goo blog サービス終了のお知らせ 

杉並からの情報発信です

政治、経済、金融、教育、社会問題、国際情勢など、日々変化する様々な問題を取り上げて発信したいと思います。

≪注目意見≫南オセチアの軍事衝突は誰にとって利益になるのか?桜井晴彦氏 

2008年08月21日 09時38分14秒 | 政治・社会
2008/08/18

● 南オセチアの軍事衝突は誰にとって利益になるのか? 

  調査ジャーナリスト 桜井晴彦氏

現在の国際情勢を読み解くうえで、最も重要なカギは「軍事/スパイ産業」と「イスラエル」である。ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領に就任して以来、特に2001年9月11日に航空機が世界貿易センターに突入してから、このふたつの要素がアメリカを侵略戦争への道に引きずり込み、国内をファシズム化してきた。

勿論、ブッシュの前任者であるビル・クリントンも決して平和的な大統領ではなかった。偽情報を流してセルビアの悪いイメージを世界にまき散らし、そのうえでNATOを使って先制攻撃、コソボの分離独立を軍事力で実現させている。偽情報と先制攻撃、ブッシュとクリントンは似たようなことを行っているように見える

が、大きな違いがある。その違いを知るために注目すべき存在が人権擁護団体の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」だ。

この人権擁護団体のバックがジョージ・ソロスだということは有名な話。ソロスがスポンサーでも活動内容が本来の趣旨から外れていないのならば問題はないのだが、東ヨーロッパではCIA/多国籍企業の利権と結びついた活動をしていた。

かつて、アメリカの権力者たちは自分たちにとって邪魔な存在を「アカ」というレッテルを張ることで攻撃していたのだが、ロナルド・レーガン政権の時代に方針を変えている。「民主化」や「人権」といった呪文が使われるようになったのだ。その背景には、同政権がはじめた「プロジェクト・デモクラシー」というプロジェクトが
ある。目的は言うまでもなく多国籍企業が金儲けしやすい環境を築くことにあった。

それに対し、イラクへの先制攻撃に関しては、セルビアとは違う動きをソロスは見せている。イラク、そしてイランを破壊することはソロスが属するグループにとって利益にならないと言うことだ。ソロスの仲間とはアメリカの「旧保守」とでも呼べそうなグループで、東部の金融資本や石油資本との結びつきが深い。

イラクを先制攻撃する頃から、旧保守は軍事/スパイ産業や親イスラエル派と対立している。ちなみに、親イスラエル派とはネオコン(新保守)やキリスト教系カルトのシアコン(神保守)を指している。

イラン攻撃でイスラエル政府は反戦/平和勢力だけでなく、アメリカの旧保守とも対立、攻撃を実行することが困難な状況になりつつあった。イラン攻撃をアメリカに妨害される形だ。アメリカの同志、ネオコンの力が弱まり、イスラエル政府は孤立しつつあったと言えるだろう。

ところが、南オセチアをめぐる軍事衝突で再びヒューマン・ライツ・ウォッチが登場していることは興味深い。旧保守と新保守/神保守が同じ側についたことを暗示しているのだ。

今回のケースは事実上、グルジアの先制攻撃から始まっている。グルジアに兵器を提供、軍事訓練を行ってきたのはアメリカとイスラエル。グルジアとロシアとの軍事衝突はアメリカとイスラエルを再び強く結びつけることになる可能性がある。(グルジアとイスラエルやアメリカとの関係は前回のコラムでも触れたので、ここでは割愛する。)

南オセチアでの軍事衝突はイスラエルにとって悪い状況という見方もあるが、そうとは言い切れない。孤立していたイスラエルの軍事強硬派にとって、グルジア軍の動きは自分たちの体勢を立て直すチャンスをくれたように見える。

アメリカの軍需産業にとっても戦争は好ましい出来事である。このところ、アメリカでは軍隊と情報機関の民営化(アウトソーシング)が進んでいて、「軍産複合体」は「軍情産複合体」に変質している。軍隊と軍需産業に情報機関/産業が加わったということ。レーガン時代に発覚した「イラン・コントラ事件」でも「民間CIA」は登場したが、最近は巨大産業に成長しつつある。

戦争で困るのは一般庶民なのだが、意外と庶民は戦争が好きである。勿論、勝ち戦を前提にしてのことだが。





最新の画像もっと見る