◎本稿は10月15日にほぼ脱稿していた。私の体調不良やあれこれの事情で、ブログに上げることが遅くなった。今からでも活用願えればありがたい。なお、場所が分からない方は、日本地図、沖縄県地図を首っ引きで考えていただきたい。ヤマヒデ
(Ⅰ)はじめに
このRD(レゾリュート・ドラゴン)23は、2021年から3回目だという(実施日:2023年10月14日~31日)。本演習を彼ら(陸上自衛隊幕僚監部)は、こう位置づける。「6 特色 島嶼防衛における陸自の領域横断作戦(CDO)と米海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえた連携要領の具体化を図るために実施する米海兵隊との共同訓練」と。
しかし「島嶼防衛」とは、島々を戦場とするものであり、日本国を守るためですらない。あろうことか、中国を挑発し、軍事紛争を引き起こしたうえで、如何なる戦闘を貫徹したら米国が勝利できるのかを追求する軍事演習だ。米国への貢献なのだ。米国からすれば、極東の外れにある中国と、経済的な利権を争おうというのだから、超軍事大国の米国ですら端から有利とは言えない。余りにも遠い。中国の国土は広大であり、人口も多い。経済力や資源力からして、簡単に勝てる相手ではない。下手をすれば、核戦争を誘発し、両者ともに立ち上がれなくなる可能性も高い。アジア諸国を巻き込みながら、自滅に向かう戦争になりかねない。だからこそ米国は入念な準備と同盟国へのエールを送ることを欠かさないのだ。
米国は、日本国という「米国に忠良なる国家と国民(性)」に長年に亘って目をつけてきた。そして、この国をして、中国と戦わせようと考えてきた。それでも米国を巻き込むリスクは高い。思惑どおりいくかは定かではない。ケーススタディを試みて、日本政府と自衛隊、日本国民にその気にさせていく意味もありそうだ。
私たちはその手に乗り、踊らされるのだろうか? 私は拒否し、共に生き抜く道を探りたい。以下、この共同演習に絞って考える。また各地から、考えていただきたい。
(Ⅱ)昨年の演習、今年の演習
先ず私が注目したいことは、RD23はRD22と何がどれだけ違っているのかいうことだ。同じ実動訓練の22,23の陸上自衛隊のプレスリリースから比較・検討したい。
①演習場所が北から南へ
昨年は、上富良野演習場、然別演習場、矢臼別演習場、静内対空射撃場ほか、全て北海道でやったのだ。今年は北海道もあるが、その殆どを九州、琉球諸島でやるのだ。演習が想定している戦争の現場に一挙に近づいてきた。
②ランクアップした指揮官の意味
演習の「担任官」(総責任者であり演習に評価を下す人)は、昨年は陸上自衛隊の北部方面総監の陸将 沖邑(おきむら)佳彦氏と米国海兵隊第3師団長の少将 ジェイ M バージェロン氏だった。今年は陸自が西部方面隊総監の陸将 山根寿一氏 米軍が第3海兵機動展開部隊司令官の中将 ジェームズ・ウイルソン・ビアマン氏だ。つまり、日本側は、演習場を担当する北部方面総監トップから、今回、「島嶼防衛」作戦を統括する西部方面隊(九州と琉球諸島を管轄)のトップに替わった。格付けは変わらない。一方、米軍は、第3海兵機動展開部隊司令官となった。彼は、第3海兵遠征軍のトップだ。第3海兵遠征軍は、米国が保有する海兵隊傘下の3つの海兵遠征軍のひとつであり、米国本土外に唯一駐留する海兵遠征軍の司令官だ。約19000名を擁する組織だ。第3師団長は約7500名を統率しているが、やはり格が違う。
沖縄の現場近くでやるからこそ、米軍は、格を一つ上げたのだろう。これは米軍の意気込みを示しており、現場近くで、より実戦的にやる為だろう。
