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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「グラン・トリノ」-またやってくれた!イースト・ウッド

2009-04-26 14:18:36 | 最近見た映画
 【2009年4月26日】 MOVIX京都

 イースト・ウッド扮するウォルトは、フォードに勤めていた元組立工で最愛の妻を亡くし、長い余生をいかに送るか考える間もなく教会での葬儀に臨む。息子夫婦や孫も集うが、故人を偲ぶより先に孫たちの非常識とそれを見過ごす親に神経を逆なでされる。

 ウォルトは平均的なアメリカの庶民だろうか。経済的には中の上の世間並みと言うところか。
 かつてのアメリカの花形だった自動車産業ビッグ・スリーの1つ、フォードの工場で働いて家族を経済的に支えてきた自負と、外からのいざという危機に対しては、銃を持ち警察に頼ることなく自らの力で家族を守ってきたという誇りがある。しかし今は妻に先立たれ、息子たちとも意思の疎通もうまくとれない。

 葬儀のあと教会の牧師が訪ねてきて「妻の遺言だから、懺悔をせよ。」と迫られるが取り合おうともしない。
 普段、教会には通わし、神など信じるようにも思えない言動や、孫たちの「非常識な」言動・身なりに対するいらだちや、息子らとの確執は、年寄りの頑固さを考慮しても、アメリカ標準に比べても、多少並外れか。

 近隣の様子もすっかり変わってしまった。昔の隣人は引っ越してしまい、あとに越してきたのはワケのわからない東洋人である。

 今は、愛犬とかつての栄光の形見である車と暮らしているが、そのつき合いにくい隣人との交わりが物語をふくらませていく。

「グラン・トリノ」って何だろうと思ったら、車の名前だった。

 もうひとつ、ウォルトには、自分の行動を方向付ける決定的な罪悪感があった。朝鮮戦争で自らの手で何人もの人を殺した記憶である。

 隣人と自分に襲いかかろうとしている恐怖に、銃社会でいかに「社会の敵」から身を守るか。暴力の連鎖しかないのかとおもってしまう。

 最後の結末が、1つの回答である。


        
      「グラン・トリノ」-オフィシャル・サイト

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