物語が始まるのは、遠征の約4か月前。7月後半。
そろそろ次回の打ち合わせでもとセッティングをした「作戦会議」という名の飲み会に、シェリーが新しいメンバーを連れていきたいという一言からだった。
前回の台湾・高雄遠征の際、メンバーの暴飲暴食っぷりに、もうついていけないと思ったからなのか、新メンバーを人身御供とし自らの飲食量を減らそうという考えなのか、それは定かではないが、とにかく頼もしいメンバーが増えることに、メンバーの異論はなかった。
待ち合わせ当日。
残念なことに、この日大阪には台風が近付いていた。
まだ雨は降り出していなかったが、雲行きは怪しく、風もどんどん強くなってくると天気予報が告げていた。
「まさに嵐を呼ぶ男たちだぜ」とニイヤは心の中でつぶやきながら、荒れ始める曇天の下、メンバーを待っていた。
約束時間前にシェリーが到着、約束時間ぴったりにヤハギが到着。そして、約束時間を少し過ぎて「どーもどーも」と何事もなかったのようにヲキナが到着。いつもの感じである。
ただ、この場に新メンバーはいなかった。
シェリーを除く3人とはこの日初めて会うため、新メンバーの連絡先を知っているシェリーが連絡をしたが、「先に用事があって、いま別の場所から向かっている。遅れるので先に行ってほしい」ということだった。
果たしてそんな新メンバーが本当にいるのか、シェリーの妄想ではないのかという疑問が少しだけ頭をよぎったが、そこは性善説をとるモグモグ隊、とりあえず4人で店に向かった。
大阪市内で地ビールを醸し、作りたてを格安で飲み放題できるという、ヤハギのイチオシの居酒屋に到着。
新メンバーがいつ来るかわからなかったので、とりあえず始めることにした。
乾杯。
ビールがうまい。
すかさずお代わり。そしてお代わり。さらにお代わり。
あまりの短時間にお代わりを続けるものだから、店のおばちゃんは「もうピッチャーで持ってくるわね」と一言。目の前にドカンと2種のビールピッチャーが置かれた。
「ピッチャー交代、なんちゃって」とリーダー。
杯も重ね、ほろ酔い加減になってきた頃、店の自動ドアが開き、ひときわ大柄な男が我々のテーブルにやってきた。「いやー、どうもです。遅くなってすんません。あ、兄貴、久しぶり」「おお、来た来た。待ってたよ」とご機嫌なシェリー。どうやら新メンバーは本当にいたらしい。
新メンバーがシェリーのことを「兄貴」と呼んだことが、少し気になった。
シェリー「じゃあ、紹介します。クーニーです」
クーニー「あ、ども。クーニーです。兄貴がいつもお世話になってます」
兄貴…。
少なくとも細身に見えるシェリーの弟にしては、ものすごくデカいので、血は繋がっていなさそうだ。
シェリー「ほら、この間話してた、台湾に行ったモグモグ隊のメンバー」
ニイヤ「ニイヤです」
ヤハギ「ヤハギじゃい」
ヲキナ「リーダーです」
と軽く自己紹介。
ニイヤ「いやぁ、忙しいところ悪かったねえ。店の場所、すぐにわかった?」
クーニー「大丈夫でした。駅からタクシーで来たんで。鶴橋から環状線に乗ったんですけど、逆回りに乗ってしまいまして。少し時間かかっちゃいました」
ヤハギ「休みの日でも仕事なんてしんどいなあ」
クーニー「仕事ちゃいますよ」
ヤハギ「え?」
クーニー「少し早くに大阪に着いてしまって。時間あるから鶴橋でも散歩しようかなと思って」
シェリー「そうだったんか」
クーニー「いやあ、でも鶴橋の焼肉はうまかったッス」
ニイヤ「え?」
クーニー「え? 鶴橋って焼肉が有名ですよ」
ニイヤ「それは知ってるけど」