③事前に指揮所演習をやった意味
RD21,22と2回繰り返してきた演習。その上に立って、今回実働演習の前に指揮所(机上)演習をやった。23年7月10日~17日のことだ。プレスリリース(23年6月27日付)によれば、「相互連携要領を指揮所演習により演練し、日米の連携強化及び共同対処能力の向上を図る」としており、これまで2回の経験を踏まえ、より実戦を想定し、課題を出し合い、改善点を検討したのだろう。健軍駐屯地、北熊本駐屯地、南那覇駐屯地(那覇病院)、牧港補給地区等(「等」の場所不明)で行なわれた。
「共同調整所」(司令部)となる健軍は、部隊展開の中心となる第8師団司令部があり、同傘下の第42即応機動連隊幹部との協議、煩雑さが避けられない那覇病院、兵站の共同調整所を設置する牧港補給地区などで検討を深めたようだ。私たちは事前検討の詳細を知りたいところだ。
(Ⅲ)参加部隊について
陸上自衛隊は、西部方面総監部(健軍―熊本県)、有事にまっ先に派遣される第8師団(北熊本)、第15旅団(那覇)、西部方面情報隊(健軍)、西部方面特科隊(湯布院―大分県)、第2高射特科団(飯塚―福岡県)、第5施設団(飯塚)、西部方面航空隊(高遊原―たかゆうばる・熊本空港)、西部方面システム通信群(健軍)、西部方面後方支援隊(健軍)、西部方面衛生隊(健軍)、九州補給処(目達原―めたばる、佐賀県)、陸上総体(第1ヘリコプター団―千葉県木更津市)等。海上自衛隊、航空自衛隊が必要に応じて支援(詳細不明)。
◎引用者註:( )は駐屯地名等。
米軍・海兵隊等は、第3海兵機動展開部隊司令部(キャンプ・コートニー うるま市)、第3海兵師団司令部(キャンプ・コートニー)、第4海兵連隊(歩兵―キャンプ・シュワブ 名護市等)、第12海兵連隊(砲兵―キャンプ・ハンセン 金武町等)、第3機動展開部隊情報群(キャンプ・ハンセン)、第1海兵航空団(キャンプ瑞慶覧 北中城村等)、第3海兵兵站群(キャンプ・キンザー 浦添市)、米陸軍・米海軍・米空軍の一部等が参加するようだ。
◎引用者註:( )は基地名等。
こうして両軍の部隊を見ると、日米双方から戦闘部隊、情報、兵站(輸送・衛生を含む)を伴う包括的な機動展開が想定されている。
(Ⅳ)何が行なわれるのか?―演習内容と演習場
①この共同演習の要諦
RD23の共同演習は、近年の米―中・露対立の中で、どうもただの演習ではなさそうだ。プレスリリースの「6 特色」の中で、「島嶼防衛作戦における陸自の領域横断作戦(CDO)と米海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえた連携要領の具体化を図るために実施する米海兵隊との共同訓練」であり、単純な共同演習ではない。安倍政権は、2018年に防衛計画大綱を大改定し、「多次元統合防衛力」を掲げた。これは、宇宙戦・電子戦・サイバー戦を中心に従来の陸海空の統合作戦を超える、後者に前者を追加するのではなく、前者が後者を規定する事を目指したものだ。2022「安保3文書」はこの路線を精緻化し体系化している。
防衛省は、防衛白書に「領域横断作戦に必要な能力の強化における優先事項」を掲げてきた。宇宙領域、サイバー領域、電磁波領域、海空領域、スタンド・オフ防衛能力、統合ミサイル防空能力、機動・展開能力、持続性・強靱性の項目が並んでいる。
