鉄肝(tekkan)

お酒はよく噛んで呑みましょう

宇刈・吉岡隧道(仮称) その参

2008-08-02 23:59:30 | 道楽
宇刈・吉岡隧道(仮称)宇刈・吉岡隧道(仮称) その弐と続きました御話の、最終回で御座います。

ホントはね、四回に分けようと話の筋を練っていたのね、
そーしたらね、四回目が、尻窄みになっちゃう事が分かったのね、
三回目のね“山”を、割るのは、忍びなかったのね、
だからね、長文になっちゃったけど読んでね ぺこり


大好きな素掘の隧道を観察し大喜びな鉄肝。
しかし、以前に通った時にも写真こそ撮らなかったものの、徐行スピードで観察した筈、
なのに憶えていない・・・その理由が、次の隧道だと彼は知る・・いや思い出す事となる。

非常に複雑な地形の山である。

ギャザーの多く寄せられた舞踏会衣装のスカートの様に、多くの谷が存在する。
恐らく普通の山道を通し維持するには、相当な困難を要するだろうし、山道からの滑落など、
事故も容易く起きるだろう。必然として隧道を掘らざるえなかったのでは、ないだろうか。

二番隧道を堪能し、三番隧道へと向かう。



隧道とは違う多くの穴が見える、恐らく防空壕の跡だと思われる。
コウモリ避けか、子供が入る事を防ぐ為か、グリーンのネットが張ってある、
命の危険が直ぐ身近に存在した、私の知らない時代。恐怖が通り過ぎるのを、
ココでじっと我慢されていた方々は、今幸せだろうか。

その防空壕跡と思われる穴を、通り過ぎると・・・



“あの”三番隧道が現れるのだ。





大好きな三角形、見た感じでは二番隧道よりも長い。
嬉々として進入した、二番隧道もそうだったが、壁面を見ると内部の土質の変化が見える、
変化して間もなく、あと出口まで数メートルだった時、それは唐突にやって来た!

ニュュュュュュュッ!!

前輪が滑る!本能的に地面を蹴って立て直そうとする、靴底が滑る!!
加重の掛かり方が変わり、後輪のスライドの切っ掛けを作る、

フイイイイイィィィィィィィィィィ!!

前後輪、右足、全てが滑る。まったく接地感が無い!!

表面が融けたアイスバーンの上は、きっと、神に祈る人が最も多く発生する場所では無いだろうか。
まさに同じくらいの潤滑具合、狭い素掘隧道の中、単車が斜めに進む、そう、壁面に向かって。

「思い出した!あの日と同じだっ!!」



Goose350と私、そして慣らしも終わっていないヤマハのピカピカの新車に乗った友達は、
少し興奮していた。何気なく走っていたら、森が口を開けていて、入って行くと
外界とは違った雰囲気、そして素掘隧道の連続。

何往復か、隧道に遊んで貰い、最初に入った吉岡地区側に出てヘルメットを脱いだ
「凄いな」「驚いた!こんな場所が有ったんだな」「向こうから(宇刈側)から二番目の隧道な・・」
「何だ?」「リアタイヤが一瞬、持って行かれた」「向こうからだとカーブしながら進入だからな」
「もう一回、注意してアッチに抜けて、次へ行こう」「はいよー」

私が先導し最後の進入を行う、一番、二番隧道を噛み締めるように徐行スピードで抜け、
宇刈側から二番目、吉岡側から三番目の隧道の真ん中あたり!!

シュパッ!!

フロントタイヤが突然スライド!「チッ!」前輪加重を抜き地面を蹴る!!

ツウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

「蹴りが効かない!!」まったく前輪の向いている方向とは、違う向きに進んで行く、
更には、後輪がそのスライドに加わった。まったくコントロールを失ったまま、出口へと進んで行く。
必死で単車と自分のバランスだけを維持していた私の目に、バックミラーの中で、
ほとんど私と同じ状況になって、斜め横向きな単車に乗った友人が、真っ直ぐ私を追うように進んで来た。



「あの時は出口、しかし今は左壁面へ向かっている!!」

ステップの左足の内側を単車に密着、滑っている前輪と右足で直立を維持、クラッチとアクセルで、
前輪よりも後輪が先に壁面へ到達するように滑らせる、「よし、いけた!!」
壁面と路面の角に後輪が当たる、アクセルを「ジワッ」っと開け半クラで機嫌を伺う。

ズリュッ!!ズリュゥゥゥゥゥゥゥ!!!

後輪が効いた!後は前輪がグリップする所まで、持ち応えれば!!
出来損ないのハングオンみたいな格好で、無事危機を脱したのであります。



落ち着きを取り戻し、三番隧道を観察する。歩いて立ち入るのも危険なくらいにスリッピー、
壁面には掘削痕以外のキズが見える、路面が常習的に悪戯するらしい。


最後の四番隧道へと向かう、少しだけ緊張して(顔は笑ってるんだけど)。



注意して入ったのだが、呆気なく通過出来た。
四番隧道は四本の中でも優等生かもしれない、綺麗なアーチで路面も安定している。



隧道の存在を教える標識が宇刈側で出迎えてくれた。


宇刈・吉岡隧道、御世話になりましたヽ(´ー`)ノありがとうございました。

振り返ると隧道へ続く道は、その使用率を語っているようだった。

北に県81、南に県271、擦れ違い不可能な峡路・隧道を通ろうなんて人は少ないと思います。

宇刈も良い処です、道なりに進み川沿いに左折、橋を渡ってさらに進むと県271との交差点に出ます、
信号が凄く新鮮!!

交差点を曲がる事無く真っ直ぐ進む、友人の慣らし運転を掛川・袋井にした理由、
ヤマハの袋井テストコースの近くで、おにぎりを食べたのを憶えてる、レーシング音がオカズだったけ・・・。
不意にスライド、まったくコントロール出来ない、後ろから同じようにコントロールを失った友人が、
買ったばかりの新車で追突の危機・・・
驚いて、ビビッてすっかり前後の記憶が飛んだのだ、落ち着きを取り戻してからの記憶が繋がったらしい、
それが記憶喪失?の正体だったのだ。

「あいつにTELしてみよう、ブログ読めって言おう 憶えてるかな?」

同じ道で帰ろう、あの日の私達に先導して貰いながら。





長文に御付き合い頂、有難う御座いました(´ー`)ノ
てなワケで滑ります、軽自動車一台の幅です、優等生の四番隧道だって
何時、悪戯っ子になるか分かりません。
友人も私もモトクロスやエンデューロでバリバリ走ってた頃で、一番体が動いた時期、
その上に運が良かった、ロードモデルで二人とも無傷だったのは、幸運以外の何物でもなかったんです。
ですからロード、大排気量車、軽以外の乗用車で立ち入るのは“危ない”って、書かせて下さい。

そんなこんなで、大団円・・なんですが・・困ったな(;´Д`)見なくても良いのに、見ちゃったんだな。
でもアレを確かめるには、滑落に備えてロープと滑車、谷底で単車をある程度バラして上に上げ、
また組み上げる工具を装備に入れないと・・・先ずはリサーチか・・・

なにやら鉄肝の中の虫が騒いでいるようですが、それは又の機会に。ではでは(´ー`)ノ