「ふるさとは遠きにありて思ふもの」
この一節で知られる詩人、室井犀星が詞をつくった湯沢町立
湯沢小学校の校歌が来春、60年間歌い継がれた伝統に幕を下ろす。
小学校校長も「子どもたちは室井犀星の名を知らなくても、『昔、偉い人が校歌を作った』ということを知っている。卒業後に犀星の詞を読み始める子も少なくない」と話す。
作曲は第24回上半期の芥川賞者 由起しげ子である。
湯沢小学校校歌(原稿)
きたぐにのよきゆざわに、めぐりくる、けふというあたらしき日よ、
けふよ、けふこそ學ばめ、かがやけるけふをとらへよ。
天つ雪のみねみね、根雪むすぶ、ゆざわはゆきのみやこ、
ゆざわよ、まなびの旗かかげ、いさましえたごえあげつ。
湯沢町立湯沢小学校校歌
作詞 室井犀星 作曲 由起しげ子 制定 昭和28年10月22日
北国のよき湯沢に、めぐりくる きょうという新しき日よ、
きょうよ きょうこそ学ばめ、かがやける きょうをとらえよ、
天つ雪の峰々<,根雪むすぶ 湯沢は雪のみやこ、湯沢よ
学びの旗かかげ、いさまし うたごえあげつ
拝けい 室井犀星→南雲校長
校歌のこと承知しました。八月はじめころまでに作る
予定ですからよろしく、さういふことにはしらうとですから、
うまく書ければよいと思ひます。ここから近いのですが、
健康これをゆるさず、残念ながら右まで。7月7日 室井犀星
昭和28年7月16日 由起しげ子→南雲校長
南雲先生
御手紙有り難う存じました。お返事がおくれましてどうぞおゆるし下さいませ。私、原稿も何もほうり出して、お返事を四度も書きました。、しかし、あまり書きすぎになるので中止して、けっきょくこんなになってしまいました。
私もおめにかかれましたことが大変うれしかったのでした。
私は小学校の教育のことをあんまり思ひつめていましたので、何かしら集中的にあれもこれもと書かうとしてしまったのでございます。でも、御手紙ではよく出来ませんので、こんどおめにかかれましたときに申し上げます。そのうち湯沢へお訪ね致します。
湯沢、ほんとうに好きでした。
では、また御めにかからせて頂きましたときに、お返事があまりおくれますので、これで失礼申し上げます。
作曲は作詞がお出来になりましたら出来ると存じます。
詞がないと、私の方でもうかばかないのでございます。まずは御挨拶まで。
十六日朝 由起しげ子