今日の陸上自衛隊(軍隊)は、陸海空の統合作戦を超えて、宇宙戦・サイバー戦・電子戦を行使し、一瞬一秒でも速く攻撃し、敵を震撼させ、反撃を遅滞させ、勝ち抜くという多領域(MDO)作戦を米軍と共有している。米軍のEABO作戦(小部隊で攻撃し、移動し、また攻撃を組織的に繰り返す)は、こうした多次元統合作戦なしに、勝ち抜けないと考えているのだ。今正にハイテク戦争、AIを駆使した演習が琉球諸島で行なわれていることに、私は注目している。
なお、極めてわかりにくい表現で申し訳ないが、ここが日米両軍の極秘部分であるからだ。
➁演習場の位置と概要
今回の演習は、「西方」として九州6カ所と沖縄14カ所、「北方」として北海道の2カ所で行なわれる。熊本県熊本市の健軍駐屯地に西部方面隊の総監部があり、ここが「日米共同調整所」(司令部)となる。高遊原分屯地(熊本空港)は日米両軍の航空機の拠点となる。
九州のその他の演習場(日出生台、十文字原―以上大分県、霧島―宮崎県、瀬戸内分屯地―鹿児島県 奄美大島―警備隊と対艦ミサイル部隊が駐屯)と、北海道の演習場(矢臼別―日本最大の演習場、計根別着陸場)は、沖縄に大きな(榴弾砲などを発射できる)演習場がないから、代替地でやるのだ。沖縄・琉球諸島を戦場にする演習だということを私たちは、片時も忘れてはなるまい。
③各地の演習概要
◎健軍駐屯地:日米共同調整所を開設し指揮機関訓練を実施。陸自は約1000名(西部方面総監部等)、米軍は約210名(第3海兵機動展開部隊司令部等)。一連の想定作戦を行ない、様々な現場と連絡を取りあい、多次元統合作戦を遂行するのだろう。戦争は味方と敵の相互の殲滅と支配を巡るものであり、多次元統合作戦を遂行することは、限りない想定が必要になるはずだ。
◎高遊原分屯地:ここから日出生台演習場、十文字原演習場、霧島演習場等に陸自ヘリ、米軍オスプレイを飛ばす離発着拠点だ。西部方面航空隊と第1ヘリコプター団のCH―47、AH―64対地攻撃ヘリ、UH―1、UH-60各種ヘリと陸自オスプレイの運航。米軍は第1航空団(普天間基地)のオスプレイが飛ぶ。
他に、米海軍・米陸軍も参加するようであり、他の機種もここを使うだろう。
(註)健軍駐屯地で示した人数は以上2カ所の合計値。
◎日出生台演習場:ここに現地攻撃拠点を想定しているようであり、日米調整所の設置、指揮機関訓練、対着上陸戦闘訓練、対艦・対空戦闘訓練、オスプレイや大型ヘリも用いた共同戦闘射撃訓練、共同兵站・衛生(救護)訓練等が行なわれる。
最前線での攻撃が行なわれ、陸自約1300名が投入される。歩兵のみならず、155ミリ榴弾砲などを扱う西部方面特科隊も参加する。米軍は海兵隊、空軍、陸軍から約1020名が投入される。第3海兵師団と第353特殊作戦航空団(嘉手納基地)が参加とあり、CV―22空軍仕様のオスプレイを使うとある。MC―130特殊作戦機を使わないのだろうか。また、陸軍のマルチドメイン・タスクフォース(多次元統合作戦任務部隊)が米国本土から投入される。宇宙戦、サイバー戦、電子戦を如何に取り込み、それを全部隊に如何に還元していくのだろうか。彼らは、「新たな戦争の時代」を切り開くつもりなのだ。
◎十文字原演習場:日米共同の航空機の燃料補給、整備等を含む共同兵站訓練を行なう。日米双方から約50名が参加する。
◎霧島演習場:日米共同の対着上陸戦闘訓練、共同兵站(戦闘に必要な物資の補給・管理等)・衛生(救護)訓練、オスプレイ、陸自CH-47ヘリによる前線への兵隊・武器等の輸送も行なう。陸自約200名、米国海兵隊、空軍から約120名。MV・CV―22オスプレイが使われる。
