河内長野市から和歌山県橋本市を通り、高速道「京奈和道」を走っていると
夜明けになった。五条市も吉野町、大淀町は雲ひとつない晴れた空で
山歩きが楽しみだった。ところが国道169号線の「伯母峰トンネル」を潜り
山の向こうの上北山村に出たとたん、曇り空。
国道から分岐して 前鬼林道を走る頃は、山から雲が大量に下りてきた。
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前鬼林道のゲート付近駐車スペースに車を止めて歩き出す。
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ゲートから先の道路は、主に「小仲坊」のあるじ 五鬼助さんが週末に
食料を乗せてやってくる時に通る。雨はしとしと降り出した。
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歩き出して約40分で小仲坊到着。
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トイレをお借りする。チップ制だ。
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宿坊で一休み。雨は本格的に降り出した。行くかどうか思案中。
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せっかくここまで来て、このまま帰るのはもったいないと思い、歩き出す。
前鬼行者堂のこのあたりに 「第二十九番靡き 前鬼山」があるのだが
どこなのか分からなかった。(ひょっとしてこのお堂がそうなのかも)
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1300年前に、役行者の言いつけにより、前鬼後鬼の夫婦の 5人の子供たち
により始められたというここの五軒の宿坊も、明治政府の無知無教養な政策
「山岳修験道禁止令」により廃れて、今は五鬼助さんの「小仲坊」一軒だけ
になった。ここは「五鬼童」さんの宿坊跡。
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雨の降る中をひたすら登る。渓を2回ほどわたる。
目印はたくさんあるが、相変わらず道は分かりにくい。
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途中から 木製階段が延々と続く。
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途中でなにか立て札が見えた。近寄ると「第三十番靡き 千草岳」
と書いてある。この岩がそうらしい。
私財を投じて世界遺産大峰奥駈道のメンテナンスをしている
「新宮山彦ぐるーぷ」さんの作った看板だった。
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雨の「二つ岩」(両金剛童子岩)ー第三十三番靡きに到着。
小仲坊からジャスト1時間だ。奥駈道まであと1時間。
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去年の大雨のせいなのか、道が流されて無い。幸い巻き道が作られていて
大変ありがたい。山彦グループさん ありがとうございます。
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木製階段の中間部分が流されている場所もあった。
ここにも巻き道が作られてあった。
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雨は次第にきつくなる。雲は山の上からどんどん降りてくる。
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やっと奥駈が見えてきた。
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太古の辻到着。やっと奥駈に出た。小仲坊からジャスト2時間。
この大きな「これより南奥駈道」の看板は 京都聖護院「奥駈葉衣会」
と書いてある。南奥駈の荒廃に心を痛め、道の整備をしつつ病に倒れた
「前田翁」たちのグループだ。今はもう葉衣会はない。
前田翁の意志を引き継いだのが「新宮山彦グループ」さんたちだ。
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奥駈と大日岳への分岐点。
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登っていくと次第に大日岳が雲の中に見えてきた。
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雨が激しく、岩が滑る。残念ながら頂上直下の垂直な岩場で退却。
ここで滑落したら、単独行なので、誰にも見つからないだろう。
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下山中なにやら標識が。近寄ってみると「なんとか尾根道への下降口」と
書いてあった。前鬼道は渓筋道なので増水時は危険になるのでこの
尾根道が整備されたようだ。いつかは降りてみよう。
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上から下を見ると 木製階段が延々と続いている。よく作ったものだ。
雨で滑るので 慎重にゆっくりと降りる。
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小仲坊に帰着する頃には、晴れ上がっていた。雨の中、昼食を食べる場所が
無かったので ここで昼食にする。
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この日見た奥駈の花
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山道を歩いていると、斜面全体が紫色になっていた。よくみると「岩タバコ」
の大群落だ。こんな群落見たことない。見事な大群落だった。
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奥駈の尾根道に咲いていた、可憐な花。深山飯子菜(みやまままこな)だ。
普通の飯子菜の高山タイプだ。このあたり標高1500m前後だ。
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帰りに林道から見た「前鬼七重の滝」凄い水量だ。
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歩いた林道部分が現れてないが、ゲート付近は標高550メートル前後だ。
大日岳は1530メートル前後なので、標高差1000mを3時間半かけて
登ったわけだ。何時歩いても 前鬼道は険しい。
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つい油断して、雨の奥駈で久しぶりに「吸血蛭」にやられてしまった。
ぴっちりした登山用タイツを履き登山用靴下を履き、長ズボンを履いた上に
レインスーツの上下を着ていたから、つい油断してしまった。
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車に戻り、靴下を脱ぐと、靴下がぼたぼたの血だらけ。
蛭は血液を凝固させない酵素を注入しながら心行くまで血を吸う。
その途中は痛くもかゆくもない。まったく気がつかない。
腹いっぱい血を吸った蛭はとっくにお帰りあそばした後で
どこにもいなかった。
帰宅後は足がパンパンに晴れ上がっていて、まだ血は流れ続けていた。
熱を持って 少し痛くて少し痒い。
上の写真は一晩たったあとだ。はれと痛みはかなり引いたが、まだ少し
腫れていて今度は気が狂いそうなくらいに痒い。傷跡は3箇所ある。
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奥駈や台高縦走路は「吸血蛭」が多いので 半ズボンなど肌の露出は
避けたほうが賢明だ。流行の山スカートも御注意を。
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