整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

フタ付き回収パレット

2017-12-20 10:28:49 | 効率アップ
ウエステックの整列機で、前回と前々回、
平べったい部品を引っ繰り返す時のために、
昇降式回収パレットと、エア吹き式回収パレットを
使うという話をしました。

今度は逆に、投入した部品が引っ繰り返らないように、
フタをしてしまおう、という方法を紹介します。

何故フタをする必要があるのか、というところから
話を始めなければなりません。

例えば、平べったい部品で、表裏の区別は有るものの、
表側に電極が印刷されているだけで、ベースである
セラミック自身は表裏の寸法差がほとんどない、
という場合です。

或いは、プラスチック部品で、寸法的には
表裏同じでも、型番や記号などが片面に印字
してある場合などです。

表もしくは裏面どちらか片方だけに、突起もしくは
窪みが有るのであれば、それを利用して表裏を揃える
事ができますが、片面に印刷や印字が有るだけでは、
表裏を揃えて並べる事はできません。

稀に、整列パレットにマグネットを仕込む事で、
表裏を揃える事ができる場合もあります。
印刷が磁性体であれば、それを吸い付ける事が
できるためです。

しかし、部品自体が小さく薄いと、部品の反対側まで
磁力が届いてしまいますので、印刷面が表裏混在した
状態で並んでしまうケースがほとんどです。

ではどうするか?

ここで、整列機に部品を投入する時に、
表裏だけは揃えて投入する事ができるのであれば、
あとは整列中に部品が引っ繰り返らないようにする事で、
部品を並べる事が可能になります。

それが、今日の題名である「フタ付き回収パレット」です。

平べったい部品は、投入時点で表側が上になった物も、
裏側が上になった物も、だいたいはそのままの向きで
流れて行きます。

しかし、整列穴に差し掛かって斜めになった時や、
部品どうしが折り重なって、乗り越えようとした時などに、
引っ繰り返って表裏が逆になる事があります。

そんな時、回収パレット(部品を溜めておく部分)と、
整列パレット(整列治具)にフタをしてしまい、
引っ繰り返らないようにしよう、というものです。

フタの下を流れなくてはなりませんから、
整列治具とフタの間には、当然隙間が必要ですが、
その隙間の寸法が重要です。



まず、部品が整列穴の中に落ち込んで行く時、
部品が斜めになる角度が90°未満であれば、
引っ繰り返りません。同じ向きのまま、
再度水平に戻ります。

また、部品が2枚重ならないような隙間にする
必要もあります。隙間の中で部品が折り重なると、
隙間にかじり付く可能性があるためです。

そして、もちろん部品1枚の状態では、
スムースに流れるような隙間でなくては
なりません。よって、

部品1枚の厚み < 隙間 < 部品2枚の厚み

になっていなくてはならず、かつ整列穴に部品が
入りかけて斜めになっている時にも、
後から流れて来る部品がかじり付かないような
絶妙の隙間になっていなければなりません。

部品や整列穴の形状・寸法によっては、
この隙間も実験して決めなくてはならない
場合もあります。



さて、整列機に部品を投入する前工程で、
部品の表裏だけは揃っている状態のまま、
このフタが付いたままの回収パレットに
部品を差し入れて行く必要が有りますが、
シューターなどから引っ掛からずに部品を
投入できれば、それほど難しくはありません。

また、フタ付き回収パレットは、
部品が折り重なっては入らない寸法で
作られていますので、通常のフタ無し回収パレット
に比べると、部品はあまり多く入りません。

よって、部品の投入量を確保したいのであれば、
回収パレットを長くしておく必要があります。

なお、整列パレットのフタは、取手を付けて
簡単に外せるようにしておいた方が良いですが、
フタ自体があまり軽いと、部品が整列穴近辺で
折り重なろうとした時、フタが持ち上がって
隙間が大きくなってしまう恐れがありますので、
或る程度の重量は必要です。

また、部品が滞り無く流れているか目視できた方が
良いので、フタはアクリルのような透明な材質が
適しています。

ただし、アクリルは静電気が発生しやすく、
部品によってはくっついてしまう場合が
有りますので、注意が必要です。

帯電防止アクリルという物も有りますが、
これは表面に帯電しない膜をコーティングして
あるだけですので、フタの平坦度を出そうとして、
表面を削ってしまったりすると、無地の部分が
むき出しになってしまいます。


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