◎矢臼別演習場:陸自約100名の西部方面特科隊が19式装輪自走155ミリ榴弾砲、155ミリ榴弾砲、多連装ロケットシステム。米国海兵隊と米国陸軍はそれぞれがハイマース(高機動ロケット砲システム)を展開し射撃する。矢臼別という大規模演習場ならではの訓練だが、実戦となれば、防衛であれ、奪回であれ、人が住む島に撃ち込まれるのだ。民間人を巻き込まない島々を巡る戦争はありえない。
◎計根別着陸場:ここは矢臼別で使うハイマースをC―130輸送機から運ぶ航空拠点。ハイマースはトラックに搭載されており、自走で移動。
米軍の島々で行なうEABO作戦は、こうした展開を組み込んでおり、民間飛行場も米軍の輸送機とハイマース等に席巻され、戦禍に見舞われることは必至だ。
◎瀬戸内分屯地(奄美大島):ここは対艦ミサイル部隊が駐屯しているが、ここで共同兵站訓練を行なうことは意味深だ。陸自約50名、海兵隊約20名が参加。手順はこうだ。大分分屯地から補給品(武器弾薬・燃料・食料・水等)を大分港に運び、ホワイトビーチ(勝連半島)・天願桟橋(2カ所ともうるま市)に船(民間船舶)で運び、嘉手納飛行場に陸路で運び、ヘリ等で瀬戸内分屯地に運ぶのだ。奄美大島だと、九州から逆戻りの感があるが、実際は与那国島、石垣島、宮古島等に運ぶことになるだろう。「等」を付したのは、米日両軍の展開によって、その他の島もEABO作戦の軍事拠点に使われる可能性があるからだ。
◎那覇駐屯地:那覇駐屯地は陸自第15旅団の司令部がある。ここに日米共同調整所を開設し、指揮機関訓練を実施する。前線司令部だ。琉球諸島(周辺)での軍事作戦の指揮を執る。陸自第15旅団等から約100名と海兵隊第3海兵師団等の約50名。情報群や通信群そして電子戦部隊なども陰に陽に担当するはずだ。
◎南那覇駐屯地(那覇病院)、那覇基地:陸自は西部方面航空隊、同衛生隊、那覇病院(自衛隊病院)から約50名、海兵隊から第3海兵兵站群が約50名だ。各戦場から運び込まれてくる兵隊を那覇飛行場まで自衛隊ヘリが送り込み、それを那覇病院等で治療するようだ。実際の戦時となれば、ここからさらに九州や本州の病院に後送されるだろう。自衛隊病院以外の医療機関に搬送されることもあるだろう。
◎ホワイトビーチ地区:瀬戸内分屯地の項で触れた通り、大分港から海上輸送(民間船)した物をホワイトビーチで受け取り、それを嘉手納基地に陸送する共同兵站訓練だ。陸自約50名(西部方面支援隊、九州補給処)、海兵隊約100名(第3海兵兵站群)。
◎嘉手納弾薬庫と嘉手納飛行場:最前線を想定している日出生台演習場に日米部隊の兵隊・補給品をヘリで輸送。ホワイトビーチから陸送した陸自補給品を嘉手納飛行場・嘉手納弾薬庫地区へ。嘉手納弾薬庫に、陸自車両の駐車場、作業場、宿営場所として使用。陸自約50名(西部方面後方支援隊、西部方面航空隊等)、米国海兵隊約50名(第3海兵兵站群、第1海兵航空団―普天間基地)。
もしも琉球諸島を巡る戦争が起きてしまったら、嘉手納は真っ先に攻撃され使用不可になるだろう。そのとき、彼らは「中継・兵站拠点」をどこに考えているのだろうか。海と陸と空を繋ぐ場所だ。那覇飛行場か中城湾港あるいは伊江島だろう。辺野古・大浦湾に新たな飛行場ができれば、そこもありうる。
◎那覇港湾施設:那覇港湾施設は、兵站の中間拠点。陸自のコンテナを輸送・集積し、同地で補給品を爾後の輸送先別に再梱包して、牧港補給地区等に輸送する共同兵站訓練だ。目達原駐屯地から鹿児島新港~那覇港―那覇港湾施設へと輸送。陸自約50名(西部方面後方支援隊、九州補給処等)。米国海兵隊約50名(第3海兵兵站群等)。
