さて、いよいよレビュー本編。「世紀の問題作」の最期はどう幕が引かれたのか。
……問題作の名に恥じない幕引きであった。
評価は5段階で最高は5、最低は1でつけている。
前巻のレビューはこちら。
今回のレビューの予告編はこちら。
9月4日追記
著者のブログ、Sideway-Shuffleの新刊「TATTOO BLADE 2」発売という記事にトラックバックを送らせてもらったのだが、削除されてしまったようだ。もう一つの書評のトラックバックは残されているので、否定的な書評は受け付けないということなのだろうか。
そういう管理方針であるならばとやかく言う事ではないのだが、プロの作家としての看板を掲げて実名で運営しておられる以上、批判的な評がくることも当然想定内の事だと思う。肯定的なトラックバックだけ残して、批判的なものは削除するというのはあまりに度量の狭い行動ではないだろうか。
まあ、ブログのメインの話題はウォーゲームのようだから、本業のことであれこれ言われるのは煩わしいのかもしれないが。
※設定変更とリンクという記事で「基本的にリンクフリー」と明記しておられるので、無断でリンクを張らせて頂いてます。
物語:1
続編である。当然、前巻からの敵である、魔群との戦いがメインに据えられる。がしかし。
これがちっとも面白くないのだ。相変わらず筋立てはどこかで見たような陳腐なものだし、主人公サイドは常に受け身で敵に振り回されるだけ、相変わらず伏線を張るばかりで一向に掘り下げられない過去の因縁。
そして、最悪なのが全ての物語を放り投げて未完のまま終わっているということ。まるっきり打ち切り少年漫画のパターンなのだ。
結局文庫本2冊を費やして、主人公がヒロインとくっついただけ。しかも元々両思いで障害もない。そんな話のどこを面白がれというのだろうか。
「最終巻」という表記が見られるのは帯だけなので、そもそもは続巻があるつもりで書かれたのかもしれないが、そうだとしたら編集者の責任であろう。
文句なく評価は1。
キャラクター:1
基本的にメインのキャラクターは前巻から引き継ぎ。主人公のライバル(を意図したと思われる)キャラクター、「ゼット・ハンニバル」という少年が新登場している。
この作品のキャラクター全般に言える事は、「頭が悪い」ということだ。登場キャラクターのほとんどは軍人だったり特殊機関の工作員だったりする(この点もあんまりだとは思うがこのジャンルの小説にはありがちなので置いておく)のだが、どいつもこいつもプロには見えない頭の悪い行動ばかり。
なんで命がけで取り返してきたヒロインに護衛もつけないでまたあっさりさらわれるのだ。あまりにも話の都合を優先させすぎていないか。
話の都合のためだけに存在するキャラクターがいいキャラクターになる事はまれだろう。
新キャラクター「ゼット」も魅力的とは言い難い。主人公への対抗心や過去の因縁が垣間見えてはいるのだが、やはり掘り下げられる事がないため、結局中途半端なキャラで終わってしまっている。
主人公に至っては、ほとんど状況に振り回されていただけ。内面や人間性が語られる事はほとんどなかった。
評価1。
舞台設定:1
前回も触れたとおり、舞台は2020年。前巻では特にオーバーテクノロジーを感じさせるものは出てこなかったのだが、今回は目白押しである。核融合推進船だの、マイクロマシン兵器だの、たった15年後のことだとは思えない。フィクションであるから何でもありではあるのだが、これも前巻でこの手のものが出てこなかったことを考えると、敵のメッサーシュミットと対比させるために出してきたのではないかと疑いたくなる。
あまりにも説得力に欠けるものだった。評価1。
文章力:1
地の文が絶対に二行にまたがらない文体は健在。ここまで徹底されると、意識的にやっているのだと思うが、理由がわからない。明らかに段落を変える必要のない箇所でも、徹底的に一文で改行。まるでチャットのログを読んでいるようだ。
しかも、前述の通り、話を広げるだけ広げて、何一つ解決できていない。前巻から向上しているとも思えない。評価1。
装丁:2
前巻同様。標準的な装丁である。人間の描き方をはじめとする画力に問題がある点も同様。少年は少年らしく。老人は老人らしく。まずそれが出来ていなければ、プロの仕事とは言い難いのではないだろうか。評価2。
価格:1
今回は355ページ、本体価格660円。高いとしか言い様がないだろう。まして内容が伴っていないのだから。前回も書いたが、まともに段落分けをして詰めて書けば、半分のページ数で収まる。評価1。
総評
今回は、二巻目で読む側に慣れがあるためか、前巻ほどの破壊力はなかったように思う。しかし、決して内容が向上しているわけではない。プロの水準に達している作品とは思えない。このレビューを読んで興味を持った方、是非身銭を切って読んで頂きたい。そうでないと、この憤りは伝わらないであろう。
とはいえ、前巻を読んだあと、違う作者のライトノベルを二作ほど読んで、そもそもアベレージの低いジャンルだと言う事を思い知ってしまったのだが、いくら読み手が小・中学生中心とはいえ、こんなレベルの作品が罷り通っては、この業界に未来はない。
