「天衣粉上野初花」(くもにまごう うえののはつはな)というお芝居があります。
「弁天小僧」を書いたので有名な、江戸から明治にかけての天才作者、「河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)」の名作です。
これは、「河内山宗俊(こうちやま そうしゅん)」と「片岡直次郎(かたおか なおじろう)」
というふたりの主人公の筋が入り混じって作られた物語です。
本当はここに「金子市之丞(かねこ いちのじょう)」というお . . . 本文を読む
大阪、摂津にかなり古くから伝わる伝承に「俊徳丸(しゅんとくまる)もの」というのがあります。
摂津の国、高安(たかやす)の城主の息子、俊徳丸(しゅんとくまる)が、讒言のために父親に追放され、盲目となってさまよい歩く、というモチーフです。
舞台は常に大阪の四天王寺です。
最後は四天王寺に参詣に来た高安城主が俊徳丸に気付き、後悔して屋敷に連れ帰ります。
盲目でボロボロの乞食になっても、貴公子然とした気 . . . 本文を読む
新作です。
原型は、河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)作の「鞍馬山のだんまり」だと思います。
富十郎さんのお孫さん、違うじゃん、息子さん、の大くんの初舞台ために新作として書き下ろされました。
内容が、「御曹司の初舞台」に非常にふさわしいので、今後もビミョウにマイナーチェンジして、上演される可能性があるかもしれないので書いておきます。
「鞍馬山」とあるとおり、九郎判官義経さまがまだ小さく、牛若丸と . . . 本文を読む
本題は「隅田川続悌(すみだがわ ごにちのおもかげ )」といいます。
一応「隅田川もの」という一連の作品群に属するのですが、
この作品はすでに「隅田川もの」の原型がないのでその説明は割愛します。
ストーリーもわりとわかりやすいです。
お家騒動ものです。
「お家騒動もの」というジャンルの作品群で起きるお約束の事件をちょっと説明します。
・お家乗っ取り派の悪人の陰謀で家宝が紛失(「ふんじつ」と発 . . . 本文を読む
昭和30年初演の作品です。いわゆる「新作もの歌舞伎」になります。
谷崎潤一郎原作の作品です。
美しい姫君に心を寄せる、盲目の法師の物語です。
新作ですし、ストーリーも谷崎ももですので単純ですから、とくにわかりにくくないと思います。
一応戦国史をざくっと押さえたほうが無難かもしれません。
大河ドラマんどでよく出る題材なので、そのへんを見ていれば大丈夫です。
戦国系のゲームでも大丈夫です。
織田信長 . . . 本文を読む
大正末のころの初演ですので、新作ということになります。
主な登場人物は二人だけです。
夜の火の番小屋です。
「火の番小屋」というのが、江戸の社会システムの中で具体的に何なんだっけと一瞬考えてしまうのですが、
これは、作品自体が海外作品の翻案もので、しかも既に大正時代になっていますので、あまり正確な考証はしていないように思います。
まあ、小屋があって、中に老人がいて、火の番をしている、
それだけ . . . 本文を読む
「どんつく」
「太神楽(だいかぐら)」という大道芸人を中心に、芸者さんや若旦那や物売りなど、
江戸の繁華街を彩るひとたちの楽しそうな様子を描いた踊りです。
なので踊りですが、けっこうセリフもあります。
「太神楽」というのは、江戸のほんとうに初期くらいまでは、今の神社のお神楽と同じようなのを
実演して回っていた芸なのですが、
だんだんくだけてきて、江戸中期以降にはただの曲芸の芸人さんになりました。
. . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)です。
上方遊郭を代表する傾城といえば「夕霧(ゆうぎり)」です。お芝居もたくさん作られています。
江戸の遊郭では「高尾(たかお)」という遊女が有名です。
「高尾」はひとりではなく、代々トップランクの遊女がその名前を名乗ったので、ふつうは「○代目高尾」というように言います。
この作品に出てくるのはとくにどの「高尾」のはなし、というわけではなく、ていうか「高尾」がテーマという . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)です。
お獅子が出てくる踊りで、「連獅子(れんじし)」や「鏡獅子(かがみじし)」は有名だと思います。あの毛をふるやつです。
あれの原型にあたるおどりです。
正確には、原型は能の「石橋(しゃっきょう)」という作品で、これをそのまま歌舞伎化した作品もあるのですが、これは比較的最近のものなのです。
昔は能をそのままの形で歌舞伎の舞台に上げることはできなかったので、歌舞伎らしくカジ . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)です。
同タイトルの能の作品がベースになっています。
同じ能ベースの「船弁慶」とタイトルが似ていますが、内容はかなり違います。
「♪京の五条の橋の上♪」の弁慶と牛若丸(義経)の有名な出会いと立ち回りがテーマです。
京の都、五条大橋で弁慶と牛若丸(義経)が戦って弁慶が負け、主従の契約をするという定番の内容ですが、
一般的な伝承とは多少違う部分があります。
一般的には乱暴者 . . . 本文を読む
所作(踊りね)です。
フサフサの毛が付いた、派手な槍を持ってふたりの奴さんが踊ります。
動きがあって楽しいです。
槍踊りは、動きを大きく、テンポを早く、が大事なんだそうです。えいやえいや。
あと、足を外股にして男らしく動きます。かっちょええ。
槍を投げあう曲芸みたいな動きもあって楽しいのですが、下手すると「踊り」じゃなくて「曲芸」になってしまいます、
そこが難しい踊りです。
気楽にご覧くださ . . . 本文を読む
三社祭は今は半天と褌とお兄さんたちとおみこしのお祭りですが、昔は大きい山車が出ました。
空中に電線がなかった時代です。
もともとはその山車人形が踊る、という趣向の踊りなのですが、現行上演その部分はカットです。
本当は「神宮皇后(じんぐうこうごう)」と「竹ノ内宿禰(たけのうちの すくね)」が踊り、
そこから衣装を引き抜いて漁師ふたりになります。
ここに「善」と「悪」という丸いものが降って来てふたり . . . 本文を読む
河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)の初期作品です。
黙阿弥のブレイク作でもあります。
「忍ぶの惣太」という名称でも知られます。
最大の見どころは、主人公の侠客「忍ぶの惣太」が、隅田川の土手で「梅若丸(うめわかまる)」という少年を殺して
金を奪う場面になります。
後の「十六夜清心」などにも通じる、黙阿弥大得意の「美少年殺し」のシーンです。
江戸らしい退廃的で悪趣味な気分とあいまって、
そして黙阿 . . . 本文を読む
所作(踊りですね)です。
半裸で踊る乞食坊主さんの様子が楽しい踊りです。気軽にご覧いただける演目です。
江戸期の「願人坊主(がんにんぼうず)」というのを題材にしています。
「願人坊主」というのは、お坊さんではなく、門付芸人の一種です。
お寺で修行して受戒して僧としての身分を持っていたわけではありません。
持ってたひともいたかもしれませんが、逆にお寺をドロップアウトしたということになりますから、ま . . . 本文を読む
所作(しょさ、踊りね)ものです。短い作品です。
「猩々(しょうじょう)」というのは中国の想像上の動物です。麒麟や竜と同じカテゴリーに属します。
赤い顔でカラダは猿に似ており、顔は人間です。「酒が好き」というのが大きな特徴です。
酒売りのひとが親孝行なのです。
夢のお告げがあったので海辺にやって来きます。
猩猩が現れ、酒をねだります。猩々はおめでたい動物ですので酒売りは酒を与えます。
喜んで飲 . . . 本文を読む