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夏河から郎木寺に向かうバスは、とても快適で、いつのまにか眠ってしまうほど。
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高速でかっ飛ばすバスの窓からは、風にはためくタルチョや見晴らしのいい丘、のどかに草を食むヤクの集団などが見える。
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こういうところにフラリと立ち寄れば、人がいないアムドの本来の風景を堪能できるのにと思うが、いかんせん公共交通機関はそんな観光っぽいところで停まるわけもなく。
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ただ、中国人観光客は別。
ランドクルーザーなどの四駆を自分で運転し旅しているため、美しい景色スポットなどがあれば車を停め、記念写真を撮っている姿をよく見かけた。
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4時間程度で郎木寺に到着。
新しい町に着いた時はまず宿探しなのだが、嫁さんからすると、これがたまらなく不安らしい。
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高地でウロウロして体調を崩されても、これからの旅に支障をきたすので、バスが停まったすぎそばにある郎木寺賓館にチェックイン。「地球の歩き方」にも載ってるということが安心感につながるらしい。同じことが僕は不安につながるのだが…。
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チベタンテイストのフロント。人がいなかったので、呼んでみたが応答なし。
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10分ほど待ったら、人が来た。
のんびりしている。
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部屋に荷物を置いたら、昼飯を食べに町に出る。
どこかいいところあればいいなと散歩を兼ねて歩いていたら、あっという間に町外れになってしまった。
この町唯一の見所である寺には明日行こうと考えているので、今日は町歩きで時間をつぶす予定だったが、それも終わりそうだ。
どうやらこの町もすっかりツーリスティックになっているようで、どの店も軒並み飯が高い。
地元の人が入っているような店はないかと探していたら、観光客なんて誰も歩いていないような路地裏にポツンと飯屋があった。
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回族の家族が経営している宿兼飯屋で、客は自分たち以外誰もいない。
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ご飯食べられる?と聞くと、大丈夫との返事。
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子どもたちが宿題や遊びに使っていたテーブルが、急な異邦人たちに明け渡された。
突然の外国人に興味津々の子どもたち。興味はあるのだが話しかけることもなく、一定の距離を保ったまま、こちらを凝視している。こういう雰囲気、なんか久しぶり。
奥からブ厚いメニューを出してきた。一攫千金的な気持ちが前面に出ちゃいすぎて、オススメは●●鍋ですと言われるも、昼飯に100元も出せないよ、おばちゃん。
こういう店で突拍子もないメニューを注文しちゃうと、できないと言われるか、注文後に買い出しに出かけて延々と待たされるので、空腹のここは、無難に絶対にすぐできるだろうメニューを選択。
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トマトと卵の炒め物、白菜のニンニク炒め、そして白ご飯。
メニューを聞いて、おばちゃんはキッチンへ。
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客もいないし、子どもは遠目から見ているだけなので、キッチンまで入り込んで写真を撮ったりして時間をつぶした。
味はいたって普通。いや、むしろ薄味か。おふくろの味。
(つづく)
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