◎牧港補給地区:日米の兵站・衛生に関わる共同調整所を設置し、指揮機関訓練及び那覇港湾施設(那覇軍港)に輸送・集積した陸自コンテナを日米の大型車両により牧港補給地区に輸送・集積する等の共同兵站訓練を実施する。陸自約100名(西部方面総監部、西部方面後方支援隊、西部方面衛生隊、九州補給処等)。海兵隊約50名(第3海兵兵站群等)
◎キャンプ・コートニーとキャンプ・瑞慶覧:沖縄の海兵隊の最上位の司令部がある基地警備訓練を日米両軍が担う。前者に第3海兵遠征軍等の司令部、後者に米海兵隊太平洋基地司令部がある。陸自は約200名(第51普通科連隊等―那覇駐屯地)。米海兵隊約150名(米太平洋海兵隊基地所属部隊―自隊からだろう)。
◎石垣駐屯地:石垣島では日米共同調整所を駐屯地内に設置し、「島嶼防衛」や患者後送のための机上訓練、米海兵隊の対空警戒レーダーによる警戒・監視訓練及び日米の救護所を開設した共同衛生訓練等を実施する。患者後送のために陸自オスプレイ等が新石垣空港を利用して行なう。つまり陸自の救急車が駐屯地からサイレンを鳴らして新石垣空港に走るだろうか。陸自約40名(西部方面航空隊、第1ヘリコプター団―CH-47大型ヘリ、石垣駐屯地業務隊)。米軍は約80名(第3海兵機動展開部隊、第3海兵兵站群、第1海兵航空団、マルチドメイン・タスク・フォース)。
最前線の共同調整所に西部方面総監部が入らないのは、理屈が立たない。同駐屯地は対艦ミサイルや対空ミサイルの軍事拠点だ。しかし、共同調整所はそれに留まらない統括的な任務をこなすはずだ。陸自側にそこを担任する者が居ないとなれば、「共同」とは言えまい。米軍のやりたい放題がまかり通るだろう(いたとしても、50歩100歩だろうが)。最前線だからこそ、マルチドメイン・タスク・フォースが入ってくるのだろう。不気味だ。マルチドメイン作戦は、音もなく始まる。
◎与那国駐屯地:ここも最前線となり、日米共同調整所を開設し、「島嶼防衛」や「国民保護」のための机上訓練を行なう。両軍は机上訓練で何を詰めるのか。陸自CH-47ヘリで同駐屯地への兵隊・物資の輸送訓練を行なう。陸自約50名(西部方面総監部等)、米国海兵隊約50名(第3海兵機動展開部隊、第3海兵兵站群)。
◎久米島分屯基地:米海兵隊がマリン・レーダーを展開し、対艦戦闘訓練と連接した対海上警戒・監視を実施。海兵隊約20名(第3海兵機動展開部隊情報群)。この久米島分屯基地は航空自衛隊第54警戒隊が駐屯しているレーダー基地だ。また米空軍第18航空団(嘉手納基地)も随時使用している。
◎出砂島射爆撃場:渡名喜島に近い射爆撃場で、日米共同による統合火力の誘導訓練を実施する。日米の火力誘導員が米国海兵隊F-35B戦闘機(岩国基地)やAH-1対地攻撃ヘリ(普天間基地)を誘導(指示)し、空対地爆撃・射撃の攻撃目標の正確さを期す。火力誘導は、一般的には敵地に潜入し、ターゲットを定め誘導するものだが、「島嶼防衛」に於いては、ミサイル攻撃等を受け、残存した陸自隊員が、奪還作戦において、火力誘導にあたることもありそうだ。
(ⅴ)まとめ
私の以上の整理は、2つのプレスリリースと日米合同委員会(23年9月14日)報告、そして防衛省が関係自治体に提出した資料(23年9月20日付)に基づいて行なった。「新たな戦争」の態様が隠されており、また現実と仮定が交錯しているために、戸惑った。しかし島々を戦場にすることがより明らかになった。島々を蹂躙し、殺戮と飢え、対立を深め、差別を増幅する戦争と、リアルな戦争を準備する演習に私たちは反対していこう。沖縄・琉球諸島を戦場にされては、たまったものじゃない。