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教育基本法 ~第二条「教育の方針」与党案比較編~(長文)

2006年03月14日 23時53分33秒 | 過去~徒然から~
この記事は昨日のこちらの記事の続きになります。前の記事をご覧になった上で、与党案に関するこちらの記事をお楽しみ下さい。

この教育基本法の記事を始めて以来、着実にきてくださる方が増え、しかもよく行かせていただくかぜさんの所で文中リンクをはっていただいたりと、ものすごく責任を感じつつあります。

…とにかくできる限りがんばります。

前回、与党案と現行教基法の比較を持ち越しました。ということで、比較するためにまず与党案を確認しましょう。
(以下抜粋)

教育は、教育の目的の実現を目指し、以下を目標として行われるものであること。
①心理の探求、豊かな情操と道徳心の涵養、健全な身体の育成
②一人一人の能力の伸長、創造性、自主性と自立性の涵養
③正義と責任、自他・男女の敬愛と協力、公共の精神を重視し、主体的に社会の形成に参画する態度の涵養
④勤労を重んじ、職業との関連を重視
⑤生命を尊び、自然に親しみ、環境を保全し、良き習慣を身に付けること
⑥伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(「大切にし」という案もあるもよう、公明党かな?)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養

…さて、まず最初の一文ですが「以下を目標として」とあります。
与党案はどうやら『目標』を付け足しているようです。
目的と目標、微妙なニュアンスの違いですが、目的を達するためには、「目標」を達成すればよい、ということでしょうか?

与党案の「教育の目的」は『人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成』が目的だったわけで、与党が考える「完成された人格」そして「心身ともに健康な国民」とはこの6つの目標を達成した国民ということになるのでしょう。

で、それぞれの目標に関してですが、道徳心とか愛国心とかは、様々な所で批判されていますので深く触れるのはよします。(勿論反対ですが。)
ただ、⑤『よき習慣』ってなんでしょうか?
こんなあいまいで、単純に法としてもおかしいんじゃないでしょうか?

さらに⑥『国際社会の平和と発展に寄与』なんて言葉もありますが、この文の前部分がいわゆる『愛国心教育』の話になっています。
日本人であることを『しっかり自覚して』世界平和に貢献しようって事でしょうか?

つながりが飛躍していてよくわかりません…。

このように愛国心とか、道徳心といった部分が条文として浮いているのは、現行の教基法と相容れないものになっているということの表れでしょうか?

政府与党も『国民を管理するため』に入れたいのを隠さなければいけないため、その乖離はより大きくなっているように感じます。
まあ、だからこそ現行教基法を『個人主義過ぎる!』なんて批判したがるんでしょうかね。(…あくまで個人的感想ですが。)

…愛国心とかはこの位にして、他の部分に入ります。

まず、この条文には現行教基法に入っていた、
『学問の自由』

…が含まれていません。
憲法にすら書かれているもので、勿論教育に深くかかわるものなのに、全く触れられていないのです!(これは違憲にならないのか?)

…つまり、与党は『自由に学問する国民』を作りたくないようです。
…なのに②『一人一人の能力の伸長』だとか『創造性』『自主性』『自立性』なんて言葉があります。

そして小泉さんは『格差を歓迎する』なんていっていましたよね。それとあわせて考えていくと、やっぱり、
『金持ちさえ学べればいい』

…という状況を作ろうとしているとしか思えません。

一部の個人が自由に創造性や自主性、自立性を身につけ、その能力を伸ばす。
…しかし自由でない学問は『持たざる者』にはものすごく冷たい。

さらに前回述べたように、
『金にならない学問は尊重されない』

…ということにもなるんじゃないでしょうか?

続いて③『主体的に社会の形成に参画する』とありますが、主体的に『どんな社会を形成』するのでしょうか?

以前書きましたが、社会は『国民がいる』から成り立つのです。
『社会がある』から国民がいるのではありません。
社会は『絶対的多数の国民』が『幸せに暮らせる』ためにあるのです。

今の日本は知らぬ間に法が決まっていきます。それは『国民の声』が先ではなく、『社会のルール』先にあって、その枠に『国民が押し込められていく』ことに他ならないと思うのです。

なぜそうルールが決まるのかわかりませんが『ごく一部の誰かがうまい汁を吸うため』に存在するルールを守るため『主体的に社会の形成に参画する』なんて事だとしたら、私は『決して』賛成できません。


…ということで、現行法と与党案の比較でした。
もう少し掘り下げる所もありそうですが、また長文になってきたので、このくらいで終わりにしたいと思います。

少なくとも私は、この第二条『教育の方針』に関して変えるべき点は見つけられないし、与党案を認めることはできません。

さて、皆さんのお考えはいかがでしょうか?