クーニー「どこにしようかなと思って、少し迷ったのがいけなかったですね。でも、適当に入った店でもしっかりうまかったッス」
シェリー「まさか…」
ヲキナ「君、もしかして、鶴橋で焼肉食べてて遅れたんか?」
クーニー「ええ、いい匂いだったもので」
ヲキナ「おいおい」
ニイヤ「これから飲み会っていうのは、知ってたんだよね?」
クーニー「ええ」
ニイヤ「飲み会の前に焼肉食べてたってこと?」
クーニー「あ、でも、ライスは食べてないですよ。肉だけで我慢しました。だからお腹すいてます。大丈夫です」
リーダー「逸材や…」
クーニーは、飲み会前に鶴橋で焼肉を数人前たいらげ、気がついたら集合時間になっていたらしい。
環状線に逆回りで乗ろうが、正しく乗ろうが、とりあえず遅れていたことが判明した。
焼肉食べてて遅刻。
これがクーニーの、モグモグ隊の希望となる超大型新人の華麗なる登場であった。
ちなみに、クーニーは遅れてきたことを挽回するべく、すぐさまチャーハンと焼きそばを注文し、ほぼ一人で完食していた。
残りの4人は呆然とその食欲を眺めているだけだった。
なぜクーニーはシェリーのことを兄貴と呼ぶのか、もうそんなことはどうでもよくなるくらい、見事な食いっぷりであった。
そんな新メンバーを大型補強したことで、パワーアップに成功した我らモグモグ隊。
次回の遠征先は、クーニーがパスポートを持っていないという理由から、久しぶりに国内となった。
そろそろ次回の打ち合わせでもとセッティングをした「作戦会議」という名の飲み会に、シェリーが新しいメンバーを連れていきたいという一言からだった。
前回の台湾・高雄遠征の際、メンバーの暴飲暴食っぷりに、もうついていけないと思ったからなのか、新メンバーを人身御供とし自らの飲食量を減らそうという考えなのか、それは定かではないが、とにかく頼もしいメンバーが増えることに、メンバーの異論はなかった。
待ち合わせ当日。
残念なことに、この日大阪には台風が近付いていた。
まだ雨は降り出していなかったが、雲行きは怪しく、風もどんどん強くなってくると天気予報が告げていた。
「まさに嵐を呼ぶ男たちだぜ」とニイヤは心の中でつぶやきながら、荒れ始める曇天の下、メンバーを待っていた。
約束時間前にシェリーが到着、約束時間ぴったりにヤハギが到着。そして、約束時間を少し過ぎて「どーもどーも」と何事もなかったのようにヲキナが到着。いつもの感じである。
ただ、この場に新メンバーはいなかった。
シェリーを除く3人とはこの日初めて会うため、新メンバーの連絡先を知っているシェリーが連絡をしたが、「先に用事があって、いま別の場所から向かっている。遅れるので先に行ってほしい」ということだった。
果たしてそんな新メンバーが本当にいるのか、シェリーの妄想ではないのかという疑問が少しだけ頭をよぎったが、そこは性善説をとるモグモグ隊、とりあえず4人で店に向かった。
大阪市内で地ビールを醸し、作りたてを格安で飲み放題できるという、ヤハギのイチオシの居酒屋に到着。
新メンバーがいつ来るかわからなかったので、とりあえず始めることにした。
乾杯。
ビールがうまい。
すかさずお代わり。そしてお代わり。さらにお代わり。
あまりの短時間にお代わりを続けるものだから、店のおばちゃんは「もうピッチャーで持ってくるわね」と一言。目の前にドカンと2種のビールピッチャーが置かれた。
「ピッチャー交代、なんちゃって」とリーダー。
