞伎作品の中では . . . 本文を読む
江戸末期の巨星、「河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)」の作品です。
有名な「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりの えどざくら)」をモチーフに、ぐっと現代風(江戸当時の「現代風」)に作られたメタファー作品です。
・上野不忍池(うえの しのばずいけ)の場
もともとは助六の父親が殺されるところからの長いお芝居です。今はストーリーの半分も出していません。
この場面も、前後の関連性を無視してかなりぶつ切りな感 . . . 本文を読む
「京鹿子娘道成寺(きょうがのこ むすめどうじょうじ)」という有名な所作(しょさ、踊りですよ)があります。
有名な安珍と清姫の伝説を元にした、壮大で豪華な踊りです。
あまりに有名なので、バリエーション作品がたくさん作られ、「道成寺もの」という1ジャンルになっています。
「二人道成寺」「奴道成寺」などが有名です。
この「傾城道成寺」も、いちおう「道成寺もの」というジャンルに入るのですが、
じつは、原 . . . 本文を読む
「妹背山婦女庭訓(いもせやま おんなていきん)」という長いお芝居の三段目です。
一、二段目は今は出ないのですが、下のほうにだいたいの内容を書きました。
前半の「花渡し」の場も、今はあまり出ないのですが、お芝居の流れがわかりやすくなるのでここから書きます。
絶対に出ないとは言い切れないので少し詳しく書きます。
日本史で最初に習う大がかりな政変、大化の改新(645)が舞台です。
蘇我入鹿(そがの . . . 本文を読む
「入鹿御殿」(いるか ごてん)とも呼ばれます。
ここは、かならず前半部分の「道行恋苧環(みちゆき こいのおだまき)」といっしょに上演されます。
「道行恋苧環」の説明も一緒にご覧ください。
「妹背山婦女庭訓(いもせやま おんなていきん)」というお芝居の四段目の後半部分です。
大化の改新(645)が題材の作品です。
悪人の「蘇我入鹿(そがの いるか)」は、策略で時の帝を宮廷から追い出し、政権を掌握 . . . 本文を読む
「妹背山婦女庭訓(いもせやま おんなていきん)」 四段目の前半です。
序盤部分にあたる「杉酒屋」から書きます。
ここはあまり出ない幕ですが、内容を把握しておいたほうが「苧環」部分がわかりやすいと思います。
「妹背山」自体の時代設定は上代ですが、ここは一般市民の住む家が舞台の「世話場(せわば)」と言われる場面です。
こういう場面は現代風(つまり江戸時代)の風俗でリアルにやるのがお約束です。
御殿 . . . 本文を読む
能由来の作品です。
ほぼ、能の「隅田川」と同じ内容です。
明治以降に、能や狂言の舞台を歌舞伎に取り入れて作られた「松羽目もの(まつばめもの)」と呼ばれる作品群のひとつです。
「梅若伝説」に基づいた有名なものがたりが原型です。
京の「吉田少将(よしだの しょうしょう)」の幼い息子「梅若丸(うめわかまる)」が、さらわれて東国に連れ去られ、
隅田川のほとりで死にます。12歳。
探して旅をする母親の「班 . . . 本文を読む