「いろは歌」、残念ながら最近は習わなくなってしまって、全部言えるという人は少なくなってしまいました。
「色は匂へと散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせす」という「いろは歌」は、涅槃経の偈に由来すると言われています。「すべてのものは無常。生じては滅びる性質のものである。この生と滅を滅し終わって、生もなく滅もないものを寂滅と言い、これがすなわち、楽、涅、槃なのである」ということを、当時の日本語の音と文字で表したものが「いろは歌」だと言われています。
これは、論理性というより「情緒」の世界観に根ざしたものと言えるでしょう。
これに対して、「五十音図」はいかがでしょう。
こちらは、日本語の母音は五つと決めて、日本語の音はすべて「子音+母音」で成り立っているとし、歯音、舌音、唇音、喉音など音の調音される位置までも考えて作られたものでした。
これを考え出したのは、明覚(一〇五六〜没年不詳)という天台宗の学僧です。
明覚は、比叡山で、唐代の中国語とサンスクリット語を学びますが、加賀山代の温泉寺(現・石川県加賀市山代温泉、薬王院)住職となり、この地で一〇九三年、「五十音図」を完成させるのです。
なぜ、加賀市の山代で? なぜ一一〇〇年よりちょっと前の時代に、こんなものを?
と思わない人はいないでしょう。
それは、山代では、比叡山で習った古い中国語から変化した新しい、「近世語としての中国語」が聴けたことが大きな要因でした。
明覚は、言語は時代とともに変化するという大きな言語学上の発見を、この地でしたのです。
日本語の歴史が分かるように、エポックメイキングな出来事を枡目に埋めました。聞いたことがない人名や書名などもいっぱいだと思いますが、それぞれひとつずつが、我々が今、使う日本語を作って来た証なのです。
年表の中の、「725年 行基、ヤタガラスの導きで山代温泉を発見」、「1093年 明覚『反音作法』(最古の「五十音図」山代温泉で作られる!)」 、「1332~1392年 薬王院石造五輪塔(明覚上人供養塔)建立」が山代温泉に関連したものです。
日本語を勉強したい!と思う人が、まず必要なのが五十音図です。ただ、これまで、五十音図の発音を外国語で表したものはありませんでした。
ここでは、英語、フランス語、韓国語でその発音を表記し、さらに、日本語のカタカナ、平安時代初期まで使われた万葉仮名、そして五十音図ができるために必要不可欠だった梵字も合わせて表記しました。
旅行に来る外国人の人たちにも、ぜひ、「五十音図」というものがあることを知って頂き、さらに日本語の不思議さや奥深さにも触れて頂きたいと思います。
GreeeeNさんの「あいうえおんがく」をBGMに 加賀市加賀温泉郷のプロモーションビデオを作ってみました (*^-^*)
その他、山代温泉では様々な、あいうえおに因んだイベントを行っています。ご紹介すると「謎解き☆あいうえお」、「今年のにほんご」「五十音図と明覚さんを巡る旅」「あいうえお五十音図は明覚さんが映し出したことばの曼荼羅です(単行本の販売)」です。 今後も、インスタ映えするような街中整備や商品開発も予定されています。 色々と悠久の歴史をお楽しみくださいね。
毎月10日は明覚上人の月命日、8月10日は祥月命日です。 明覚上人顕彰会の皆様が、明覚上人を偲んで色々と活動を行っております。(写真は総会時の温泉寺の住職による講話行いました。)