杯も重ね、ほろ酔い加減になってきた頃、店の自動ドアが開き、ひときわ大柄な男が我々のテーブルにやってきた。「いやー、どうもです。遅くなってすんません。あ、兄貴、久しぶり」「おお、来た来た。待ってたよ」とご機嫌なシェリー。どうやら新メンバーは本当にいたらしい。
新メンバーがシェリーのことを「兄貴」と呼んだことが、少し気になった。
シェリー「じゃあ、紹介します。クーニーです」
クーニー「あ、ども。クーニーです。兄貴がいつもお世話になってます」
兄貴…。
少なくとも細身に見えるシェリーの弟にしては、ものすごくデカいので、血は繋がっていなさそうだ。
シェリー「ほら、この間話してた、台湾に行ったモグモグ隊のメンバー」
ニイヤ「ニイヤです」
ヤハギ「ヤハギじゃい」
ヲキナ「リーダーです」
と軽く自己紹介。
ニイヤ「いやぁ、忙しいところ悪かったねえ。店の場所、すぐにわかった?」
クーニー「大丈夫でした。駅からタクシーで来たんで。鶴橋から環状線に乗ったんですけど、逆回りに乗ってしまいまして。少し時間かかっちゃいました」
ヤハギ「休みの日でも仕事なんてしんどいなあ」
クーニー「仕事ちゃいますよ」
ヤハギ「え?」
クーニー「少し早くに大阪に着いてしまって。時間あるから鶴橋でも散歩しようかなと思って」
シェリー「そうだったんか」
クーニー「いやあ、でも鶴橋の焼肉はうまかったッス」
ニイヤ「え?」
クーニー「え? 鶴橋って焼肉が有名ですよ」
ニイヤ「それは知ってるけど」
クーニー「どこにしようかなと思って、少し迷ったのがいけなかったですね。でも、適当に入った店でもしっかりうまかったッス」
シェリー「まさか…」
ヲキナ「君、もしかして、鶴橋で焼肉食べてて遅れたんか?」
クーニー「ええ、いい匂いだったもので」
ヲキナ「おいおい」
ニイヤ「これから飲み会っていうのは、知ってたんだよね?」
クーニー「ええ」
ニイヤ「飲み会の前に焼肉食べてたってこと?」
クーニー「あ、でも、ライスは食べてないですよ。肉だけで我慢しました。だからお腹すいてます。大丈夫です」
リーダー「逸材や…」
クーニーは、飲み会前に鶴橋で焼肉を数人前たいらげ、気がついたら集合時間になっていたらしい。
環状線に逆回りで乗ろうが、正しく乗ろうが、とりあえず遅れていたことが判明した。
焼肉食べてて遅刻。
これがクーニーの、モグモグ隊の希望となる超大型新人の華麗なる登場であった。
ちなみに、クーニーは遅れてきたことを挽回するべく、すぐさまチャーハンと焼きそばを注文し、ほぼ一人で完食していた。
残りの4人は呆然とその食欲を眺めているだけだった。
なぜクーニーはシェリーのことを兄貴と呼ぶのか、もうそんなことはどうでもよくなるくらい、見事な食いっぷりであった。
そんな新メンバーを大型補強したことで、パワーアップに成功した我らモグモグ隊。
次回の遠征先は、クーニーがパスポートを持っていないという理由から、久しぶりに国内となった。
そして、外はいつしか台風による暴風が勢いを増してきていた。
ニイヤ「嵐の予感がする…」
その地は、福島。
モグモグ隊 福島遠征が始まるのだった。
ニイヤ「嵐の予感がする…」
その地は、福島。
モグモグ隊 福島遠征が始まるのだった。
【モグモグ隊 福島遠征メンバー】
ヲキナ:絶対的リーダー
ヤハギ:特攻隊長兼撮影主任
ニイヤ:永久幹事
シェリー:モグモグ隊の良心
クーニー:超大型新人
(つづく)
ヲキナ:絶対的リーダー
ヤハギ:特攻隊長兼撮影主任
ニイヤ:永久幹事
シェリー:モグモグ隊の良心
クーニー:超大型新人
(つづく)
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