整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

整列率の判断基準

2017-07-26 09:40:11 | 効率アップ
実際にウエステックの整列機を使い、
整列治具に部品を並べますと、
部品にもよりますが、毎回全ての整列穴に
部品が入っているわけではない事に
お気付きかと思います。

弊社では、これを整列率と呼んでいます。

実際に並んでいる整列穴数を、整列治具に加工された穴数で
割ったものです。例えば、100ヶ所穴加工されている整列治具に、
2ヶ所だけ入っていない(98ヶ所並んでいる)場合は、
整列率は98%になります。

穴に入っていても、正しい向きではない場合も、
未整列穴としてカウントされます。

また、正しく並んでいる部品の上に、もう一個部品が
乗っかったままになる現象もたまに発生します。

これは部品や発生頻度によって、NGとカウントされたり、
OKとカウントされたります。例えば、乗っかっている部品を
手もしくはピンセットで簡単に取り除ければOK、
除くのが難しかったり、その下に正しく並んでいる部品までも
道連れにして一緒に取り除かれてしまう場合はNG、
といった感じです。

しかし、仮に取り除くのが簡単だったとしても、
重なっている整列穴が全体の3割とか多い場合は、
取り除く作業自体に時間がかかりますので、
通常はNGとなります。

また、整列穴の周りに、未整列の部品が流れきれずに
少し残ってしまう事もあります。部品の滑りが悪い時に
よく発生する現象です。

振動を強くしたり、揺動の傾斜を急にすれば、
流しきる事もできますが、そうする事によって、
整列済みの部品が整列穴から出て行ってしまう
場合もありますので、敢えて残留部品をそのままに
する事もあります。

これも、残留部品を取り除く作業の容易さと、
かかる時間によって、NGとカウントされたり、
OKにカウントされたりします。基本的には
お客様との相談になります。

さて、正しく並んだ部品をカウントして算出した
整列率ですが、100%に近ければ近いほどもちろん
良いのですが、実際には毎回100%になるわけでは
ありません(何度やっても100%並ぶ部品も
もちろん有ります)。

何%くらいなら許容範囲内か?その判断基準は、
整列穴数や、並べた後の工程に与える影響などに
左右されます。

まず、次の工程に渡すのに、100%並んでいなければ
ならない場合と、必ずしもそうではない場合があります。

例えば、そのまま製品の組立に使う部品であれば、
100%並んでいなければなりません。1列10端子の
コネクタ部品が、9端子になっては製品になりません。
この場合は、抜けている部分を手修正、
もしくはロボットで補充する事になります。

一方、セラミックを焼成するために並べたりする場合は、
何ヶ所か並んでいない所があっても、焼成後の部品が
数個少なくなるだけで、あまり影響がありません。

この補充作業の有無、補充の頻度、更には難易度
によって、許容される整列率は大きく変わります。

これは部品にもよります。手もしくはピンセットで
簡単に補充できるのであれば、許容値は或る程度
低く設定できますが、補充作業が大変な場合、
例えば手作業だと部品の向きを揃えるのが難しい、
部品が小さくて拡大しないと向きがわからない、
といった場合は、整列率は限りなく100%に近いものを
求められます。

実績からしますと、整列穴が数十~数百ヶ所程度の
整列治具であれば、整列率は98%くらいでも
実用レベルである場合が多いように思えます。

しかし、部品が極めて小さく、整列穴が1万ヶ所
有るようですと、整列率98%でも未整列穴が200ヶ所
残っている計算になりますので、到底許容できる
レベルではありません。この場合は99.98%くらいは
達成しないと実用的ではない事になります。

整列率が第一優先ならば、整列時間を伸ばしたら
どうなるか?つまり、整列動作が5分間で
整列率98%ならば、時間を10分間に伸ばす事で、
100%に近付くか?

並べた後の次工程が、タクト的には余裕があるので、
その時間を使って整列時間を伸ばせば、整列率が
更に上がるか?というお客様もいらっしゃいます。

弊社の整列治具の整列時間は、短いもので数十秒、
長いものでも5~6分です。10分以上というものは
滅多にありません。

大部分の部品が、最初の1~2往復で7~8割ほど
並んでしまいます。あとの2割ほどを並べるために、
残りの時間を費やす事になります。

最初の往復で80%並んだ。2往復目で90%、
3往復目で95%、4往復目で98%・・・といった
感じです。整列率が上がるペースがどんどん
落ちて行くのです。

これは、単に未整列穴がどんどん減って行くからに
他なりません。部品が並ぼうとしても、
既に通過する穴の大部分が並んでしまって
埋まっているからです。

これを続けて行くと、あと1箇所の未整列穴を
埋めるために、何往復もさせる
(何分も時間をかける)、といった事態に
なる場合もあります。

これもお客様との相談になりますが、
それならば整列率が98~99%になった時点で
整列機を停止させ、数少ない未整列穴には
手で補充する、という方法を選ばれる方が
多いです。