田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

151220 16年前の日記から「日系人経営のホテル」

2015年12月20日 15時48分57秒 | ブラジルと私(ブラジルをかじる)

日本人経営のホテル(2000)

 

 東洋人街にある日本人経営のFホテルに予約を入れていたが、ひどい荒れ宿である。部屋に入って驚くことがいくつもある。冷蔵庫、カラーテレビ、バス完備ともらった名刺に書いてあるが、いずれもがたがたの代物で廃品回収屋もびっくりというもの。風呂は栓が口に合わず、入れた湯が全部抜けてしまった。仕方なしにシャワーですます。テレビは衛星放送を受信していない。ブラジルの日系人はかならず衛星放送を受信しているのにそういうサービスがない。冷蔵庫の音がうるさく気になって寝られない。二機しかないエレベーターは目の前で故障する。着地するとエレベーターの床が建物の床にそろって止まらない。階段を一回上る要領でエレベーターに乗る。サンパウロの東洋人街の寂れ方はひどいが、そこに営業している日系人のビジネスのすさみ方もひどい。日本では場末のビジネスホテルでもこんなことは考えられない。こんな整備不良なのにツインで1泊90ドルとは恐れ入った。しかし日本語が通じるということで日本人客はそこを使うしかない。数日後再びそこへ行くと、なんと前回故障していたエレベーターはまだ直っていない。それどころか後の一台も故障している。びっくり仰天である。悪い夢を見ているのか。こんなホテルが営業許可されているとは全く信じられない。聞いてみると、従業員はのんびりした顔で「モーターが二つとも焼き切れたのです。何時修復するでしょうかね」などと他人事のようなことを言っている。こんなことは日常茶飯事であると顔は語っている。手で荷物を運び上げるしかないので、重い荷物を担いで階段を2回上がる。太いため息をつき、新聞を読もうとしてふとベッドの上の枕元の電気照明を見る。小さなランプがちょうど自転車のヘッドランプのように壁から頭上に被さるように固定され、手元のスイッチで点けたり消したり出来るようにしてある。ところがそのランプの覆いの金属のボックスが、ねじが全部はずれ、裏蓋と覆いの金属がコードで繋がっているだけでブランブランの首吊り状態になっている。自転車のランプがコードだけで駆体に繋がっている姿を思い描けばいい。こんなあからさまな破損は毎日来ているハウスキーパーが簡単に発見できるものであるから当然報告されているものと思うが、このホテルの経営者はメンテナンスをケチっているに違いないと確信させられる例のひとつである。粗末な設備で高い料金で日本人から絞るだけ絞って、ホテルを使い捨てにするつもりだろうか。ホテルニュージャパンが全焼する数年前に私は2回ほど使ったが、この時も赤坂にありながらなんとひどいホテルだと感じたものだったが、果たせるかな、お客無視の経営は死者百名を出す大惨事を招くことになった。このホテルの管理はこれを遙かに上回るずさんさではないかと思う。さて、風呂にでもと思って湯船にお湯を入れようとしたら今度は湯船の排水ふたが(今度は)無い。ギャッ!と声が出た。湯の栓をひねってみる。今度は何時まで経っても熱い湯が出ない。栓は湯と水の二つがあって、どちらが熱い湯か、どちらが水か分からない。栓は老朽がひどく壁からはずれそうになっていてぐらぐらし、ひねると繋がっている鉛管がぐらぐら。従業員がどこからともなく風呂の栓を探してきてやっと底を固めた。これらをひとつひとつ見て行くうちにしまいにはおかしくなってゲラゲラ笑ってしまった。腹がよじれるくらい笑ってしまった。階下に降りると、顔見知りとなった日本人のお客さんが「アナタは2階でよかった。私は6階ですよ、重い荷物をどう運べというのですか」とエレベーターの前で嘆息していた。


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