……問題作の名に恥じない幕引きであった。
評価は5段階で最高は5、最低は1でつけている。
前巻のレビューはこちら。
今回のレビューの予告編はこちら。
9月4日追記
著者のブログ、Sideway-Shuffleの新刊「TATTOO BLADE 2」発売という記事にトラックバックを送らせてもらったのだが、削除されてしまったようだ。もう一つの書評のトラックバックは残されているので、否定的な書評は受け付けないということなのだろうか。
そういう管理方針であるならばとやかく言う事ではないのだが、プロの作家としての看板を掲げて実名で運営しておられる以上、批判的な評がくることも当然想定内の事だと思う。肯定的なトラックバックだけ残して、批判的なものは削除するというのはあまりに度量の狭い行動ではないだろうか。
まあ、ブログのメインの話題はウォーゲームのようだから、本業のことであれこれ言われるのは煩わしいのかもしれないが。
※設定変更とリンクという記事で「基本的にリンクフリー」と明記しておられるので、無断でリンクを張らせて頂いてます。
物語:1
続編である。当然、前巻からの敵である、魔群との戦いがメインに据えられる。がしかし。
これがちっとも面白くないのだ。相変わらず筋立てはどこかで見たような陳腐なものだし、主人公サイドは常に受け身で敵に振り回されるだけ、相変わらず伏線を張るばかりで一向に掘り下げられない過去の因縁。
そして、最悪なのが全ての物語を放り投げて未完のまま終わっているということ。まるっきり打ち切り少年漫画のパターンなのだ。
結局文庫本2冊を費やして、主人公がヒロインとくっついただけ。しかも元々両思いで障害もない。そんな話のどこを面白がれというのだろうか。
「最終巻」という表記が見られるのは帯だけなので、そもそもは続巻があるつもりで書かれたのかもしれないが、そうだとしたら編集者の責任であろう。
文句なく評価は1。
キャラクター:1
基本的にメインのキャラクターは前巻から引き継ぎ。主人公のライバル(を意図したと思われる)キャラクター、「ゼット・ハンニバル」という少年が新登場している。
この作品のキャラクター全般に言える事は、「頭が悪い」ということだ。登場キャラクターのほとんどは軍人だったり特殊機関の工作員だったりする(この点もあんまりだとは思うがこのジャンルの小説にはありがちなので置いておく)のだが、どいつもこいつもプロには見えない頭の悪い行動ばかり。
なんで命がけで取り返してきたヒロインに護衛もつけないでまたあっさりさらわれるのだ。あまりにも話の都合を優先させすぎていないか。
話の都合のためだけに存在するキャラクターがいいキャラクターになる事はまれだろう。
新キャラクター「ゼット」も魅力的とは言い難い。主人公への対抗心や過去の因縁が垣間見えてはいるのだが、やはり掘り下げられる事がないため、結局中途半端なキャラで終わってしまっている。
主人公に至っては、ほとんど状況に振り回されていただけ。内面や人間性が語られる事はほとんどなかった。
評価1。
舞台設定:1
前回も触れたとおり、舞台は2020年。前巻では特にオーバーテクノロジーを感じさせるものは出てこなかったのだが、今回は目白押しである。核融合推進船だの、マイクロマシン兵器だの、たった15年後のことだとは思えない。フィクションであるから何でもありではあるのだが、これも前巻でこの手のものが出てこなかったことを考えると、敵のメッサーシュミットと対比させるために出してきたのではないかと疑いたくなる。
あまりにも説得力に欠けるものだった。評価1。
文章力:1
地の文が絶対に二行にまたがらない文体は健在。ここまで徹底されると、意識的にやっているのだと思うが、理由がわからない。明らかに段落を変える必要のない箇所でも、徹底的に一文で改行。まるでチャットのログを読んでいるようだ。
しかも、前述の通り、話を広げるだけ広げて、何一つ解決できていない。前巻から向上しているとも思えない。評価1。
装丁:2
前巻同様。標準的な装丁である。人間の描き方をはじめとする画力に問題がある点も同様。少年は少年らしく。老人は老人らしく。まずそれが出来ていなければ、プロの仕事とは言い難いのではないだろうか。評価2。
価格:1
今回は355ページ、本体価格660円。高いとしか言い様がないだろう。まして内容が伴っていないのだから。前回も書いたが、まともに段落分けをして詰めて書けば、半分のページ数で収まる。評価1。
総評
今回は、二巻目で読む側に慣れがあるためか、前巻ほどの破壊力はなかったように思う。しかし、決して内容が向上しているわけではない。プロの水準に達している作品とは思えない。このレビューを読んで興味を持った方、是非身銭を切って読んで頂きたい。そうでないと、この憤りは伝わらないであろう。
とはいえ、前巻を読んだあと、違う作者のライトノベルを二作ほど読んで、そもそもアベレージの低いジャンルだと言う事を思い知ってしまったのだが、いくら読み手が小・中学生中心とはいえ、こんなレベルの作品が罷り通っては、この業界に未来はない。
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