金持ち日記

金持ちなるまで続く男の日記

アウトサイダー

2008年04月21日 09時00分36秒 | Weblog
 金持ちはアウトサイダーに注目する。

 城繁幸氏の『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか アウトサイダーの時代』を読んだ。所々反論したくなる箇所もあったが、「価値観が多様化した現在、レールから外れることを恐れるな」との主張には大賛成であった。

 先日、友人と二人で飲みに行った。彼もアウトサイダーと呼べる人物であろう。大学2年生の頃に始めたバーのアルバイトにハマリ、大学には来なくなった。4年生になり、危機を感じたのかアルバイトを辞やめ授業に行くことにしたという。そんな彼が日本酒を片手に、尋ねてきた。

友人「自分の人生について悩んだことある?」

私「・・・・・そりゃ、たまにはあるよ」

友人「・・・・・・・・俺は、今がその時なんだよね」

 声のトーンからおそらく相当悩んでいるように思えた。そういえば、この本の筆者がバーに行った際の出来事がおもしろかったので、一部抜粋しよう。

 ・・・時計の針が零時を回ると、店内の客も、一人二人と家路につく。2時を過ぎた頃には、いつの間にかマスターと二人きりになっていた。
「最後に何か、おススメのシングルモルトを頼むよ」
 ボトルの棚の奥から引っ張り出すついでに、彼はスコッチの話をしてくれた。スコッチは蒸留所のポットスティル(蒸留釜)の中で生まれた後、様々な種類の樽、色々な場所で熟成されることで、千差万別の味わいを見せる。たとえばアイラモルトなら、厳しい潮風にさらされる海辺で年を経るうち、スモーキーなピート香をその身にまとうことになる。その後はバーボンやジェリーなど、風合いの異なる樽に詰め替えられることで、個性を出していくわけだ。
「この仕事をしていると、いろいろな人に出会いますよ」
ラフロイグ15年を注ぎながら、彼は言う。
「そういう意味では、スコッチに似ているかもしれない。回り道や畑違いの経験を積み重ねることで、後から風味がでる、そん気がします」
 ずっとボトルの中だけで過ごしていては、何年経っても味なんて出るわけがない。もし、人生において自分だけの風味を出したいのであれば、大切なのは潮風にあたることだ。・・・。


 彼のアルバイトした期間はきれいなボトルで過ごした時間ではなかった。見た目は薄汚い樽の中だったのかもしれない。ただ、決して無駄な時間ではなかったはずだ。アルバイトが終わる夜中の3時に私を電話で起こし、その日の出来事を目を輝かせながら話したり、誰よりも早く出勤し、一人でシェイカーを振る日々。そして何よりバーで知りえたお客様や働く仲間から得たものは何事にも変えがたいものではないだろうか。

 私が彼に対して思うのは「レールから外れ、潮風に当たった日々を後悔して欲しくない」ということだ。人生80年勝負。潮風に当たってきたこの月日が、将来彼だけにしかない味を作り出してくのだと信じている。

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